麻雀初心者講座①「役がないと和了れない」
Twitterを眺めていて気になるtweetがありました。
なるほど。麻雀初心者あるあるですね。このtweetは話題になり、リプ欄にはつまらない大喜利が展開されていました。しかし・・・
この説明はいくらなんでもありえませんよね?たまたま、ささしろーさんのリプを引用しましたが、同じような回答は複数人で見られました。
ここで麻雀の点数計算を説明します。
日本のリーチ麻雀の点数計算の基本は「符計算」です。
「符」はそのまま「点」と言い換えることが出来ます。
符の基本は「副底20符(点)」+「ボーナス符(点)」です。
符計算の基礎についてはこちらのサイトを参照してください。
でも、この話で抜粋して見ていただきたいのはこの表だけです。
繰り返します。符の基本は「副底20符(点)」+「ボーナス符(点)」
つまり麻雀の点数は必ず20点あります。「翻」がなくても必ず「点」はあります。4面子1雀頭の和了形には必ず2符以上つくので、最低22符を切り上げて「30符(点)」にはなります(平和という例外はある)。
「ゼロ点」は原理的にありえません。
この「30点」を例にプリミティブな点数計算をしてみましょう。
「30点の手を和了しました」
他の3人から30点ずつもらいます。合計90点です。
「ツモ」の場合は、そのままみんなから30点ずつもらいます。
「ロン」の場合は、放銃したひとが責任をとってみんなの分「90点」を払います。(難しい言葉で放銃一家包といいます)
簡単ですね。
次に「ヤオアルの原則」があります。麻雀には親と子がありますよね。「親は子の倍支払う」、「親は子の倍の点をもらう」という原則です。
「子が30点の手を和了した場合」
子の2人から30点ずつもらいます。親からは倍の60点。合計120点です。
「親が30点の手を和了した場合」
子の3人から「倍」の60点ずつもらいます。合計180点です。
簡単ですね。親が子の1.5倍の点数なのはこれが基です。
日本麻雀の一般的な点数計算では、このヤオアルの計算に「場ゾロの2翻」を掛けます。つまり簡単に言うと2の2乗、4倍にする計算をします。
なんで場ゾロを掛けるかは突っ込まないでください。符計算の闇です。ここに口を挟むと僕は符計算の悪口しかいいません。
さらに日本麻雀のルールで「一翻縛り」があります。これが「麻雀は役がないと和了れない」の理由となるルールです。
「翻」とは倍にするという意味で、一翻は2倍、三翻は8倍(2の3乗)です。
よくタンヤオのみ30符1翻は1000点、というのがありますが、厳密には間違いです。「タンヤオ1翻」と「場ゾロ2翻」があるので、30符3翻1000点が正しいです。
子2人から30点ずつ、親から60点。合計120点を放銃者ひとりからもらう
↓
120点に「場ゾロの4倍」で、480点
↓
480点に「タンヤオ1翻(2倍)」で、960点
↓
960点を切り上げて「1000点」
こういうカラクリです。ただし一般の点数早見表は「場ゾロ」を省略しています。だから「のみ手1翻は1000点」なんです。勘違いするひとが多いのはこれが理由です。
じゃあ何で「一翻縛り」があるのかというと、理由はみっつ推測されます。
推測、というのは実は「麻雀のルール」は誰かが合理的に決めたわけでなく、複数のひとたちによって、あれこれ勝手にごちゃごちゃ決められたものを何となくそれっぽくまとめたもの、でしかないので、不合理かつまともな歴史もまとめられていないからです。業界の闇です。
①完先の名残
「完全先付ルール」というものをご存知でしょうか。
知らない方は以下のサイトをご覧ください。
要するに、副露して安い和了をする人間が気に食わないという謎の「親父感情」です。「門前清自摸和」なら役がなくてもリーチしなくても和了できるのに、理不尽ですね。厳密には「門前清自摸和」は役なんですが、言いたいことはわかりますよね。
「一翻縛り」のまともな考察がちょっと、思い当たらなかったので、浅見了先生の「二翻縛り」の考察のページを貼ります。
理由はあれこれあると思いますが、「射幸心(まぐれ当たりを期待する気持ち)をより刺激するため」という一言に尽きると思います。
②和了最低点1000点の原則
これは聞いたことがないひとが多いのではないでしょうか。そこで例題を挙げます。
ドラなしです。タンヤオのみ1000点ですね。
おかしいですね、よーく符を数えてください。副底の20符しかありませんよね。20符3翻は、20*4*2*2*2=640は700点です。なんで1000点なんですか?
これは符計算の例外「鳴いた平和形は20符でも30符計算」です。足りない謎の10符は「平和加符」と呼ばれています。詳細は以下のサイトを読んでください。
なんで符計算の原則を無視して30符計算をするのかといえば「和了最低点1000点の原則」という暗黙の了解があるからです。なんで暗黙かというと、どこのルールブックにも書いてないからです(書いてあったら教えてください)。実際、原則通り20符3翻700点で計算する団体もあるくらいです。
ここで「場ゾロ」の謎が見えてきたと思います。なぜ場ゾロがあるかと言えば、30符1翻240点の手を4倍、960点は1000点にすることで、最低点1000点の麻雀に調整するためと推測されます。別に「役なし」480点は500点の和了があってもいいと思うんですが、みみっちい点棒をやり取りしたくないんでしょう。
③「役」があった方が押し引きを楽しめる
これは多分後付けの理由だと思います。本音は「完先」で触れた通りかと。ただ例えば123と鳴いていれば、役牌かチャンタか一色か三色か一気通貫って、役を絞れますよね。別の色でまた123と鳴けばさらに三色濃厚になるので、待ちがわかりやすくなります。リーチは聴牌がわかるのでオリやすいですが、副露は聴牌が確定しませんし、「役」がなければ相手の待ちや打点を読んでオリるのが難しくなりますね。
以上、「役がないと和了れない」理由はなんとなく理解できたでしょうか。まあ、あれこれ理屈はありますが、麻雀は「役を覚えた方が面白いゲーム」です。「リーチすればなんでも和了できる」日本麻雀よりも、「役が82種類あって、8点縛りのある」中国麻将の方が絶対面白いです・・・まあ、それはいいとして、役をきっちり覚えて麻雀を楽しんでくださいね!
最後に符計算についてもっと知りたいかたに記事を2つ紹介します。併せて読んでいただけると、嬉しいです。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?