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谷01

春から全国的にも有名な観光スポットを訪れています
いまだコロナ禍であるものの
週末の散策路は混雑を極め飲食店には行列ができるほど

その人通りから外れた谷に私は入ります
遊歩道があるにもかかわらず人影は稀
重なり合う植物の陰に
生き物の息遣いが潜んでいそうで
ちょっと恐ろしくもあります

ある日の午前
ふと見上げた葉裏にトンボの影がありました
イトトンボのようですが
それにしては胴が太め
逆光のせいもあり全身が黒く
ずんぐりとした姿です

といっても体は葉っぱの上ですから
種を特定できるような写真は撮れそうにありません
しばらく眺めていると
時折飛び立っては
また同じ場所に戻ってきます
近くに寄る小さな虫を捕まえるための飛翔のようです

検索して調べたところカワトンボの一種
アサヒナカワトンボのメスであることがわかりました
川がないところにカワトンボがいるんですね

後日その場所でオスも確認できました
メスに比べるときらびやかでスマートに見えます

川がないと書きましたが
谷底なので湿った場所はあります
雨が降れば流れができるのでしょう
オスはその名残の湿地そばの岩や流木に陣取り
飛翔しては戻ってきます
まさにとんぼ返りですね
メスは捕食のための飛翔でしたが
このオスは他の昆虫を追い払っていて
縄張りを防衛するためのスクランブル発進のようです

そろりそろりと近づいてみました
無視されました
縄張りを脅かす存在には映らなかったのでしょう
おかげで間近で観察することができました

“Mushi kago biraki” is brought to you by Tenomarche

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