智を紡ぎ出す

どういう分野であれ、人間はアイデアを求められることがあります。
仕事であろうと、研究であろうと、何かのプロジェクトでは'something new'を生み出す必要がある事が多いと思います。

では、一体どのようにしてアイデアを生み出せば良いのでしょうか?
勿論学校でこんな事は習わないです。
何かしらの抽象的プロセスを言語化、メソッド化していく方法は実はそれ程難しくないと思います。
成功例の共通項を見つける。そして失敗例の共通例を見つける。この二つを繰り返して自分の中でメソッド化していく事が重要だと私は思います。

しかしながら私も含め、アイデアを出すという作業における、成功と失敗のサンプルの数というのが少ないと思います。ではそのような時はどうするか。そういう場合は簡単です。偉大なる先人たちの知恵を借りれば良いのです。

私がアイデアメイキングのプロセスとして参考にしているのがJ.W.Youngの「アイデアのつくり方」です。
この本は本編で60ページほどという非常薄い本です。ほとんど本を読まない人でも1時間もあれば読めてしまうかと思います。ですがこの本にはアイデアメイキングのプロセスとして非常に重要な事が詰まっていると思います。

著者のJ.W.Youngはアメリカの大手広告代理店の最高顧問や広告代理業界の会長などを歴任した人物です。広告業界という常にアイデアを求められる環境の中で、アイデアの生み出しかたを簡潔かつ本質的に書いたのがこの一冊です。

誰でも読める本なので是非皆さんに読んでいただきたいですが、私からは実際にアイデアがどのような過程を踏んで生まれるかを紹介したいと思います。
Youngはアイデアの生産段階は五つに分けています。それは

①データ(資料)集め
②データの咀嚼
③データの組み合わせ
④Eureka!(アイデアの閃き)
⑤アイデアチェック

の五段階です。
Youngはアイデアは既存の要素の新しい組み合わせに過ぎないと述べています。
だからこそ、「既存の要素」を多く自身に取り入れていく作業が重要です。
既存の要素を多く集め、自身に取り込み理解していく…
このプロセスを意識的に、重点的に行う事がアイデアの生産には不可欠です。

データの組み合わせの段階は無意識に行われていると述べられています。
問題を意識の外に移してしまい、無意識の創造過程を刺激してあげれば良いのです。自分の想像力や感性、感情を刺激してあげるようなアクティビティをする事で、自分が無意識の内に集めたデータを繋ぎ合わせてくれます。

アイデアを思いつく事を英語では"have a brainstorm"と言うこともあります。"brainstorm"とは「突然のひらめき」の事を表します。"storm"は「嵐」や「暴風」を表しますが、原義的な意味は「かき回す事」「グルグル回る事」からきていると言われています。つまり、「脳味噌をかき回す」事がひらめく事につながると先人たちも知っていたのかもしれません。
脳味噌をかき回すような、想像力や感性の刺激をしてあげる事が'Eureka!'と叫ぶ事につながるのでしょう。

以上の事から私が、アイデアを生み出す事に重要だと考える事は、「データを沢山集め自分のモノにする」という事と「脳味噌を刺激する」という事を習慣化していく事だと思います。

皆さんの創作活動の一助となれば嬉しいです。


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