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プレドニゾロンという薬について

院長の水越です

プレドニゾロンは、副腎皮質ホルモン剤、いわゆるステロイド剤の一種です

アトピー性皮膚炎など、免疫異常によって起こる様々な病気に有効な薬です

すごくいい薬です

うまく使えば、ですが

先月は犬のアトピー性皮膚炎について書きました

https://note.com/petwell_clinic/n/n9c913f0ed685


そこでも少し触れましたが、プレドニゾロンはいい薬です

でも、大きな副作用があります

使い方を間違えると大変なことになります



我々、獣医師にとっては、プレドニゾロンは一番重要な薬といっても過言ではありません

主な働きはこの二つです

・炎症を抑える
・免疫の働きを抑える

要するに、こういうことです

・熱が下がる
・腫れが引く
・痛みがおさまる
・かゆみが止まる

多くの病気の症状を抑えてくれるといことです

本当に良く効きます そして、安いというメリットもあります

でも、副作用という大きな問題があります

・肝臓への負担
・免疫力の低下
・筋力の低下
・皮膚が薄くなる
・毛が抜ける
など

なので、効き目と副作用のバランスを考えながらの投薬が必要です

100点満点ではないけれど許容できる範囲に症状を抑えつつ、副作用も最小限で許容範囲にととどめる

そういうバランスを保った投薬プログラムが必要です


僕の専門は皮膚科なので、皮膚科での事例をもとにもう少し詳しく解説します

“かゆい”という症状を止めるために、プレドニゾロンを処方する

これは正しい処方かもしれないし、間違った処方かもしれません

“かゆい”という症状を引き起こす皮膚病はたくさんあります

例えば“膿皮症”という皮膚病があります

皮膚に常在(共存)するブドウ球菌が繁殖して皮膚炎を引き起こします

原因はブドウ球菌です

根本治療は菌を殺すことであり、抗生物質の投与や抗菌シャンプーによる薬浴です

“かゆい”という症状が起こるので、プレドニゾロンを処方するとします

“かゆい”という症状はおさまります

でも、プレドニゾロンには“免疫力の低下”という副作用があります

それによって、ブドウ球菌に対する抵抗力も低下し、ブドウ球菌が死ににくくなります

抗生物質や抗菌シャンプーが効かなくなってしまうということです

軽い膿皮症ならば、抗菌薬を2週間も飲めば治ります

でも、かゆみ止めのプレドニゾロンも処方されることで、最初はかゆみが引いて良くなったように思いますが、菌が死ななくなり、なかなか治らないということになってしまいます

ひどい場合は1年以上も膿皮症で苦しむこともあります


プレドニゾロンは内服薬です

プレドニンという商品名の薬の他、ジェネリック薬もたくさんあります



副腎皮質ホルモン剤(ステロイド剤)には、外用薬のタイプもありますが、多数の薬剤が使われています

外用薬は全身に影響する副作用が起こりにくく、内服薬よりも安全に使えます

塗った部位の脱毛などが起こることがあります



「このプレドニゾロン(プレドニン)の処方は正しいの?」

そういう疑問や不安があれば、ご相談ください

お力になれると思います


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