楽しいことが無い生活

同じ高校に進学した中学の同級生が8人いて、
家が近いA子とよく一緒に帰っていた。


A子は、昔からクラスのリーダー的存在で、
スポーツ万能、明るくて、
〈ザ・ひょうきん〉という感じだった。


彼女と一緒にいると、
些細なこともおかしくて、
私は頻繁に笑いのツボに入っていた。


話す内容というより、
ちょっとした言い方や行動が面白い。


私は漫画みたいに、
ジュースを盛大に吹き出したこともある。
(高校の自販機前で)


「ぺじこがたくさん喋るようになってすっごく面白いよ」
A子とは小学校から一緒で、私が変だった時代も知っている。
高校にあがるまで全然仲良くなかったけれど。


私があまりに笑うので、
「ぺじこ、普段どんだけ面白いこと無いの?」
と言われた。


そうだ。
A子と一緒にいるとき以外に、
面白いことなんてほとんど無かった。
大笑いした記憶とか、本当に無い。
普段はA子とは違うグループにいた。


私は成績が良くて、
定期テストでは学年でだいたい
10番以内に入っていたが、


みんなが受験勉強に本腰を入れ出す頃から
どんどん順位が落ちていった。
第一志望はE判定(最低ライン)ばかりだったが、
受験≒宗教、
つまり、信じれば受かる
といったような精神状態になっていたものだから、(ほとんどの人がそうだと思う)
第一志望に勝負をかけた。


案の定、見事に落ちて、
私は合格掲示板の前で泣き崩れた。


でも、落ちてよかった。
行くところがないので、
予備校に通って浪人することになったのだが、
これがよかった。


予備校には個性的な人が多く集まってきて、
どの人と喋っても新鮮な面白さがあった。


しかも、いわゆるスクールカーストが無かった。
仲良しグループは形成されるものの、
同じ目標を持っているからか、
みんなが平らに、交流する感じがあった。


最もよかったのが、
いつもつるんでいたB子の存在だった。


B子は、今まで私が仲良くしてきたタイプとは違った。


B子は私のことを
「頭いいけどアホ」
と言った。


私はそれが心地よかった。


私のヌケているところや
変なところを遠慮なくツッこんでくれた。


自分がMであることをはじめて知った。
(性的な意味ではない)


予備校は、
余計なことを考えなくていい。
毎日コツコツと勉強して、
たまに息抜きするだけでいい。


人生で最も勉強した1年だったが、
最も楽しい1年だった。

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