古き良き時代の世界の町へ Prologue

「グラナダを訪れ、その数十年後にグラナダを訪れても、グラナダは変わっていないだろう。ただひとつ変わったのは、自分のなかを流れた歳月だけである」

イスラムの残照、アルハンブラ宮殿で知られるスペインのグラナダを愛した、随筆家アリソンの言葉だ。

「グラナダ」をイスタンブールやアテネに。パリ、ローマやチェコのプラハに置き換えてもいい。

古都の佇まいは、今日も変わることなく輝いている。

そしてチグリス、ユーフラテス、インダス文明の興亡の跡を訪ねれば、神殿の円柱の蔭から青年大王アレキサンダーやダリュース大王のつぶやきが……。

「ナポリを見て死ね」とイタリア人は言う。

死ぬ前に一度は見たい町。

死ぬ前にもう一度訪ねたい、郷愁の町並み。

それを1枚の写真のなかに見つける喜び。

そのとき、私は思う。この世は美しい、と。

(TEXT by 黒木純一郎)

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