サピエンス全史

 2020年2月の書評は 「サピエンス全史」の上です。ここでは、著者と、図書の要約、魅力を伝える。


 「サピエンス全史」の著者、ユヴァル・ノア・ハラリは、オックスフォード大学で中世史と軍事史を選考し、現在ではエルサレムのヘブライ大学で歴史学を教えている。彼はビジネス書大賞の『サピエンス全史』の他に、テクノロジーとサピエンスの未来を書いた『ホモデウス』も書いている、世界的歴史家だ。


 サピエンス全史は、革新的な人類史である。多くの歴史の図書は、事象を中心に書かれている。しかし、サピエンス全史は歴史の事象が与えた影響を中心に述べられている。それは、偉大な発明などが与えた影響が、文明の構造や人類の生活を形作ったことを示せるからだ。
 上巻で最も文明の構築に寄与したのは、言葉の発明である。人類は現在のアフリカから繁栄し、二足歩行をすることによって、結果的に頭脳が拡大することになった。すると、思考力が向上し、他の動物とは一線を画す高度な意思疎通能力を身につけることが可能になった。しかし、これはただの意思疎通能力にとどまらない歴史的発明となった。なぜなら、言葉により集団は虚偽を信じることが可能になったからだ。より具体的な虚偽は多くの人を協力させることを可能にさせ、世界各地で共同体制が拡大させることになり、結果的に、人間は生物学的限界を超え、食物連鎖の頂点に立つことができた。それは従来、他の生物は子孫に情報や技術を伝達する手段はDNAであるため、成長速度に長い年月が必要な一方で、人間は言葉を通して伝達することができたため、より急速に学習し、環境に適応することを可能にしたことを意味する。

 農業の発明も大きく人類の生活に影響を与えた。言葉の発明でより大きな共同体が構築され、拡大したため、より多くの農耕作物の収穫が必要とされた。人類はより多くの農耕作物のために、人類は食物の蓄積や、天気予報を駆使して、文明を構築し、生活習慣が変化していく。しかし、それらの小さな工夫が積み重なることによって、農業を発明した当初では想定されていなかったほどの労働量が増加することになった。結果的に、人類は種としてより多くの個体数を有しているという意味では成功した一方で、一人ひとりの自由な時間が減ったという意味では、幸福は大きく損なわれることになった。

 このように、サピエンス全史は、人類の発明が招いた本質的な変化を捉えている。


 次に、この本の魅力を伝える。

 人類史は、ホモサピエンスという種族がどう自分達の未来を構築するかを決めるためにある。なぜなら、歴史を読み解くことによって、今まで自分達が何に成功し、何に失敗してきたかを定義することができるからだ。例えば、サピエンス全史では全種族の頂点に立つ代償に、個人の幸福を犠牲にしてきたとした。これにより、多くの読者がこれからの人類として行く末に考えるきっかけになるであろう。昨今、IT技術の発展により、漠然と効率化、グローバル化が進むことを認識している人は多い。しかし、サピエンス全史を読み、今まで人類が種として数を伸ばすことで成功していた歴史の一方で、個人としての幸福を捨てたことに納得する。それにより、これからの時代において、生産性の中にも定義や計測の難しい個人の幸福を追い求め続けることの重要性を認識することになれる。

 このように、変化が激しすぎるあまり影響が捉えづらい時代の中でこそ、人類の発明の影響や未来に関して考えるきっかけになるので、是非手に取ってほしい。