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年長さん感動の劇「夢の色〜」作者が語る④

阪神大震災の復興行事の舞台の時に書いたセリフを元に

当時阪神・淡路大震災から10年、神戸各地で復興イベントが開催されていました。その復興行事のひとつとして所属するPETIPA(当時はダンススタジオ)はこどもを中心としたミュージカルを制作しました。タイトルは「GENKI」。私は脚本を書きました。主役は震災の時にお腹の中にいたこども達。PETIPAの生徒達にはリアルにその年齢の、ちょうど10歳になるこども達がたくさんいたのです。私も西宮で被災しました。ライフラインがとまる、倒壊した家々をみて呆然とする・・・それは後のことで・・・なにより激しい揺れの恐怖、なにが起こったのか、どれほどの被害なのか全くわからない混乱状態・・・こんな時に出産しているお母さんたちはどれだけたいへんだろう、どれだけ怖いだろう・・・そんな風に思った記憶から生まれた脚本でした。ストーリーは主役のこども達が当時の震災の時の体験を舞台で演じるというものでした。震災を覚えていないこども達、でもお腹の中で体験している、自分が生まれる為には色々な人たちの助けがあったこと、命への感謝を感じてほしいと書きました。

いつか必ず花は咲く

登場人物の中に、大きなお腹をかかえて避難しようとしている妊婦をたすける女性がでてきます。妊婦を助けて自分が足に大怪我を負ってしまいます。
その彼女が、負い目を感じ泣く妊婦に言います。「瓦礫の山になってもいつか花は咲きますよ」「きっとこども達の笑い声が響き渡るでしょう」
このセリフを私はとても気に入っていました。東北大震災応援ソング「花は咲く」を聴いたとき、「そう、そうだよね」と同じ感覚の歌に感動しました。

何回折れても必ず花は咲く

「夢の色〜」の花の精フラワーの場面には、花にまつわる話で…決してあきらめない気持ちを表現したくて、このセリフを思い出して引用しました。台風がきて花がめちゃめちゃになってしまったところに、また新たにタネをまく夫婦。フラワーがたずねます。「芽がでても鳥が食べちゃったら?」「葉っぱがおおきくなっても虫がたべちゃったら?」「花が咲いてもまた台風がきたら?」
夫婦はにっこりと笑いながら言うんです。
「何回折れても、いつか花は咲く」「何回折れても、必ず花は咲く」。
「夢の色〜」を上演したこども達がおとなになって・・・辛い時やなんだかうまくいかない時、めげそうになった時、この言葉を思い出してくれることを願います。






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