365日のみじかいおはなし(364日目)
立地はいいのにいつも閉店しちゃう土地
どうも、元・オコノミ不動産の武田です。地元密着の小さな不動産屋で6年ほど働いてました。今日はですね、どんな街でも必ず目にする光景のお話をします。
商店街とかで、立地は悪くないのになぜか次々と閉店して別のお店になっちゃう土地ってありませんか?
いつもすごく不思議に思ってたんです。ぼくが担当してたT商店街にもそういう土地があって。
ぼくが新卒でT商店街を担当し始めた時、その土地は定食屋だったんですが、2年後にお弁当専門店になって、さらに半年後に焼肉店に変わって、またその1年後ぐらいにチェーンの居酒屋が入って、さらに2年後、大改装してオシャレ雑貨屋が始まったんです。でもね、その店も半年前に閉店しちゃいました。
別にお客さんが入ってないわけじゃないんですよ。どのお店の時も、それなりに忙しそうなんです。でも、結局お店を辞めちゃうんです。
ここからが秘密の話なんですが。どの店主さんも、辞める手続きをする際にこう言うんです。
「すっごいものを見たから、もう続けられない」
で、毎回ぼくは
「何を見たんですか?」
って聞くんですが、みんな決まってこういうんです。
「それは覚えてないんです・・・」
どうやらこの土地でお店を始めた人はみんな「すっごいもの」を見て、それが原因で店を辞めちゃうみたいなんです。でも、何を見たかは覚えてないっていう・・・。
いや、ここまで何度も続くとね、真相を知りたくなりますよね。マジで気になって寝れなくなったりしましたから。
それでね、ぼく、大決断をしました。
半年前、雑貨屋が閉店したあと、貯金を切り崩してその土地を自分で借りたんです。何が出るのかこの目で見てやろうってね。
大家さんにちょっと安くしてもらったとはいえ、まさか自分がこんなことやるなんて思いませんでしたよ。でも、ホント何が出るか知りたくて。
とりあえず前が雑貨店だったんで、居抜きで300円ショップを始めました。
不動産屋? やめましたよ。
でね。
お店始めてから3ヶ月、出たんですよ・・・。
ホントに出たんですよ!
みんなが言ってること、ウソじゃなかったんですよ!!!
だからね、みんなと同じくお店は閉店しました、今は無職です。
え? 何が出たかって?
それがなんと……覚えてないんです。
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