【論文0004】GLP-1アナログとインスリンと, どちらを使えば寿命が延びますか?

Cardiovascular events and all-cause mortality with insulin versus glucagon-like peptide-1 analogue in type 2 diabetes.
Heart. 2016 May 23;
Authors: Anyanwagu U, Mamza J, Mehta R, Donnelly R, Idris I
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/27217068
PMID:27217068

目的:
メトホルミン(MET)とSU剤の2剤併用療法でも血糖コントロールが達成できない2型糖尿病患者に対して, インスリンまたはグルカゴン様ペプチド-1(GLP-1AR)アナログでの治療の強化を受けた場合における心血管イベントおよび死亡を調べた.

方法:
2006年から2014年の間に健康改善ネットワークデータベースから供給された2剤併用療法(MET + SU)のデータで, GLP-1ARまたはインスリンで治療した2003人の患者を対象とした後ろ向きコホート研究.
主要有害心血管イベント(MACE:非致死的心筋梗塞、非致死性脳卒中と全死因死亡率)のリスクを, MET + SU + GLP-1AR(N = 1584)対MET + SU +インスリン(N = 419)との間で比較した. フォローアップ期間は5年間(6614人年). 傾向スコアマッチング解析とCox比例ハザードモデルを使用.

結果:
被験者の平均年齢は52.8±14.1歳. MACEの数はGLP-1AR群で11例, インスリンを追加した患者群で231であった(1000人年あたり44.5対7.7:調整ハザード比で0.27; 95%CI 0.14 0.53; P <0.0001).
インスリンはGLP-1ARと比較して体重の有意な増加と関連していた(1.78対-3.93キロ; P <0.0001)が, ヘモグロビンA1cの減少は, 両治療群間で同様であった(-129対-0.98; P = 0.156).
肥満患者(BMI > 30)のサブグループ解析では複合アウトカムの発生はインスリン群とGLP-1AR群とでそれぞれ84例対11例であった. (1000人年あたり38.6対8.1例; AHR:0.31; 95%CI 0.16 0.61; P =0.001)

結論:
2型糖尿病肥満患者コホートでは, 2剤経口併用療法の強化として, GLP-1ARアナログを追加することは, インスリン療法を追加することと比較して, MACE発症リスク減と関連している.

【感想】
GLP-1アナログはあまり詳しくないわたくし.
観察研究かつ追加強化療法としてどの薬剤を選択するかという観点ですのでまだはっきりとした強い推奨はできないとは思いますが,
インスリンで低血糖が多い難治性の患者に対しての代替候補として頭の片隅に置いておこうと思います.

注:
当記事の内容に関しては最低限の質を担保するよう最大限の努力をしているものの, 内容に誤りなどがございましたら, twitterアカウント@pharmasahiroまでご連絡ください.


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