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ケアマネ業務へのAI導入と最初の葛藤

ダイスケです。暑くなってきましたね。調子に乗ってロードバイクを飛ばして訪問すると、利用者さんの前で汗だくになるので気をつけねば。

今回は、実際にAIを業務に導入している例と、私が初期に抱いたAIへの不安と葛藤について書いてみたいと思います。

AIによるモニタリング記録の実際

ケアマネがAIと仕事する未来(後編)で紹介したGPTsを再掲します。

モニタリングを行う際に文字起こしアプリでテキストを作成し、このGPTsにテキストを貼り付けて出てきた報告書が以下のものになります。今回はロールプレイングで「夫婦二人暮らし、夫が本人の介護を熱心に行っているが介護疲れが見られる。デイサービスを導入したいが、認知症の本人の拒否が強くなかなか実施に踏み切れない」というケースで15分程度会話を行いました。

本人は、介護サービス利用に関して非常に悩んでいる様子が見受けられます。自宅での生活を続けたい意向が強いが、日常生活の一部においては自立が難しいため、外部サービスの利用を検討しているようです。

会話の中で、本人のご主人が他人に対して怒りを露わにすることが増えたと話されていました。これは、おそらく本人のストレスや不安の表れと考えられます。ご主人の行動や感情の変化が、介護サービスの選択や利用にも影響を与えていると感じられます。

現在、デイサービスの利用に関してもいくつかの選択肢があるが、どのサービスが最適か判断に迷っている様子です。大規模な施設ではなく、小規模で個別対応が可能な施設が望ましいと考えています。例えば、看護師が4人常駐し、利用者が3人程度の施設が候補に挙がっています。このような環境であれば、本人も安心して過ごせる可能性が高いとの意見が出ています。

また、本人の体調管理に関しても、定期的な見守りやケアが必要とされています。特にご主人が一緒にいる時には問題が少ないが、本人が一人になるとストレスが増すことが懸念されます。そのため、短時間でも安心して過ごせるようなサービスの導入が求められています。

総じて、本人の精神的な安定を図るためには、適切な介護サービスの選定と、家族やケアマネージャーの継続的なサポートが必要であると感じました。現在検討中の施設について、更に詳細な情報を集め、見学や体験利用を通じて最適な選択をすることが重要です。

GPTs"ケアマネ・モニタリング支援"

会話の内容を文字起こししたテキストを張り付けただけで、このような報告書になります。もちろん言ってない事は書いてくれないので出来るだけ話題をしっかり組み立てることが大事です。また誤認識で文章が書かれることもあるため、最終確認と修正は必須です。

情報源となる会話の文字起こしテキストですが、そのままではこのような内容となり、手作業でまとめるのは時間が掛かります。

06:27
ご主人から何か見てですね、予想でしかにしかならないと思うんですけど、今までちょっと大きめのなんか結構なんか20人ぐらいの規模の、うん。選んでないがしてたところあるんですけど、うん。もっと小規模で言ってしまう認知症ばっかりの人たち、そうそう例えば10人ぐらいの何か小規模なところとか

06:53
私はね大規模でいろんな人が入り混じっているところよりはね、どうはっきり言ってね、マンツーマンみたいなところがあればいいかなと思って、事業者がちっちゃくてもね。はいそういう印象の専門の人方で、看護師さんと含めて4人とか5人とか、ただ、

GPTsを作る際に、「プロンプト」というAIへの命令に「会話の録音を文字列に起こしたものである」「本人の意向や感情などの内面が類推される箇所は必ず記載する」といった指示を入れていき、少しずつ狙った文体に仕上がるよう調整を行って行きました。

現在ではモニタリングの際、話す内容をはっきりさせる事やあいまいな返事だった場合はこちらで回答をまとめて復唱する事、出来るだけ本人の気持ちを引き出す事などの会話に気を配るようになり、「AIが読みとりやすい記録」が「モニタリングとして望ましい内容」になったと感じています。

AI導入に際しての私の葛藤

このようにケアマネ業務へAIを導入し、生産性を上げている私ですが、導入に踏み切る前は、やはり葛藤がありました。皆様も検討段階で悩まれる事だと思われますので、共有します。

葛藤1. 嘘を記録しないか

AIによる記録作業に対しては、「嘘を書いて修正する方が大変なのではないか」という懸念があります。実際、初期の段階では、プロンプトが不十分なため上手くまとまらなかったり、先走って課題の解決策まで書いてしまう報告書になりました。指示が不十分な状態では、AIが誤った情報や余計な推測を行うことがあります。そのため、正確な情報のみを記録するように、「記録にある事実だけを書いてください」と指示したり、本人の気持ちが読み取れる部分はそのまま出力するようにプロンプトを修正しました。

大事な点は、この修正作業を報告書の文章に対して行うのではなく、プロンプト自体に対して指示の修正を行うことです。一度適切な修正を行えば、その後の出力に継続して反映されます。これにより、最終的には最適な報告書を作成するAIが完成します。

葛藤2. ケアマネ自身が記録を行うべきではないか

当初、ケアマネ自身が自分の言葉で記録を行うべきではないかという葛藤がありました。自分の文体で文章を作成し、記録を作成することにこだわることが正しいのではないかと考え、AIに任せることに対しては抵抗感がありました。しかし、実際にAIを活用してみると、AIなりの文体になるものの、話したトピックをうまく拾っていることが分かりました。

モニタリングの記録では、情報を正確に記録することが第一義です。「考えてみれば、そこにケアマネのオリジナルなテイストが入る必要は無いよな」と改めて思うようになりました。
記録を残すことや課題を抽出することまでは、AIが高速に行ってくれます。前提情報のない状態では、ケアマネの考えと違う部分も発生しますが、そこは適宜修正すれば良いのです。この段階までの記録作業や課題抽出にかかる時間と労力を、今後の方針立てに使うことができるため、生産性は飛躍的に向上します。

ケアマネのオリジナリティは、分析と今後の方針を考える時に発揮すればいいのです。

まずは使ってみること

私も最初は、ケアマネの仕事は結構特殊なので、AIが十分な知識を持っているのか半信半疑でした。

試しにこのサイトにアクセスし、以下のような質問をしてみてください。
「ケアマネジメントに必要な視点は何ですか?」
「ケアマネジメント業務の基本的な流れを説明してください」

「お、結構知ってるじゃん」という印象を持たれる事と思います。出てきた回答に対しさらに深掘りして行くと、凄さや独特の癖が分かってくると思います。

現在の所、AIとの対話は文字によるものがほとんどで、多少の慣れが必要となります。回答の内容も完璧なものではなく、知らない事や勘違いした内容も含まれることは事実。ただ完成度80%(体感)までは高速に持ってくるパワフルさは魅力です。自分が気が付かなかった視点を与え、自分が考えると多くの労力が必要な事を代わりに作ってくれる頼もしい味方となる事は確実です。

まずは触ってみて、最初の一歩を踏み出してみましょう!


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