答え合わせ ①

「いつから好きだったの?」って聞かれてても、これっていう明確なキッカケなんて無い。人生で一目ぼれはした事がなくて、容姿の美醜にもあんまり興味がなくて、惹かれる行動や話し方や表情はあったかもしれないけど、私が恋に落ちる時は落とされるわけじゃなくて、何時もゆっくりとした坂を静かに自分で下っていくのだ。そして気が付くと地底深くたどり着いてしまう。

恋人になる前の短い友人関係の時に思い出すのは、些細なお互いの男女の事情の話を僅かばかりにした事だった。夜中にぽつぽつとネットで話している他愛もないお互いの事情を失敗談の様に話して、その相手への他人の感情を推測してた。

遠距離恋愛だったけれども、お互いに何も縛らずに信頼し合っていたと思う。毎日、朝起きると始まる「おはよう」の連絡は習慣になっていて、彼よりも幾分か早く仕事へ付き、デスクに向かいPCをカタカタ打ち込みながら、毎日決まった時間にくる朝の挨拶が送られてきて、「今日もがんばって」って返し、そしてまた夜のほぼ決まった時間に「仕事終わったよ」って連絡が来て「お疲れ様!今日もがんばったね」って私が返すのだ。毎日が大体決まっていた。今もその時間付近は時計が気になるし、そわそわと感情が動く。恋人がいた時の思い出が【習慣】になっているのはとてもキツイ。時間が強制的に私を思い出に引っ張て行くのだ。

職種が違うので会いに行くと私は彼が仕事の間に彼の家で待つ事も多く、月に1,2回の貴重な逢瀬に出来るだけの事がしたくて、待ってる間に私は沢山の食事を作ってしまうし、服も着れないほどに持っていってしまうし、沢山の写真を撮った。






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