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ハンドメイド販売 ネットショップで見直したこと

Petit écrin étoile(プチエクランエトワール)のeriと申します。ロリータファッションのヘッドドレスやアクセサリーを製作しています。

細々楽しんでいるnoteですが、年末に書いた販売活動の記事にいつもの3、4倍以上のアクセスがあり、ご感想をいただく事もありました。ありがとうございます。

自分で再度見直してみたところ、もう少し具体的なことを書いた方がいいなと思ったため、作業の合間をみながら追加の記事を書いてみました。
今回はネットで注文がゼロの時から初めてご購入いただけるようになった約7ヶ月の間に見直すようにしたことが中心で、集めた情報を自分なりに落とし込み、見直したことや心がけていることなどを思い出して書いていきます。
(初めての方はよろしければ下の記事からご覧ください)

いつ思い返しても最初の1個目が一番大変でした。
私自身は人気作家さんという訳ではありませんし、勿論タイミングもあってのことですが、今年活動3年目に入って2ヶ月間の売り上げが初年度の年間売り上げ分に届きそうなくらいになりました。
少しずつ取り組んできたことが形になってきたのだなと思い、もし過去の私のように悩んでいる方がいたらお力になりたく、今回も発信してみることにしました。

この記事は
・ハンドメイド作品のネット販売を始める・始めたばかりの方
・なかなか作品が売れなくて悩んでいる方や作品紹介文迷子の方
・ハンドメイド販売に関して他人の経験談や考え方をみたい方
に向けて書きました。
私自身がまだまだひよっこではあるからこそ、悩んでいる方と同じかまたは近い目線で話ができるのが本記事の強みかと思います。

何が効果的だったのかが自分ではっきり分かっておらずノウハウと呼べるものではないため、まるきりの正解とは思わずに一作家の考え方として読んでいただけると嬉しいです。

尚、情報の販売等は今は全く考えておりません。

私のブランドについて

前提になるかと思いますので、私と作品についてを簡単にお話しします。
・販売品は布製のヘッドドレスやヘアアクセサリー、他はネックレス、イヤリング、ピアス等

こんな感じの作品を作っています

・価格帯はヘッドドレス5000〜10000円。耳飾り3000円前後で販売しています。
・販売活動はこのブランドが初めてです。
・お客様は20代〜の女性が中心で、ご自身で身につけるために買われることが殆どです。
・基本的に一点物は作らず、品切れたら再販するスタイルです。
・刺繍を使った作品が多いため作品の個体差は比較的生じやすいです。
・受注・オーダーは通常は受けておりません。完成したものを在庫とし、販売しています。
・自ブランドの方針、扱っている品物自体のターゲットの狭さから特集掲載は狙っていません
・商品数が増えすぎたため、今はminneとBASEにテイストで分けています。

今回は私も利用している『minne』のページ作りを前提にお話しします。
SNSも並行して取り組みましたが、記事がややこしくなるので今回はショップ内の話のみをします。

商品ページの写真について

現在商品写真の殆どはスマートフォンを用いて自然光で撮っています。
(撮影の練習については過去に記事を書いているため、そちらをご覧いただけると嬉しいです)
私の撮影環境は日当たりが悪く、一番良い場所でもビルとビルの間にあるため、季節によっては撮影できるタイミングがかなり短時間になります。
そのため、撮影日は天気予報を予め調べて朝早めに起きて撮影セットを構え、シャッターをきったら撮影できるという状態にし、明るくなるタイミングまで他の作業をしながら待機しています。

できる時間が限られているため時間いっぱいいっぱいまで撮影し、加工や写真の選定、SNSへのアップは後回しにしています。

その後商品ページに載せる写真を複数選びます。
アイテム全体がしっかりわかるものや細部のこだわりを写した部分の他に、私はなるべくサイズ感のわかる画像と裏側や端が見える画像を何枚目かに入れるようにとしています。

大きさのわかる画像

具体的にはマネキンやトルソーへの着用画像を選んでいます。

商品説明文にサイズは記入しますが、全部を読む方ばかりではないですし、文字で書かれてもよくわからない方も多いかと思います。
ピアス等の着用画像は紙でできた撮影用のボードを使っています。

使っている方が多く、絵としてはオリジナリティのないものになってしまうため商品写真の表紙となる1枚目には選ばないようにしています。
セッティングが簡単なことや、どの作品も同じ条件で撮れる点から使用しています。

裏側や端が見える画像

主に布製品で心がけていることです。
綺麗かどうかはお客様それぞれの判断になりますが、見られて都合の悪いところがないこと・丁寧な製作を心がけていることを画像を通してアピールできる一番の手段ではないかと考えています。

