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今年の夏はマスク熱中症!?~経口補水液の比較と上手な飲み方~

暑い季節がやってきました。
昔と違って急に気温が高くなったりと体温調整が難しいですね。テレビやニュース番組でも「熱中症」というフレーズが出始めています。
特に今年の夏はマスクを着用する機会が増えることから「マスク熱中症」に注意が必要とも言われています。

たしかに、マスクをつけているといつもより水分を摂っていない気もします。脱着が手間というのもあるんでしょうか。例年以上に水分補給を心がけたほうが良さそうです。

さて、薬局では気温が高くなりはじめると少しずつ経口補水液が売れだします。
「OS-1」「アクアソリタ」「アクアサポート」などが代表的ですが、「何が違うんですか?」とよく相談されます。

今回は、脱水に関する内容と、経口補水液やスポーツドリンクの違いなどを解説します。


脱水とは

脱水とは、体から体液(水と塩分)を失うことです。スポーツなどで大量に汗をかいたとき、嘔吐・下痢症のときなどは脱水になりやすいと言われていますね。
単なる水分不足ではなく、からだから塩分も同時に失われた状態のことをいいます。
この体液が失われると脱水状態になります。

【こんな症状がでてきたら要注意】
脱水状態になると様々な症状がでます。
軽度脱水では、微熱、口渇、体重減少、尿や発汗の減少。そして、体液は脳や筋肉にも多く存在しているのでめまいや頭痛・しびれ・こむら返りなどの症状も出てきます。

子供と高齢者は特に注意が必要!

熱中症のリスク要因の中には【高齢者】【子供】があげられています。これは、子供と高齢者は特に脱水症状になりやすいと言われてるためです。

子供も高齢者も、自分では脱水状態になっていると気づかない場合があります。ご家族に方や周りの方が脱水のサインを見逃さないことが大切です。

【子供が脱水症状になりやすい理由】
・体温調節機能が充分に発達していない。
・不感蒸泄が大人に比べて多い(皮膚が呼吸から失われる水分)
・成人に比べると発汗機能や腎機能が未熟なため、脱水を起こしやすい。

【高齢者が脱水症状になりやすい理由】
・もともと体の水分量が少なくなっている。
・のどの渇きを感じにくく、食欲も低下し水分の摂取量が減る。
・腎臓の機能が低下し水分調節がうまくいかない。


脱水のサインを見逃さない!

脱水状態になると様々なカラダの変化が出てきます。

1.原因不明の発熱
体は体液にて体温調整を行っています。体液が不足、つまり脱水状態では体温が調整できず発熱します。

2.急激な体重減少
1週間以内に4%以上急激に体重が減少した場合は、脱水が疑われます。
40kg:1.6㎏以上 / 50㎏:2.0㎏以上 / 60㎏:2.4㎏以上

3.手先が冷たい
脱水状態では、血液が生命維持のための臓器に集まります。そのため手先には血液がいくにくく、冷たくなります。

4.舌が乾く
脱水状態になると唾液が減少し、表面が乾いてきます。

5.皮膚をつまんでも戻らない
皮膚には多くの水分が含まれていて弾力があります。脱水状態では水分がへり弾力性が減ります。皮膚をつまんでみて、3秒以上戻らなければ脱水が疑われます。(大塚製薬OS-1サイトより画像引用)

画像1

6.痰が絡んだ咳を繰り返す(高齢者)
水分の摂取が極端に少なくなると、痰がからみやすくなります。水分摂取により、絡んだ痰を出しやすくなります。

7.脇の下に汗をかかない(高齢者)
通常、脇の下は汗により湿っているのが普通です。脱水状態になるとその湿り気がなくなり乾燥します。

そして、乳児・幼児は「かくれ脱水」に注意が必要です。
(STOP熱中症サイトを参考に記載)図1

このような変化があって、さらに体調不良がある場合は医療機関を受診しましょう。

軽度~中等度の脱水症状には経口補水液を

脱水やかくれ脱水のサインが出ている時は経口補水液で水分補給をしましょう。経口補水液は、水・塩分・糖分がバランスよく含まれており、効率よく水分(体液)を補うことができます。

