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yama "Vursus the night"-かじぃの2022年に買ったアルバム 第12回

今日はたまたま邦楽2枚なので、オレの買ったアルバム・レビューじゃない感じがしてますが気のせいです。

「春を告げる」でJ-POP界隈をざわつかせた日本のアーティスト、yamaの二枚目のアルバム"Vursus the night"。
☆4で。

yamaの歌声は唯一無二だと思う。
中性的でハスキーなのに透明感があるという、矛盾した言葉が思い浮かぶ。
歌唱、表現力も素晴らしい。
もう声を聞いただけでyamaだと分かるので、街で流れていると一発で分かる。
それくらい彼女の歌声は気に入っている。

が、だ。
歌声も歌唱力も表現力も素晴らしい彼女に提供される楽曲は、やはり素晴らしい楽曲なのだけど、どこか「彼女の歌声、歌唱、表現力で歌って欲しい」楽曲が多い気がする。
それは決して「彼女はこういう楽曲が似合うだろう」という個性由来のものではなく、楽曲提供者の「こういうのも歌ってみて」という試すようなエゴが乗っかっているような気がしてならない。

「春を告げる」のインパクトに引きずられ過ぎていると言われるかもしれないが、「春を告げる」のインパクトはそれほど大きかったのだと思う。
yamaの強みは歌声から香ってくる「中性的な正体不明さ」であり、そこから「普遍性」だと思っている。
彼女はもちろん女性なんだけど、声の特性からハスキーな少年の声のようにも聞こえる。
だからこそ「女性の心理」も「男性の心理」も、どちらを歌っても違和感がない。
その「正体不明さ」が、シティポップの系譜に乗っかって、現代社会にはびこる「得体の知れない不安感と憂いを帯びた倦怠感」、アイロニーとアナーキズムと結びついて結像したのが「春を告げる」だと思うのだ。

これってくじらさんにしか描けないのかなー?
とか思いつつ、くじらさんの楽曲を楽しみに待っていたのだが…「色彩」がリリースされて「いや良曲だけど…」と思いつつ、「いやまぁ、これはアニメのコンセプトに沿った世界観だから」とか言い訳しながら、まだ待ってますw

「こんな楽曲はどう?歌いこなせる?」といった試すような楽曲を、次々に歌いこなしてみせるyama。それはそれで楽しいのだけど、憂いとアイロニーをたたえたあの世界観はどっかに捨ててしまわないように切に願っている。
そんなわけで☆は-1。


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