アニメ映画『トラペジウム』を観た感想

 久々にnote執筆。

 さてさて今回はTwitter(現:X)で噂になっていた『トラペジウム』を観てきたので感想をば。当然ながらネタバレがいっぱいあるので悪しからず。

 私的には前評判(賛否の否の方)はそこまで気にならなかった。正直あてにならんもんだなぁと思ったので、劇場に行くのを迷っている人がいるのならぜひ観に行って欲しい。

 例によって箇条書きのようなスタイルですが、まぁ許してほしい。

以下ネタバレ注意

冒頭シーンの小ネタ?

 冒頭シーンはなんと既に公式からも動画サイトにて公開されている。劇場で見た際は特に意識していなかったが、主題歌が流れている後ろで主人公である東ゆうがアイドルになるべくダンス練習→オーディション→不合格通知を丸めて地面に叩きつけるがしれっとノート上で表されていた。全部落ちたと後でカミングアウトがあったがちゃんと描写されていたのである。

トラペジウムとは

 辞書的な意味で言うと2つある。
1つは不等辺四角形。これは4つの辺がいずれも平行でない四角形のことを指す。そしてもう一つはオリオン星雲の中にある4つの重星のこと。主人公たち4人を表すのにぴったりな言葉である。最後のシーンの「10年後の自分へ」の写真にこのタイトルを付けた真司くんのセンスよ。

東ゆうの浮き具合

 他の3人とは違いモチベーションから動機まであらゆる面で違う東ゆうだが描写の中でもそれを強調する部分が度々あった。例えばライブのマイクが3つ(口パク用)と1つ(ゆう用)に距離が空いていたところや新曲の説明のラインが一方的にゆうからしか飛んでいなかったところ、あと名前も一人だけ東が苗字に入っていて他の3人は高校からあだ名を取っているという体で合わさせられている(自己中心的?)という風な印象を受けた。学園祭のシーンでもみんなが素で笑っている中ややへの字な描写が多かったような気がする(要検証)。

口に出せない(機嫌は口に出てる)

 ゆうは真司との会話の中で「みんな口に出せない夢や願望を持っている」と言っていたが、この女は機嫌が口元を見ればすぐわかる(ように描写されている)。上手くいかなくて怒ってたり思惑通りで舞い上がってたり分かりやすい。

結局みんないい子

 じりじりと溜まっていく鬱憤にくるみちゃんの発狂(あのシーンめちゃくちゃ良かった)を皮切りに瓦解する関係。喧嘩別れも同然での解散から再び会うまでの間に「宿題」をやっていたりCDをしっかり買っていたりとやっぱり仲良かったんだなって…どれだけ打算的なきっかけで集まっていたとしても作った思い出や関係は嘘じゃなかったんだなって。個人的に蘭子さんがMVPだなって。蘭子さんは美嘉が笑わなくなってもくるみが弱音を吐いていても最後の方までポジティブに捉えて頑張ろうとしていて本当に人が良いんだなって…。それでいてくるみが限界を迎えたらしっかり話し合おうとゆうの手を無理やりにでも掴んで引き留めて。惚れました。

打算的でない関係?

 くるみを探すために偶然仲良くなった工藤真司。しかし3人とは違って野望を打ち明けたり腹黒い面もしっかり見せるなど打算的とは少し違った関係だったように思う。ティーカップの乾杯がそれを表している。あとデビューが決まったときに潔く身を引くのカッコよくてしびれた。

しっかりしてる大人たち

 今作では悪い大人は出てこない。それどころか大抵できた大人しか出てこない。ゆうの母に至っては解散後に連絡を取っていないことを察したり優しく食事や学校に行かせたりで社会復帰させようとしていた。また事務所の社長は仕事してるだけあって、蘭子の歌練習していない態度に腹を立ててどこかへ行くゆうを「やれやれ」顔で見守るなど恐らく本性を理解してそうな空気。「ほか三人の契約解除の処理が終わったけどどうする?」という言葉も「東西南北は全員そろってこそ」と言っていたことを考えると事実上の最後通牒をやんわり言っているように取れる(こういうやりとり慣れてるんだろうなぁ)。ADの古賀さんは良くも悪くも関西人キャラかなと思ったら落ち込んでるゆうに素直な感謝を伝えてくれたおかげでゆうが立ち直ったんだなぁと個人的に思いました。

東ゆうが(真人間になる)成長物語

 賛否が分かれてる原因の一つがマイナススタートであることが考えられる。校門のプレートを蹴るし打算的に人を集めるし平気で嘘をつく。序盤は点数稼ぎといってもマイナスの点数の方が溜まっていたような気がする。主人公にあるまじきムーブである。そういった観点から評価が分かれたのではと個人的に推測する。しかし私は序盤にマイナス点数を稼いでこそ終盤が輝いて見えるのではないかと思う。彼女は自分にキラめきが足りないことをオーディションの落選やお便り、SNSの反応で気づいていた。一方で行動力や執念は人一倍ある。くるみの興味を引きたいがためにプログラムの本やタミヤのものを買うなど常人が考えつくことではない。また企画に関しても一人で独断することが多かったとはいえ「自分たちで書けばエモくなる」と社長を説得するなど自分本位なところで言えば成功の可否はともかく無敵である。そんな彼女が周りの人間を傷つけて叶いそうだった夢から覚めて初めて自分の悪い所と向き合い成長する。そんな話だと思うと個人的には良かったんじゃない?と思う訳です。

方位自身がエモい

 アイドルとしての夢が終わって和解が済んでから完成する方位自身が個人的にめちゃくちゃ熱かった。それぞれどういう風に歌詞を考えたんだろうかと想像するとそれはそれでまた楽しめそうではある。

おわりに

 という感じで全体的に描写や構成はかなり良くできていてキャラクターもとても魅力的で個人的にかなり高評価。万人受けするかと言えばまぁ難しいとは思うが、それでも見て損はしないと言いたい。方位自身の歌詞はほんとに刺さるから!追記するかはまだ分からないが今回はざっとこんなところです。

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