ポイントは、「塩分(ナトリウム)」と「糖分(ブドウ糖)」なんですね。
効率のよい吸入にはその濃度とバランスが大事です。

最適なナトリウム濃度とブドウ糖濃度・商品比較

ここで気になるのは、それぞれの最適濃度です。
現在ではナトリウム濃度50~75mEq/lと、ブドウ糖濃度75mmol/lが推奨されており、ナトリウムに対してブドウ糖が1~2倍であると最もバランスが良いとされています。(WHO推奨)

では、代表的な商品とポカリスエットを比較してみましょう。

図21

参照:商品情報OS-1/大塚製薬工場
参照:栄養ケア倶楽部/明治アクアサポート
参照:ポカリスエット基本情報/大塚製薬
参照:製品ラインナップ/アクアソリタ
参照:https://www.jstage.jst.go.jp/article/seikisho/52/4/52_151/_pdf


ナトリウム濃度とそのバランスが良い商品は、アクアサポートとOS-1でした。
この2つは脱水状態の時に加え「嘔吐・下痢などの症状があるとき」にもおすすめです。


アクアソリタはナトリウム濃度が低めではありますが、バランスはいいですね。なんと言っても味がとても美味しいです。夏場の脱水予防では「こまめに飲む」ことが一番大事です。ですので、OS-1の味が苦手で飲めない方やお子さんにおすすめします。

ゼリーも美味しいです

アクアライトORSは乳幼児用の経口補水液として推奨されています。こちらもりんご風味となっており、0ヶ月から使用することができます。


ポカリスエットはブドウ糖の濃度が不明でしたが、炭水化物濃度(糖分)がOS-1の2.5倍となっています。エネルギーを使う運動時にはやはりスポーツドリンクが効果的です。ただし脱水予防としては糖分が多めですので、毎日ゴクゴク飲むのは避けたほうが良さそうです。
また、経口補水液としては不適当ですので、脱水状態時はアクアソリタやOS-1を飲むようにしましょう。

その他、浸透圧にも注目してみましょう。
体液の浸透圧は285±5mOsm/Lと言われています。これと同じ、もしくは低いものは吸収がとても早いです。

ポカリスエットは浸透圧が高めですが、このくらいですとほぼ体液と同じとされているので、吸収がいいものになります。

脱水をおこさせない経口補水液の上手な飲み方

脱水対策には、水分補給が欠かせません。しかし、経口補水液をゴクゴク飲みすぎても塩分や糖分の摂取過多になってしまい、体調不良に陥る場合もあります。合言葉は「こまめにちびちび」です。

1日の推奨される摂取量は
成 人 が 500 ~1,000mL /日、
幼児が 300 ~ 600mL /日、
乳児が体重 1kg 当たり 30 ~ 50mL /日が目安となります。

この目安量を参考に適宜増減しながら、1日6~8回ほどに分けて飲むようにしましょう。
(起床時・朝食後・10時・昼食時・15時・夕食時・入浴前後・就寝時)
特に乳児は体温調整機能が未発達で、代謝もいいので注意が必要です。気温が上がった日は「かくれ脱水」の症状を見逃さないようにしましょう。

参考:乳児の1回摂取量(50ml/㎏・1日6回の場合)

図22

暑いときのおすすめの飲み方

暑い時は水分補給しながらカラダを冷やしたいもの。
そんな時は経口補水液を凍らせてみましょう。味が苦手で飲んでくれないお子さんにもおすすめです。
ただし容器をそのままではなく、アイストレーで凍らせて、一口で取るようにしましょう。かわいいアイストレーだとお子さんも喜びますね。

経口補水液は常備・変化を見逃さないで

脱水は意識していても気づかぬうちに進んでいる場合があります。「こまめにちびちび」を心がけて、急に脱水症状が悪化したときのためにも常備しておくようにしましょう。

自分でのどの渇きや体の不調に気づきにくい高齢者や乳幼児の脱水、そして熱中症を防ぐには、ご家族や周囲のサポートが必要不可欠です。積極的に気遣い、ちょっとしたカラダの変化も見逃さないようにしましょう。

今年の夏も皆様が健やかに過ごせますように。
それでは。

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