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古典ブルーブラックと万年筆と私

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古典ブルーブラックインク (古典インク、没食子インク、タンニン酸鉄インク) について調べて、自作を試みて、古典インクの新色が商品化されるまでの話。
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#プラチナ万年筆

古典ブルーブラックと万年筆と私 1 黎明篇

はじめに 古典インクの自作について、私なりのこだわりがあるのですが、そのこだわりの部分だけ話しても、何故そこにこだわるのか分かってもらえなかったり、誤解されたりしそうなので、自分の考えを整理する意味でも、古典インクと関わりだした最初の最初から書き出してみることにしました。 最初の万年筆 古典インクとの関わりは、最初に手にした万年筆まで遡ります。中学生の時に、使ってみるかと渡された父の万年筆はプラチナのシープでした。父が職場で記念に貰ったまま保管されていたもので全くの新品

古典ブルーブラックと万年筆と私 6 飛翔篇

再び古典インクの理想を掲げるために、日本よ、私は帰ってきた 2011年3月9日「ちょっと東京よってみる?」「いやもうお家に帰りたい」というような会話を妻として、成田から福岡行きに乗り換え、まっすぐ帰ってきたのですが、2日後jet lagの残る呆けた頭で「とんでもないことになった」と呆然とTVを見ていました。 古典インク関連の活動を再開 ペントレーディング用WAGNERインクを提供 WAGNERインクを、ペントレーディング in Tokyoの第12回 2012 (青黒、

古典ブルーブラックと万年筆と私 7 怒濤篇

プラチナ万年筆との話し合い 急いで日程を調整して、自作インクの試作品と資料を持って東京に飛びました。森さんと合流して、プラチナ本社を訪問し、中田社長をはじめとするプラチナ万年筆の方々と3~4時間くらい話をしたでしょうか。 終始和やかな雰囲気ですが、万年筆に一家言ある人ばかりの会議でしたので、大変盛り上がりました。最終的に、プラチナ万年筆の技術と処方に、私が提供した情報を加え、ハイブリッド的に開発するという結論に落ち着きました。 プラチナ クラシックインクの発売 プラチナ

古典ブルーブラックと万年筆と私 8 乱離篇

聿竹さんからの依頼 2018年11月に聿竹さんからTwitterのDMで青色1号古典インクを分けて貰えないかと連絡がありました。聿竹さんと言えばヌルリフィルで有名です。ヌルリフィルの商標登録ができたので、その記念として泉筆五宝展に並べたいとの依頼でした。 聿竹年萬 : 万年筆とヌルリフィルの部屋|Pen_Saloon その少し前に、WAGNERインクの新色として青色1号古典インクを海老沢さんに提案したのですが、既存WAGNERインクユーザーへのフォローのため、これまで作った