伝えきれない部分は説明文等で補足します。
私自身製作においても目立たないところまでよりしっかりと意識したいと考え、最近ではルールとしています。

商品説明文に関して

minneは現在2000文字書けます。短いと情報が少なく不安ですが、いくつかの作品を比較している方にとっては長くても読むのに疲れてしまうなと感じています。
そのため私は500文字前後を目指して説明文を書いています。

作品名

私のブランドは自分のこだわりから読みにくい屋号をつけています。
よくノウハウ記事で「長い屋号、フランス語の屋号は覚えてもらいにくい」と言われており、全く以てその通りだと思っています。作品名も英語で長い名前を付けることが多々あります。ややこしい祭りです。

私はこのこだわりを捨てられないのであれば、他をわかりやすくするしかないと考えました。
作品名にはアイテムの種類(ヘッドドレス、ネックレス、イヤリング等)をしっかり記載することにしています。
写真の1枚目に作品の全体写真を載せることと合わせ、初見の方が商品をクリックする前の段階で「これは何なのか」がわかるようにしました。

魅力を具体的に伝えることを考えた

流れる詩のような、お人柄や空気感の伝わる魅力的な説明文を書ける作家さん達がとても羨ましかったです。当時見よう見まねで書いてもみましたが、小手先でやったところでチグハグな出来になってしまいました。

最初から難しいことをしようとするのは諦めて、私はまず作品のアピールしたい部分を箇条書きで書いていきました。
その上でこのアピールポイントに文章としての膨らみを持たせるため、
・どこがどう可愛いと思っているのか
・何がどんなふうに綺麗なのか
・どの部分をどういう思いでこだわったのか
等、製作者だからこそ伝えられる魅力を書くことにしました。

お恥ずかしながら私は学生の頃国語でよく赤点を取っていました。作家活動初期は文を一個書くこと自体にも苦手意識がありました。
ハンドメイド作品の説明文として、文章が苦手な方にも比較的書きやすく、読み手に伝わりやすい方法の一つに、アイテム内の魅力的な部分を何か別のものに喩えて伝える比喩表現が挙げられます。これをまずは取り入れることから始めました。

比喩は使い方によってそれぞれの作家さんの個性も併せて表現できるツールでもあると考えています。
自分の作品を使っていくつか考えついた文を試しに書いてみました。

両サイドの飾りはオーガンジーのリボンと小さなビーズ刺繍モチーフをお花のついたハート型のレースに合わせて配置していきました。「ーーー〈この部分を書きます〉ーーー」

・まるでリボンとビジューの沢山の小さくて個性的な蝶々たちがレースのお花にとまっているようにも見えます。
・柑橘系の果物のような、爽やかで甘酸っぱく、ほんのり苦味も感じるようなカラーリングが魅力です。
・やわらかい光の反射や繊細なきらめきがぎゅっと詰まっており、子供の頃に母のジュエリーボックスをこっそり覗いた時のときめきを思い出します。

「喩える」を使うことで同じ箇所でも魅力を伝えるための文は無限大に書くことができます。

最初の頃は上のようにいくつか書いた後、アイテムのコンセプトや自分の作品への思いなどと擦り合わせをして気に入ったものを採用していました。
そして続けているうちに少しずつペースアップしていき、候補を挙げなくても書けるようになっていきました。

「喩える」のトレーニングとしては、雲を見て何かの形に当てはめる、作業中にビーズや刺繍糸等の材料の色を何の色に見えるか考えることをやっていた記憶があります(1回につき2個以上考えるようにしていました)

使用のシチュエーションを提案

アクセサリーでいうとコーディネート例に当てはまるかと思います。
購入を迷っている方に対し、使用している光景を想像していただけるような一文を添えるようにしています。

例えばこちらの蛇柄のヘッドドレスでは
”遠くから見ると暗いグレーベージュのようなお色味のアイテムなので、黒やダークカラーと、またはダークな柄のお洋服との相性が良いかと思います。”
と書いています。

作品を使ったおしゃれの主役はお客様だと私は考えています。考える楽しみを作家が奪ってしまわないよう、コーディネート例はあまり具体的に書きすぎないようにを心掛けています。

イメージが沸かない時は妹や親しい友人をモデルに「こんな風に使ってくれたら嬉しいな」と思い浮かべてみることにしています。
それでも上手く書けない時は無理に書こうとせず、いつか思い浮かんだ時に追加で書けばOK牧場!、と思うようにしています。

