【論文0002】ストレスからの回復が遅いと高血圧になりやすい?

Low stress resilience in late adolescence and risk of hypertension in adulthood.
Heart. 2016 Apr 1;102(7):541-7.
Crump C, Sundquist J, Winkleby MA, Sundquist K.http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/26830662
PMID: 26830662

目的:
心理的ストレスに対する血圧反応は、高血圧発症のハイリスクと関連している. 本研究では, 人生の早い段階でのストレスに対する低応力・回復力が成人期での高血圧発症と関連付けられていると仮定し, 心理学的評価に基づいて検証した.

方法:
ストレス耐性のための訓練を受けた心理学者によって標準化された, 1-9スケールの心理学的評価を受けた高血圧症の既往歴のないスウェーデン軍徴集兵1,547,182人の全国コホート研究(全体の18歳の男性97から98%が18歳男子, 1969年から1997年の間)として, 1969年から2012年まで外来患者と入院患者で高血圧(最大62歳になるまで)と診断されるまで追跡した.

結果:
追跡期間中, 3940万人年のうち93, 028人の男性が高血圧と診断された. BMI, 家族歴および社会経済的要因で調整した結果, 18歳の時点での低応力回復力は、成人期における高血圧発症のリスク増加と関連していた(最低5分位対最高5分位群:HR 1.43; 95%CI 1.40 1.46; P <0.001; 発生率は10万人年あたり278.7 対 180.0). また、低応力回復力でかつ高BMIでより多くの高血圧症をは発症していたことから, ストレス耐性とBMIとの間に正の相互作用があることが判明した. 低応力回復力と高BMIとの組み合わせは男性における高血圧発症のリスクが三倍以上で会った.

結論:
ストレスに対する低応力・回復力が高血圧の発症に関連し、高BMIでよりその可能性が高いことが示唆れた. 人生における心理社会的リスク要因とストレスのマネジメントに取り組むことによって、より良い予防的介入がこの知見によって達成される可能性があるだろう.

【感想】
「ストレスを溜めると・ストレスに弱いと血圧が上がるよ〜」
などとは昔からよく言われていたのですが, 最近になって初めてその可能性が検証されて自分としてはややびっくりしております.
ただし, スウェーデンにおける徴兵コホートなので, この結果がそのまま日本人にまで外挿できるかと言われるとやや懐疑的ではあります.
とはいえ, ただでさえストレスの多いであろう日本人(働きかたもブラック)ではむしろストレスと高血圧の発症リスクとに強い相関が見られるのではないかと愚考しております.

注:
当記事の内容に関しては最低限の質を担保するよう最大限の努力をしているものの, 内容に誤りなどがございましたら, twitterアカウント@pharmasahiroまでご連絡ください.

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