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開催報告『アルコール課題をもつビジネスパーソンへの支援とは?』

産業保健師サロンGrowth~アルコール問題を抱える従業員支援の予防的対応と保健指導(介入)~ 参加の学び

皆様いかがお過ごしでしょうか。
先日、表題のテーマで、弊社が共催している産業保健師サロンGrowthに参加しましたのでその開催レポートをご紹介します。


「アルコールの飲み方に課題がありそう」「この健診結果の悪さはアルコールを減らさないと改善難しいのでは」などなど、普段保健師業務をしていると、アルコールに対する指導、支援が必要な場面に遭遇します。しかしながら、減酒の必要性を説明してもなかなか手ごたえが感じられないこともしばしばあります。

今回は、アルコール外来/アルコール問題の休職者リワークを担当されている心理士の先生をお招きして、予防的対応と保健指導(介入)についてご講義いただき、ワークで介入の体験もできる内容で実施いたしました。

今回の講義・ワークの内容

①経済的・健康的な問題と依存症のリスクについて


依存症レベルの飲酒による経済的損失はなんと、推計で3兆2415億円という金額。
欠勤率や仕事中のパフォーマンス低下、生産性損失率からの計算ですが、ものすごい金額です。依存症レベルの推計人数で計算すると、1人当たり年間で約169万円の損失とのことなので、医療職は健康問題に目が向きがちですが、飲酒問題の経済的損失も無視できないところです。
2024年に厚生労働省より公開された「健康に配慮した飲酒に関するガイドライン」の内容にも触れ、このガイドラインの目的、趣旨もご説明をいただきました。発表当初はさまざまなご意見も見受けられたこのガイドラインですが、アルコール量を自覚すること、適量の男女差、微アルやノンアルを加えながらのトータルのアルコール摂取量を減らす工夫など、ガイドラインの内容の解説をいただきました。
参考:厚生労働省 健康に配慮した飲酒に関するガイドラインについてhttps://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_38541.html

②飲酒が原因の問題への簡単な対処法


従業員のアルコールへの意識を高めるツールとして「超」簡易減酒支援についてご紹介いただきました。リーフレットをお渡しして、内容を伝えるだけという短い時間での介入方法ですが、減酒に効果があるとの研究結果もあり、注目な介入方法です。
リーフレットには、飲酒量を計算し、飲酒量の多さを指摘し、飲酒を見直すことで体調や健康面にどんな変化(メリット)があるか示し、今日からでもすぐにできる具体的な取り組み方法が紹介されています。
介入の目的はお酒に意識を持ってもらうことあるので、その一歩としてこのリーフレットの活用もとても参考になる内容でした。
資料:依存症対策全国センター https://www.ncasa-japan.jp/docs/intervention

③効果的な動機づけの面接方法と対処の取得

アルコール相談に抵抗感を持っている相談者への対応を体験していただくワークを実施しました。時間の制約もあり相談の導入部分の体験となりましたが、講師の解説をはさんで相談者との対応を2回体験いただきました。
アルコール相談では、相談者と支援者の間に「抵抗」が生まれ、押し合い圧し合いする状況になりがちですが、ベテランアルコール専門医の面接方法の共通点もご紹介いただきました。ベテラン専門医は、面接の場で安心感を持ってもらうための配慮、後ろめたさや罪悪感への配慮や本人の思う問題意識を尊重すること、アルコール問題を含む広い視野での問題意識への拡大などの「型」を持って面接をしているそうです。
アルコール相談を受けるときの、向き合い方は学ぶ点が多く、たくさんヒントをいただけた内容でした。 

今年度の健診事後から、相談があれば明日からでも使えそうなヒントが満載のサロンとなりました。

アルコール課題をもつビジネスパーソンへの支援について第二弾は「アルコールリワーク復職支援の現場から」、と題して休復職についてアルコールリワークを担当している心理士の先生をお招きしてサロンを開催します。私自身、アルコール依存症の休復職支援も一筋縄ではいかなかった経験もありますので、次回も大変楽しみです。 

次回のお知らせ 2024/6/12㈬15:30-17:00

アルコール問題のある従業員の休職・復職
 ~アルコールリワーク復職支援の現場から~(事例を通して)

●参加費:1500円
●講師:河西 有奈(白峰クリニック 副院長 公認心理師・臨床心理士)
1990年埼玉県児童相談所勤務。
1995年より米国へ留学し,1998年にSan Francisco State University カウンセリング修士卒業。
精神科クリニック、私設臨床心理オフィスの心理職を経て、2004年より現職。
主にアルコール問題等の心理カウンセリングや集団療法、復職支援(うつ病リワーク、およびアルコールリワーク)などにかかわっている。
日本公認心理師協会 アディクション臨床委員会副委員長
関東甲信越アルコール関連問題学会理事

●お申し込み はこちら ☟
http://ptix.at/OCyRPO

#産業保健師 #保健指導 #産業保健セミナー

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