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知っていること

薬剤師という仕事をし始めてから5年。友人からときどき薬剤師について話をしてくれる機会が増えた。

私の顔がやっと社会人顔になってきたということだろうか。

薬剤師ってこういう仕事だよねって一般の方から言われると、なかなか面白い。

「薬局の中で薬を選んで、ときどき薬自体を半分にしたりするんでしょ?」と、ある友人。外からみたら、だいたいあってる。

しかし仕事柄か、私は言葉にはうるさい。

薬剤師は薬を「選ばない」。選ぶのは医者である。

その言葉のチョイスに戸惑い眉間にしわをよせて変に笑ってしまったから、まちがってる?!と友人から言われた。

ううん、まちがってない。調剤室の中もみてくれてありがとう。


ちがう友人からは、最近ドラマにもなったあのシンデレラを見てのコメントだった。

「病院の薬局ってあんなに大きいんだね!」

私は病院の薬剤部は学生実習時の1病院しか知らないが、

あんなにスッキリしていなかったし、通路はもっと狭い。あとDI室に資料が凝縮されていたけれど、あんなところに治まりきらないくらい本はたくさんあった。

ドラマの中では1200種類の薬があると言っていたけれど、実際はさらに多い(はず)。薬局では1700種類くらいあります(マウントとってるわけじゃないよ)。


長年うつ病を患っている友人には「わかこは薬剤師だから(自分の症状のこと)話しやすい」と言われた。

この「話しやすさ」でつい先日、夜9時半から明け方6時半まで電話に付き合わされたのだが(この話はおいおいします)。

この友人は唯一、薬剤師は病気の知識があると認識してくれている。

薬剤師を「薬を渡す人」と認識している人には、きっと想像だにしない事実だろう。


薬学部は6年制。その中で、物理・生物・化学などの基礎をはじめ

薬が体のなかでどのように効果を発揮するのかを学ぶ、薬理学

薬が体の中でどのように変化したりどの程度働くのかを学ぶ、薬物動態学(ほんとうはもうちょっと内容はある)

薬がどのようにして作られるのか学ぶ、製剤学

からだのどこが悪くなり疾患となるのかを学ぶ、病態学

薬局・病院などに勤める上で必要な法律(薬剤師法、薬機法など)も学ぶ。


薬の飲み合わせや、飲むタイミングは本当によく聞かれるが、薬剤師はこうした知識を駆使してみなさまに回答している。

そう、意外といろいろ知っていると思ってくれるだけで万々歳だ。

医者に言いそびれたこと、言えなかったこと。

薬剤師に相談したら、意外と解決してくれるかもしれない。


断っておくと、前者の友人2人の愚痴を言ったわけではない。

私も貴方も、他人からは見えない知識・技術が必ずある。

ただ知らない、それだけのこと

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