43歳以上女性の累積生児出生率

参照論文

Seifer DB, Wang SF, Frankfurter D. Cumulative live birth rates with autologous oocytes plateau with fewer number of cycles for each year of age > 42. Reprod Biol Endocrinol. 2023 Oct 23;21(1):94.

要旨

アメリカのARTデータベース(SART: Society for Assisted Reproductive Technology Clinic Outcome Reporting System)に登録されているデータから、母体年齢が43歳以上の方のARTの年齢層別の累積生児出生率(CLBR: Cumulative live birth rates)を集計しました。

方法

2014-2020年までのSARTデータベースから、母体年齢が43歳以上のARTサイクルに関するデータを収集しました。各年齢層別に10サイクルまでのCLBRを計算し、各年齢でCLBRがプラトー(頭打ち)に達するまでのサイクル数を計算しました。

結果

2014-2020年にかけて、24,650人の42歳以上の女性が58,132サイクルの治療を行い、1,982名の出生がありました。43-50歳以上の女性で、CLBRは以下の通りになりました。43歳は9.7%、44歳は8.6%、45歳は5.0%、46歳は3.6%、47歳は2.5%、48歳は1.5%、49歳は2.7%、50歳以上では1.3%でした。
43歳の女性では、3回目のサイクルでCLBRが8.5%で5回目のサイクルでは、CLBRが9.7%に達しました。44歳の女性では、3回目のサイクルでCLBRが7.5%で5回目のサイクルでは、CLBRが8.6%に達しました。両年齢において、3回目までと5回目までのサイクルでCLBRに統計的に有意差は認められました。45歳と46歳では、3回目のサイクルでCLBRがプラトーに達しました。47歳以上では、初回サイクル後にCLBRがプラトーに達しました(図2 *オープンアクセスの論文ですので、この図のリンクから参照してください)。

まとめ

42歳以下の方ので、CLBRは通常、最初の5サイクル目までにプラトーに達します。これはARTを5サイクル以上続けても、治療の成功率が大幅に向上することは少ないことを意味しています。もちろん、5サイクルを超えて妊娠に至るケースも存在します。一方、43歳以上の女性では、CLBRがプラトーに達するまでのARTサイクル数が年齢とともに減少する傾向があります。この事実は、43歳以上の女性がARTを計画し、カウンセリングを受ける際に重要な意味を持ちます。このデータは、子どもを望む患者にとっては厳しい現実を示すことになるかもしれませんが、ARTクリニックは患者に対し、出生の可能性、治療の効果、およびそれに伴う費用について誠実に説明する責任があります。


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