注意書きは長すぎないよう心がけた

お会いしたことのある方は笑ってくださる気がするのですが、私は自分自身でも疲れてしまうほど心配性な性格で、初めて注意書きを書いたときにまるでお寿司屋さんのレシートのように長い注意書きが出来上がりました。
「自分がお客様だとしたら」を考えてその長い注意書きを見た時、もう見るだけで疲れてしまいました。なので全員の方に特にお伝えしたい3~4項目に絞り、イレギュラーなお問い合わせやご要望にはその都度対応しようと決めました。

例えば消した注意書きの一つに「材料の仕入先などの質問にはお答えできません」があります。
問い合わせが来る前に書くのではなく、来た問い合わせに対して単純に「お答えできません」と答えればよいだけの話だと考えて書くのをやめました。

刺繍作品のため個体差が生じることがあります、チュール部分の引っかけにご注意ください、等
購入ボタンを押す前に知っておいてもらいたい大切なことが読み手にきちんと伝わるよう、注意書きの項目を絞ることにしています。
(オーダー・受注製作をされている方はお約束事があるのでその限りではないと思います)

書くのをやめたこと

前項の続きのような項目ですが、以下書くことをやめた文言についてです。
・「ノークレーム、ノーリターン」
・「素人のハンドメイド作品です」
・「神経質な方は購入をご遠慮ください」

私はそれまで自分が作ったものを販売した経験がありませんでした。資格も許可も殆どない世界であり、経験がないからこそ自信がなくて書いてしまいがちでした。
しかしある日「自分がお客さんだったらどう思うか」と考えた時これほど買うことに不安を覚える文言は滅多にないなと感じました。

私の前職はサービス業で、クレームを受けるのは本当に怖かったです。最終的に受け取った品がお客様の鞄の底にあったのですが、それが判るまで「商品を受け取ってない、あなたが隠したんだろう」と親の仇か思うほどの勢いで怒鳴りつけられた思い出もあります。
例えばこのクレームの何が自分にとって怖かったのかを紐解いてみたところ、怒鳴られたことよりもここで少しでも対応を間違えて大事となれば上司や同僚に大きな迷惑をかけてしまうということがそうでした。

ハンドメイド作家としての今は製作・発送・経理・お客様対応の殆ど全てを一人でやっています。責任は全て自分にありますが、上司や同僚がいないため、たとえ対応を間違えても迷惑をかける仲間はいません。今後は周りの意見よりも自分の対応を信じ、お客様の気持ちに寄り添いながら行動をするのみです。
そう感じた時からクレームへの恐れが消え、上に書いた保険のような文言も一緒に消しました。

活動歴が短くクレームを受けた事はまだありませんが、ご意見などをいただくことで自分の作品や対応の至らない点を知ることができると考え、現在は問い合わせ用のメールアドレスを提示するようになりました(サンキューカードを兼ねた「何かあればお問い合わせください」という旨を書いた紙を作品に添えています。)
何かあった時にどこに連絡したらいいかがわかるのでありがたい、と言ってもらえるので今後も続ける予定です。

価格設定に関して

よく原価の3倍か否かの話が出たり、時給は含めるのか論争が巻き起こったりするので、私も最初はかなり迷いながら売値をつけていました。
色々な情報を集め、経験を重ね、時にお客様からの言葉もいただいた上でですが、結局のところは自分が納得できる価格で売るのが一番だと感じています。その納得は高さに対しても、安さに対してでもあります。

私なりの値付けのルールです。
・ネット、イベント、委託、販売手数料や出展料が変わっても、どこで販売しても同じ価格で売ることを前提に価格を決める。
以前他の作家さんから手数料分いつもの価格に上乗せしますか?と問い合わせがあったことがあります。私はなるべくは全て同じ価格で売りたい派です。
「A店で8000円で買った後、そのあと色違いが欲しくて再度B店でみたら7000円だった」のようなケースがあるとお客様の不信感につながる可能性があるためです。基本的に販売側の事情がお客様に伝わっていることは殆どないことを前提に考えています。

私の作品は製作にかかる時間や材料費それぞれにかなり幅があります。そのため、売値を原価の何倍にする等のルールは決めていません。その代わりそれぞれの商品の原価率・利益率は必ず把握するようにしています。(在庫表の材料費の横に欄を作っています)

・アイテムの種類毎に上限を決め、なるべくその範囲内で製作と価格設定をする
私はお洋服屋さんになることを目指して活動をしています。
今のアクセサリー・ファッション小物に関してはあまり高くし過ぎるとお洋服との価格のバランスがおかしくなると困るな、と考えてそうしています。
私の作品の中で特にヘッドドレスは材料費と製作時間からどうしても市販の相場より少し高くなってしまいがちです。
ご購入後に使うことをもったいないと思わず、できる限り沢山使ってもらいたいという理由でも上限を定めるようにしています。

