かかりつけ薬剤師・話の長い患者

かかりつけ薬剤師のやらなきゃならないことは
処方の一元的継続的把握、残薬の確認(4月からは薬手帳への記載が努力義務です)、時間外の対応、在宅になった場合の対応、薬に関する丁寧な説明……
などであり、
雑談に付き合う
という項目はありません。

しかし薬剤師に身の上話をするのが大好きな患者は
かかりつけ案件として薬局側に把握され
かかりつけ契約する場合があります。

話が長い、拘束時間が長い患者を
一名の薬剤師に引き受けてもらうという薬局側の都合が垣間見られます。
その一名に選ばれてしまった薬剤師は大変です。
いかに早く終わらせるかという問題を抱えることになるからです。

なぜそのような患者さんを一名に任せるという格好を取るかというと、
毎回違う薬剤師だった場合、前回の薬剤師に話した内容をもう一度1から話し始める可能性があるからです。

私の患者さんも話がものっすごく長い人が何名かおり
毎回終わらせるのに苦労しますが
数回対応するだけで、その患者さんの半生を把握することができます。
だから、前回と同じ話や、今までの人生の話をし始めると
あ、それこないだ聞いたわ
とか
あ、それ~だったんだよね
などと会話を省略することができます。

最近は新型コロナウイルスが流行しているので
早く帰りたいと思うのか話が皆短くなっています。
しかしそんなものをものともしない強者も存在します。

私は話を切り上げる段階として
今日の診察の話や薬の説明、残薬の状況などを確認して
患者さんの言いたいことを少し聞いたら
「じゃ、次の予約は」
と次の予約の話をして、確認したらそのままお大事にしてください~

ここでお大事にしてくださいに行けなかった場合
次は
「鞄に薬入れるの手伝うかい?」
と手持ちの鞄に一緒に薬を入れてあげます。そしてそのままお大事にしてください~

ここでお大事にしてくださいに行けなかった場合
「バス何時だい?」
と帰る手段を確認してそのままお大事にしてください~

ここでもお大事にしてくださいに行けなかった場合
トレーを手に持ってそわそわしてみたりしますが
それでもここまでくるとそんなのは通用せず
「じゃ、次は○○日ね!」
と締めてお大事にしてください~

ここまでやってもわかってもらえないときもあるので
そうなったらもう私も脚痛いし
「じゃ、今日はそろそろ」
と切り出します。
今日はそろそろを言うと、皆帰ります。

私は雑談を全く無駄とは思いませんし、
その人の問題をあぶり出すためには多少はするべきかと思っていますが
それでも度合いがありますので、そんな時は今日はそろそろを使います。

話が長いことがはじめからわかっている場合は、
○○分経過したら助けてほしいと同僚に声をかけておくのもいいです。
気が利く人は言わずとも助けてくれたりしますが
現実は「かかりつけなんだから」とみんな助けず
こそこそ「あいつら話が長い」などと言い、
終わったら「長かったね~ニヤニヤ」みたいに言ってくる場合もあるので
助けてほしい旨を明確にしておく必要があります。

私は四人同時にかかりつけ患者が受付し、そのうちの一人がちょっと話が長くて一名を対応できなかったことがありました。
素早く捌くことがいいわけではありませんが
雑談で長引くのを防ぐためにも切り上げる方法は各々持っていた方がいいでしょう。
雑談に付き合う
は、かかりつけ薬剤師がやらなければならないことには含まれていません。

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