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血液塗沫でわかること

院長の水越です

僕は開業前に大学院(中退しましたが。。)や専門の動物病院で犬と猫の血液の病気について勉強させてもらっていました

特に血液塗沫を顕微鏡で観察する検査に興味を持ちました

1滴の血液からたくさんの情報が得られるということに魅力を感じました

血液検査機器では、赤血球、白血球、血小板の数を数えることができます

もちろん、それも重要な情報であり、動物の健康状態を把握する上で欠かせない検査です

血液塗沫では、赤血球、白血球、血小板の数の異常が起こる原因がわかります

その他、数は正常でも肉眼的に観察することで発見できる形態の異常もあり、病気の見逃しを防いでくれます

また、内臓の状態を判断するヒントが得られることもあります


では、実際の血液塗沫を見てみましょう

①免疫介在性溶血性貧血

異常な免疫の働きによって赤血球を破壊し、貧血が起こります

矢印の赤血球が異常な赤血球です

自分の免疫の働きで攻撃され、壊れる前の赤血球です

正常な赤血球はドーナツ状で中央が白く抜けています(黄色の丸)

異常な赤血球は正常なものより一回り小さく、中央が白く抜けていません


②白血病

血液細胞が癌になり、異常に増えます

それによって、正常な血液細胞が少なくなり、貧血や白血球減少、血小板減少などが起こります

写真は白血球が癌化した白血病の血液塗沫です

矢印が白血病の白血球です

正常の白血球(好中球)は黄色の丸印です


③タマネギ中毒

玉ねぎなどに含まれるある成分が赤血球を酸化させて溶かします

矢印が酸化障害を起こした赤血球の異常な形態です

出ベソのような小さな突起のような形態(ハインツ小体)

赤血球の縁の部分が薄くめくれているような形態(エキセントロサイト)

タマネギ中毒では、このような赤血球の異常が見られます


他にも様々な異常が血液塗沫によって発見できます



PET WELL clinic では、9月から秋の健康診断キャンペーンを行います

その検査項目には血液塗沫が含まれます

春と秋の健康診断キャンペーンを行う動物病院は多いですが、血液塗沫を含めたコースを提案する病院は少ないと思います

血液塗沫はスライドグラスに血液を薄く伸ばし、特殊な液で染色して作ります

それを顕微鏡でじっくりと観察するのですが、手間がかかるということと、機械に頼らない反面、熟練した顕微鏡を見る眼が必要となります



血液塗沫を含めた健康診断はPET WELL clinic の特徴の一つです

秋の健康診断キャンペーンについてはこちらを参照してください


また、9月より診療曜日が1日増えて、(月)(水)(木)となります

診察は完全予約制となっておりますので、必ず事前のご予約をお願いします

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