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第一三共/AZ、エンハーツ(DS-8201/T-DXd)がP2結果で有効性示す-欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2022)で発表

第一三共ととアストラゼネカは2022年9月12日、エンハーツ(一般名:トラスツズマブ デルクステカン(DS-8201/T-DXd、HER2に対する抗体薬物複合体(ADC)))のグローバル第2相試験’(DESTINY-Lung01)の最新結果を、欧州臨床腫瘍学会(ESMO 2022)で発表した。発表内容はHER2遺伝子変異を持つ切除不能・転移性非小細胞肺がん患者対象としたDESTINY-Lung02と、HER2過剰発現またはHER2遺伝子変異を持つ切除不能・転移性非小細胞肺がん患者を対象としたDESTINY-Lung01の2つのグローバル第2相臨床試験の最新データ。有効性が示された。

DESTINY-Lung02のデータ  
前治療歴のあるHER2遺伝子変異を持つ非小細胞肺がん患者(5.4mg/kg投与群52人、6.4mg/kg投与群28人)では、有効性があった。主要評価項目の客観的奏効率はそれぞれ53.8%(完全奏効は1人、部分奏効は27人)、42.9%(完全奏効は1人、部分奏効は11人)だった。奏効期間の中央値は、5.4 mg/kg投与群では到達せず、6.4mg/kg 投与群において5.9ヶ月だった。中間解析後の90日間の追跡では、5.4mg/kg投与群の客観的奏効率は57.7%、奏効期間の中央値は8.7ヶ月だった。

安全性は、新たな懸念は認められていない。対象患者(5.4mg/kg投与群101人、6.4mg/kg投与群50人、以下同順)では、グレード3以上の有害事象は、好中球減少症(11.9%、34.0%)、貧血(8.9%、14.0%)、白血球減少症(2.0%、14.0%)等が認められた。間質性肺疾患(ILD)は、13人(5.9%、14.0%)。報告された有害事象がILD外部判定委員会で同剤と関連のあるILDと判定された。大部分は低グレードで、グレード3が5.4 mg/kg投与群で1人、グレード4とグレード5(死亡)は認められなかった。

2. DESTINY-Lung01の最新データ
同試験の追加の追跡期間後も、これまでと同様の有効性と安全性が示された。 有効性は、前治療歴のあるHER2遺伝子変異を持つ非小細胞肺がん患者(6.4 mg/kg投与、91人)では、中央値16.7ヶ月の追跡期間における奏効期間の中央値は10.6ヶ月、全生存期間の中央値は18.6ヶ月に延長となった。また、サブグループ解析の結果、ベースライン時の脳転移の有無での無増悪生存期間の中央値はそれぞれ7.1ヶ月と9.7ヶ月、全生存期間の中央値は14.0ヶ月と27.0ヶ月。前治療歴数2以下または3以上では、無増悪生存期間の中央値はそれぞれ8.3ヶ月と6.8ヶ月、全生存期間の中央値は22.1ヶ月と13.8ヶ月だった。 前治療歴のあるHER2過剰発現の非小細胞肺がん患者(6.4mg/kg投与群49人、5.4mg/kg投与群41人、以下同順)では、客観的奏効率は26.5%と34.1%、無増悪生存期間の中央値は5.7ヶ月と6.7ヶ月、全生存期間の中央値は12.4ヶ月と11.2ヶ月だった。  

安全性は、新たな懸念は認められなかった。ILDは、HER2遺伝子変異を持つ非小細胞肺がん患者(6.4 mg/kg投与)の27.5%がILD外部判定委員会で同剤と関連のあるILDと判定され、大部分が低グレードで、グレード5(死亡)は2人だった。HER2過剰発現の非小細胞肺がん患者では、6.4mg/kg投与群で20.4%、5.4mg/kg投与群で4.9%が同剤と関連のあるILDと判定された。大部分が低グレードで、グレード5(死亡)は4人だった。   なお、同剤は米国で「全身治療歴のある活性化HER2遺伝子変異を有する切除不能・転移性非小細胞肺がん」を適応として、2022年8月にFDAより承認を取得している。

 

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