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夢は、守る時代から叶える方法を考える時代が来たんじゃないか

今日が何の日か、皆さんご存知だろうか。
今日は「ウルトラマンの日」なのだそう。
55年前の今日、今や誰もが知っていると言っても過言ではないヒーローが、人々の前に降り立ったことから制定されたのだとか。

このシリーズを、未だキッズの心を手放せずにいる私は熱心に毎週試聴している。そこで、折角なので記念すべきこの日に「どうして自分はこの特撮番組に惹かれるのか」を振り返ってみた。

そのために、まずは私の母の子供時代まで遡る。

「もう戦後ではない」と言われた時代に、山奥の田舎に生まれた母の家にテレビがやってきたのはずいぶん後の話であった。
三種の神器だなんだと言われた家電製品がずいぶん遅れてやってきた頃、母が夢中になっていたのは「大魔神」や「鉄腕アトム」などの子供向けの番組であった。
その中でもとりわけ夢中になっていたのが、「ウルトラQ」をはじめとする、「ウルトラマン」に連なる空想特撮シリーズであった。
もう小学校の高学年に差し掛かる母は、それが作り物だと分かっていても、何故このような映像が作れるのか?本当に宇宙人や怪獣はいるのではないか?いつか人類に襲いかかってくるのではないか?と本気で思って見ていたそうだ。

その後時は流れ昭和末期、私を産んで親になった母は、その当時生活していた地域で、夏休みに子供のためと称してウルトラシリーズの再放送を行なっていたことを知る。「Q」からの流れで「帰ってきたウルトラマン」まで見ていたらしい母は、チャンスと思い私に見せる体で再放送を見て楽しんでいたらしい。なんて親だ。
物心つく前なのでさっぱり記憶はないが、私はどうやら母の遺伝子をしっかり受け継いでいたようで、ベータカプセルと間違えてスプーンを掲げるハヤタ隊員のシーンで大喜びしていたことをいまだに語られる程度に大興奮していたそうな。
事実私の母は、家のことをこなしながら昭和のウルトラシリーズのテーマを口ずさんでいたし、なんなら「これウルトラマンの歌だっけ?帰ってきた〜のだっけ?」「それは帰ってきたの方よ」みたいな会話を幾度となく幼少期に交わしていた。
面白いことに、うちの母は「撮影の裏側」と言うものを一切隠さず私に話して聞かせていた。
「あれは人が着ぐるみを着て撮っているんだよ」「飛行機はピアノ線で吊って、それをひっくり返して撮ってるんだよ」「爆発の煙は円谷さんが味噌汁を飲んでる時に思いついたんだよ」…有名な話ではあるが、子供ならあまり聞かされないような話をガンガンするのである。
特に味噌汁の話はほんとに食事中にするので、子供ながらに「今その話するの!?」と思ったものだが、この濁りから思い付いたのか…と深く感心したのを覚えているし、母のおかげで怪獣や巨人を人が着ぐるみを着て演じていることをショックを受けるでもなく、むしろ凄いことだと思っていた。

そして現代。そんな自分の子供時代と母の教えを振り返って思うことがある。
子供たちの夢を守ることも壊さないようにすることは勿論だが、どうすれば叶えられるかを共に考え、探る機会を設けることも大事なのではないだろうか。
子供時代にすっかり特撮の裏側に惹かれていた私は、大人となってもそれは変わらず、日々進化する作品を作る「裏側」の作り手たちに惹かれている。
当たり前だがこの裏で活躍する人たちは「人間」だ。ご飯を食べなきゃ生きられない。特にこのご時世それは死活問題だ。
だからこそ、特撮作品を作り上げる裏方の凄さをもっと知ってほしいと私は心から願っている。そしてそれが広く知れ渡ることはまた、子供たちが見れる夢の選択肢が増えることに繋がると信じている。
変身アイテムを掲げても身体は大きくならないし、怪獣だって現れない。確かに特撮はリアルじゃないが、彼らが生きる作品はリアルだ。そしてそのリアルに自分だってなれるかも知れないのだ。
作品の向こう側で「一緒に戦って、地球を守ろう」と手を差し伸べて待ってる人たちがいる。その人たちと共に夢を見るという選択肢があったって良いはずだ。

色んなことが思うようにいかない今、自分が目指すものへの道は一つじゃないと子供たちに知ってほしいと私は思う。
55年前、美しい星の人が地球に降り立ったこの日に。

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