読書感想文『新訂 孫氏』(金谷 治 訳注)を読んで

 諸君、8月と言えばなんだろう?そう、読書感想文である。当時は忌まわしく思っていた宿題も成長すれば恋しさが生まれるというもの。という訳で大人が本気で読書感想文をやってみよう!というのが今回の趣旨である。しかし残念なことに小学校を出て十数年経った今でも期限ぎりぎりを攻める体質は変わっていなかったため、8月の末、最後の数日のデッドヒート状態での作文となってしまったことをお詫びしたい。なんでこんなリアルな所まで再現しているんだか…。あとどう頑張っても読書感想文というよりいつものような感想文になってしまった。企画倒れとか言わないでくれ。という訳で以下本編。

 

読書感想文『新訂 孫氏(金谷 治 訳注)』を読んで

 今回私は、岩波文庫から出版されている『新訂 孫氏』(金谷 治 訳注)を読んだ。『孫氏』とは、紀元前500年頃に書かれた中国春秋時代の軍事思想家孫武の作とされる兵法書のことだ。この本は実際の戦闘経験に基づき戦争に関する理論を言語化した書物で時代を問わず様々な国で読まれてる。

 なぜ『孫氏』を読むに至ったかというと、以前から古典的な作品を読もうと考えていたからである。高度情報化社会となり、あらゆる情報であふれる現代において、本もまた毎年のように数多く出版されている。しかも中身は心を大いに満たしてくれるものから少し調べれば出るようなことしか載っていな薄っぺらい本まで様々だ。そんな中から「学びのある一冊」を探すのは至難の業だ。そこで古典である。古典とは歴史の一部である一方で時代を超えて親しまれる名著が忘れられず、絶えず語り継がれて存在しているものだ。つまりあらゆる時代において「読んでおけば間違いない本」なのである。『孫氏』を選んだ理由は特にない。たまたま安価な値段であったため見つけ、考えるまでもなく古典な書籍であったからだ。個人的な考えだが、こういった古典の漫画版やダイジェスト版は現代語訳版を当たりたいと考えている。原典独自の主義主張をかなりデフォルメされて伝聞されている気がしてならないためだ。今回読んだ『新訂 孫氏』には原文と書き下し文、そして現代語訳の3種類で書かれている。もし興味が有れば自力でどのように翻訳されているか確かめることも可能だ。もっともそれが出来たのならばあなたは高校で漢文の授業を教えるべきだと思う訳だが…。

 さて、本編の中身は上でも述べた通り戦争を行うにあたってのあらゆる事項の理論的な事柄について述べられている。そんな本から学びがあるのか?と言われると「ほとんどない」というのが本音だが、私は学びが決してないと言えないと感じた。戦争はあくまで当時の日常的にあった具体的な仕事の一つであり、本質は上司や中間管理職に必要とされるマネジメント力に関することが書かれている。いうなれば紀元前版ドラッガー(孫氏著)なのである。我々近代の読者はただ読むだけでなく、古代の具体事象である戦争からマネジメントという抽象論に変換し、身近なの仕事論や生活感に変換することが要求されるのである。つまり『孫氏』を理解するということは具体的な内容の一般化を行うという高度な論理的思考力が身につくということだ。

 このように『新訳 孫氏』を読むにあたって、読者にはただ読むだけでなく高度な技術を要する書籍だということがお判りいただけただろうか?表紙には「戦争一般、さらには人生の問題として、広い視野が組み込まれている」と書いてあるがそのまま読めばその比重は9:1ぐらいだろう。大方「敵が○○の時は××を~」と述べている本書に人生の指針があるだろうと信じて読もうという人にはお勧めはしない。本書は煮るなり焼くなりといって出てきたエッセンスを用いて人生に役立てる本だ。そのため少し余裕のある時にじっくり読み込むと良いかもしれない。

以上


P. S.

本編の内容に触れずに感想を書いた訳なんですが、もはや何の感想を書いていたのか分からなくなっていて執筆している現在も頭の中がごちゃってます。読書感想文としては駄文だろうな~と思いつつも有言実行したい建前でこうやって公開しました。ツッコミどころ満載、読みたさが1ミリも湧かない読書感想文という点は学生時代から変わっていないという…。悲しいなぁ。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?