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ワクチンの有効性評価について

ファイザー/バイオンテックのワクチンの第3相試験において、すばらしい成果がでました。以下は記事の抜粋です。 ”臨床試験の対象となった4万人以上のうち、新型コロナウイルスの感染症になったのは170例でした。 このうち、ワクチンの接種を受けていたのは8例だったのに対し、「プラセボ」と呼ばれる偽薬の接種を受けていたのは、162例だったということで、ワクチンの有効性は95%だったとしています。 重症化したケースは10例ありましたが、ワクチンの接種を受けたグループでは1例で、9例

    • モデルナ(moderna)の新型コロナウィルスのワクチンの中間解析

      モデルナの新型コロナワクチンのPhase3の中間解析の結果が開示されました。一言でいうと”驚異的な成果” 全発症者95例に対して、ワクチン投与群はそのうちわずか5名。95例という数字も極めてありそうな数字。短期的には間違いなくこのワクチンは有効であるということが示されています。 NIAIDなど公的機関が治験に関与しており、かつダブルブラインド試験なので、この結果はほぼ真実と思われます。 懸念があるとすれば、やはりワクチンの効果の持続性であり、そこが今後の焦点となるでしょ

      • リジェネロンの決算

        現在、最もアツいバイオ企業の一つと言っても過言ではないリジェネロンの決算が発表されました。 Third quarter 2020 revenues increased 32% to $2.29 billion versus third quarter 2019(4) Third quarter 2020 EYLEA® U.S. net sales increased 11% to $1.32 billion versus third quarter 2019 Third q

        • Pfizer & BioNtechのワクチン治験

          Operation Warp Speed =大統領選挙までにワクチンを開発して楽勝ムードにもっていく作戦は、残念ながら間に合わなそうです。明日が大統領選挙なので。 ワクチンの治験で何をやっているかというと、簡単に言えば、 ”30000人を15000人ずつに分けて、片方には偽薬、片方にはワクチン候補を投与し、その中で新型コロナ肺炎を発症した人が、どちらの薬を打たれていたかを調べる。” という非常にシンプルなものです。プロトコルすごい長いですけど。 そこで重要となるのは、”

        ワクチンの有効性評価について

          Gilead Science の第3四半期決算

          さて、日本ではあまり注目されていないですが、私は一番注目していたギリアド社の決算です。 Veklury(以下、レムデシビル)以外の売り上げは、前年同期比2%増の56億ドル。GAAP基準のEPSは0.29USD、Non-GAAPでは2.11USD。でした。 Non-GAAPのEPS、なんと29%アップです。誰のおかげかは自明ですね。 Veklury revenues were $873 million for the third quarter 2020. レムデシビル

          Gilead Science の第3四半期決算

          新型コロナウィルスはインターフェロンの産生を抑制する

          ちょっと古い記事ですが、重要な知見なので記事にしておきます。 新型コロナウィルスは当初から、強力な感染力と急速な重症化からの死亡が脅威となっています。通常、この2つの特性は共存しません。急速に死ねば感染を広げる時間がないからです。 この相容れないはずの特性の両立を可能にしている原因の一つとして注目されているのが、インターフェロン産生の抑制です。 通常、ヒトがウィルスに感染するとインターフェロンが産生され、これが引き金となり、発熱等の対ウィルス防御機能が発現するわけですが

          新型コロナウィルスはインターフェロンの産生を抑制する

          レムデシビル(Veklury®)が米国FDAの承認を取得

          ついに、レムデシビルがFDAの正式承認を取得した。対象は入院が必要となるCovid-19患者。 [所感]緊急使用承認(EUA)と異なり、正式承認であれば使用できる範囲が大幅に拡大される。抗ウィルス薬はその性質上、早期に投与するほど効果が期待できるため、EUAと正式承認では雲泥の差と言える。冬になり、世界的に新型コロナウィルスが猛威を振るっている状況が、FDAの背中を押したとも考えられる。 WHOの報告によれば、レムデシビルと標準治療の間に死亡率の差はない、とのことであるが

          レムデシビル(Veklury®)が米国FDAの承認を取得

          ロシュ(Roche)とAtea Pharma.がCovid-19用の経口抗ウィルス薬を共同開発

          Roche(以下ロシュ)とAtea Pharmaceuticals(以下Atea)は、新型コロナウィルス用の経口抗ウィルス薬(AT-527)の共同開発を行うと発表した。 AT-527はウィルスの増殖に必要なRNAポリメラーゼの阻害薬であり、現在は入院中の中等症(moderate)Covid-19患者を対象とした第2相の治験が行われており、2021年の第一四半期には、外来患者を対象とした第3相の治験が予定されている。 なお承認時は、米国での販売権をAteaが持ち、ロシュが米

          ロシュ(Roche)とAtea Pharma.がCovid-19用の経口抗ウィルス薬を共同開発

          バイオジェンの第3四半期決算について

          バイオジェンの第四半期決算が公開されました。 要点は以下のとおりです。 "Third quarter total revenues were $3,376 million, a 6% decrease versus the third quarter of 2019, inclusive of a 1% unfavorable currency impact. " 第3四半期の売上は、33億76万USDで、前年同期比6%の減少となった。うち1%は為替差損による。 "T

          バイオジェンの第3四半期決算について