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遺伝子編集の未来

授業で使える小ネタを引用します。

人間が"超人"を産み出すのは絶対悪なのか

より優れた、思い通りの子どもを持ちたいという「デザイナーベビー」への関心は、それを可能にする技術の発展に伴って、ますます高まっていくのではなかろうか。実際、中国の研究者が遺伝子改良を施した結果、エイズウイルス(HIV)耐性を持った双子の女児が誕生したニュースや、アカゲザルに人間の脳の発達に関わる遺伝子(MCPH1)を組み込み、人間の知性の由来を解き明かそうとする実験など、人間の諸能力を増進(エンハンスメント)しようという試みは、着々と進められている。

遺伝子編集が、人間に「痛みからの解放」をもたらす日が見えてきた

一部の医学研究者は、CRISPRなどの遺伝子編集ツールによって、薬を使わずに痛みに対処する、まったく新しい治療法の可能性が開かれるだろうと予測する。しかし、2018年に中国で実施された違法なCRISPRの実験により、雲行きは怪しくなってきた。遺伝的な無痛覚は、いずれデザイナーベビーの人気オプションのひとつになるかもしれない。あるいは悪くすれば、21世紀の戦争において、スーパー兵士として悪用される可能性さえある。

東京五輪まであと1年、「遺伝子ドーピング」という魔力

様々な専門家への取材を通じて、「2020年の東京五輪に遺伝子ドーピングで増強された選手が出場する可能性は低い」というのがバイオテクノロジーの専門誌である本誌(日経バイオテク)の結論だ。現時点では人間の体内で、標的となる遺伝子を高効率に改変できる技術が確立されているわけではない。また遺伝子を効率的に運ぶベクターを設計したり、製造するのも現時点ではハードルが高い。だが、10年や20年という期間で捉えれば、遺伝子ドーピングで増強された選手が増えていくのは間違いないだろう。

私が高校生だったころ、生物の授業で先生が語っていたことが思いだされました。「君たちが子供を持つ年代になるころには、本当に優れた一流の男性しか遺伝子を残すことができなくなるかもしれない」幸いにして私のような凡人でも子を2人授かり、予言はまだ実現してはいません。しかし普及コストと生命倫理の問題で、いつかはそんな未来が来る予感がしないでもありません。できることとやっていいことは違うよ、とうちの子供に話すことがありますが、まさに科学においても同じことが言えるのだと思いました。我々が教壇から伝えられること、どうか未来を担う科学者の卵さんたちにも忘れないでいてほしいですね。

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