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東京印書館 × 田中義久

今回の Print House Session では写真家 奥山由之さんの写真集「windows」を題材に印刷会社×デザイナー4組がアートブックを制作します。Print House Session に向けた準備が進む中、私は東京印書館さんの印刷現場を見学させていただきました!
私は今、大学で写真を専攻中の学生です。写真集の印刷現場は学びや発見が多く、とても新鮮で貴重な経験になりました!

東京印書館に到着し、さっそく工場へ入るとすぐにインクの匂いが漂っていました。大きなインクジェットプリンターが置いてあり、これで印刷したプルーフで色味を実際に見て、印刷の最終確認を行います。
黄色が浮いている、赤が弱い、などそれぞれの色の写り方を慎重に確認していきます。
手元のパネルにはインキ壺のインク量を調整するキーがあり、印刷機の上にインクを供給するパイプと繋がっています。20〜30ほどあるパネルで色味を変えることができるといいます。

(色味の確認、調整を行う高橋さんと林さん)

印刷機にある作業スペースへ登らせて貰うと、大量のインクが流れていました。こちらのインクは「UV硬化インク」という種類のインクで、紫外線を当てることにより即座に硬化するタイプのインクだそうです。
これまでに使われていた油性インクと比べると、乾燥の時間が大幅に減少し、大気汚染の原因となる有機化合物が発生しないなどメリットが多いと言われています。
しかし、瞬間硬化するため油性インクと比べて滑らかさに欠けたり、背割れが発生しやすかったりと、デメリットもあるのが現状だと教えてもらいました。

(uvインク缶)

控え室にて、「折」を見せてもらいました。
先ほどの印刷機で刷られた責了紙を、ページが合うように折ったものを「折」といいます。写真集は、折が大体8ページずつになるのですが、紙に厚みがある場合は4ページや2ページずつになるといいます。
折を触らせてもらうと、背中に文字が打ち込まれていることに気づきました。
この文字は「背丁」といい、折の背に刷り込まれる品名や巻数、月号、折名などのことだそうです。
また「■」のような記号を、ページ順に重ねていくと階段状に並ぶように入れることもあり、乱丁や落丁を防ぐ「背標」というそうです。

今回の作品の「つかみほん 」を見せてもらいました。つかみほん(束見本)とは、実際の作品の厚みやサイズ感を確認するために作られた本のことで、手に取った時の感覚や見た目を確かめることができるものです。手に取ると、無地だけど形がしっかりしており、とても重みを感じました。

デザイナー 田中義久さんによる今回のアートブックは、色褪せた雰囲気を出すため、全て日焼けさせるそうです!実際にこの束見本も日焼けさせることにより端が変色していました。紙の変色する特徴を取り入れることは、時の経過を感じ取れてとても面白いと感じました。

今回の見学で印刷現場とアートブック制作、どちらの魅力も知ることができ、良い経験をさせていただきました。ありがとうございました。
私自身「windows」のコンセプトや収載された写真がどれも大好きで、新しい形で生まれ変わる「windows」がとても楽しみです!
こちらのアートブックは Print House Session にて販売されます。「windows」の新しい姿をぜひ手に取ってみてください!

(テキスト、写真:北本)

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