ショッププロフィール

ブランドコンセプトや販売品についてのプロフィールよりも作家プロフィールに悩まれる方の方が多いのではないでしょうか。
初期の頃は自分のことを発信する事に対しかなり苦手意識がありました。今までの経歴も活動に関連するようなものがなく(美大出身とか書けたら良かったのに!) 、プロフィールを書くのはかなり時間をかけた記憶があります。

どんな人にもかけるプロフィールとして「自分の好きなこと」があることに気付きました。まずは好きなことを沢山挙げました。

パリ、沖縄、京都、生き物、昆虫、海、雪、スノーボード、街歩き、コーヒー、カレー、激辛料理、蕎麦、お花のスイーツ、マカロン、海老、貝、ドラマ、漫画、雨のにおい、メタル、ワールドミュージック、ハウス、ファゴット、チェンバロ、ぬいぐるみ、レース、フリル、きらきら、コンクリート壁、大理石の模様

上のように書き出し、その中からブランドコンセプトや作風に関連したものを文にまとめて実際のプロフィールへと記載しました。

レースや生地、ビーズなどを眺めるのが好きです。
パリと京都の街歩きが好きで、旅行に行くとつい散歩の予定を入れてしまいます。
お花の香りのするスイーツが好きです。
ペットは飼っていませんが、生き物が好きで動物ドキュメンタリーをよく見ます。
哺乳類、鳥類、水辺の生き物や昆虫なども好きなので何かモチーフとして作品に取り入れられたら、と思っています。

個人的にプロフィールで一番書いた方がよいと考えるのはペット(犬猫)の有無です。アレルギーのある購入者様にとっては健康問題に関わるためです。

私自身は飼っていないので想像の範囲ですが、もし飼っていたとしたら製作の上で何に気をつけているかも併せて書いているかと思います(例えば作業部屋は分けている・一旦着替えてから作業している等)
ペットを飼っていることで不利なことばかりではなく、例えば同じ種類のペットを飼っている方と共感し合える部分もあるかと思います。minneではレターなどでペットちゃんの最近の様子を発信、作品に要素を取り入れるなどしてお客様とのコミュニケーションのきっかけを作ることもできるかと思います。

レター

minneにはブログのような「レター」という機能があります。
この「レター」については3〜4ヶ月に一回定期的に更新する事に決めました。
アクセス数がわからない仕様ですが、私は自分のレターを見ている方は少ないと考えています。TwitterやInstagramも運用し、最新のお知らせは主にそこで発信しているためです。
それでもこの部分を更新する理由として、主にminne内の検索からきたお客様に対し、ショップ・ブランドが現在進行形で「稼働している」ことを伝える目的があります。

まだ作品が購入されていないショップはレビューがなく、ショップが動いている様子が見えづらいです。なので現在活動をしていることがわかる情報をレターに書くことにしました。
イベント出展の予定や、新作の予定、こんなアイテムを今作っています、近況、季節の挨拶などを書いています。
私のショップはレビューをいただく割合は現在10%未満で、他と比べるとおそらくかなり少ない方かと思います。販売・活動実績として人から書いていただく代わりに自分で実績を発信しよう、と考えてこの方法をとっています。
活動実績は販売したことだけではなく、作ったことや新作として出品したことも含まれると私は考えます。

(私は自分が購入する立場の時は1つの言葉を間違えたら傷つけてしまうかもと変な心配をする癖があり、レビューを書くのが苦手です。そのためあまり強くはお願いしておらず、書いてくださる方にはとても感謝しています)

現在この「レター」はどれくらいのお客様が見てくださっているか不明です。
だからこそ、もしも見てくださっている方がいたら嬉しいのでどこよりも早く新作の予定(まだ計画段階のものも含め)を発信する場として楽しみに投稿しています。

さいごに

思ったよりもずっと長くなってしまいましたが、以上が私がショップ作りで見直したこと・実践していることです。
何が効果的だったのかはわかりませんが、どなたかに1つでもお役に立つことがあったら嬉しいです。

記事冒頭でも書いたとおり最初の1個までが本当に大変でした。今考えると超恥ずかしいのですが、「自分には価値が無いのか」と気が滅入って泣きながらショップの改善点を探していた時期もあります。
しかし今では作品をご購入いただける機会が増え、応援の言葉をくださる方もいて、あの時諦めずに活動・改善を続けて良かったと思っています。いつもありがとうございます。

思い出せる限りを絞りだしたので、あまり質問等には答えられませんが、
もしこちらの記事も見てくださった方がいたら、また機会を見て他のテーマでも作家活動の話を書いてみようと思っています。
読んでくださり、どうもありがとうございました。

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