日記0207-自分で自分の-

自分の気持ちの行方がまるでわからなくなって
あれ、どこいくの、と思っているうちにどんどんと暗く沈んでいって
元気がなくなってしまうことがある

今日は本当にそんな日で、どうして自分が笑えないのか、どうして言葉の端々に冷たさがあるのか、わからないままに沈み切ってしまいそうだったので、予定を変えて自分の機嫌を取ることにした。

いつもはバスの道のりを、5倍くらいの時間をかけて歩く。
音楽をシャッフルで聴きながら、たまに私を追い抜かしていく自転車に少し緊張しながら、歌詞に合わせて口を動かして、リズムに合わせて頭をふる。

今自分が何を聴きたいのかもよくわからなくて、ウォークマンのシャッフル機能に自分が思う以上に助けられた。とても久しぶりに小林太郎さんの格好良い声を聴いた。この高音の詰まっている感じが大好き。久しぶりに聴く曲が、良い!と思えるときの嬉しい気持ちは、少し私を元気にしてくれた。

歩いて、途上にある本屋に当たり前のように入って、宮崎夏次系さん、panpanyaさんの漫画を手に取って、最後になにか、今日の私にぴったりな本を買おうと思って、文庫本コーナーを練り歩いた。

けれど、全くぴんとくる本が見つからない。
よしもとばななさんも違う、おいしそうなたい焼きが出てくるエッセイも違う。スタイリッシュに装った自己啓発本ももちろん違う。恩田陸さんでもないし、いしいしんじさんでもない。

家に帰って布団にもぐって、ぎゅっと1冊読み通してしまうだけで元気になれるような、そんな本を探していた。

文庫本コーナーを3周もしようかという勢いの時、ふと目に入ったのがこれだった。

「池袋ウエストゲートパークⅫ 西一番街ブラックバイト」石田衣良

きっとご存じだろうこの有名なシリーズは、小・中学生のときの私の愛読書だった。
当時の自分には刺激が強く、特にショッキングだったシーンは、自分の中で映像化されて強く記憶に残っている。

簡単に説明すると、東京は池袋を舞台に、トラブルシュータ―・マコトが、ギャングたちの王・タカシの手を借りたり協力したりして事件を解決するシリーズだ。

現代の、または少し古かったりするような闇に切り込んだテーマで、田舎人の私は、本当にこんなところ(池袋)が日本にあるのだろうか、と半ばファンタジーのように思いながら読んでいた。

高校生、大学生になってからは久しく読んでいなかったこのシリーズの新刊が、なぜ目に留まったのかはわからないけれど、なぜか私は、今日の私に必要な本なのだと確信して、そのまま一冊手に取ってレジへと向かった。

家に帰って読み始めると、懐かしくて笑ってしまった。
こんな感じだったなぁ。すごく好きだったんだよな。

私には絶対に入れないようなギャングたちの世界、裏の社会で起きる事件、スマートな中にも人情を忘れずに、たまには泥をかぶって解決に励むマコト。不屈の格好良さをほこるタカシ。

コンセプトが全然変わっていなくて安心した。読んでいるうちに、黒黒した気分が少しずつましな色に変わっていった。
布団のおかげで足元が温かかったのもあっただろう。

自分で自分の機嫌を取ることに成功した。

けれど、まだまだ自分の機嫌をとるのに時間もかかるし、お金もかかってしまう。究極は、瞬時に自分の中だけで自分の機嫌をとれることなんだけれど…。仙人にでもならないと難しいんじゃなかろうか。まだまだ道のりは長い。

IWGP以外に買った漫画では、宮崎夏次系さんの「培養肉くん1」が最高だった。

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