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給付金で最高の階段裏練習場を作ってもらった件。

もしも、息子が通うクライミングジムがなくなってしまったらどうしよう。

コロナの影響で学校も休校になり、家にいる日々が続いていた頃、私の心はざわざわしていた。自粛の波が押し寄せ、息子がお世話になっているクライミングジムの先生兼オーナーさんのSNSから、経営が厳しそうなことがひしひしと伝わってきていたのだ。

泣いてばかりで私のそばから離れなかった息子に、変わるきっかけを与えてくれた「ボルダリング」という競技と、ホームジム、そして先生たち。

息子にとって大切な居場所であるクライミングジムも、経営が成り立ってこそ存在できるのだということは、恥ずかしながら今まで考えたことがなかった。立派だなぁとしか思っていなかった設備だって、当然莫大な初期投資が必要なわけだし、月々の家賃だって必要だ。息子が大好きなボルダリングを続けられるのも、そのような費用がきちんと回収され、毎週キッズスクールで指導してくれる先生たちがのお給料が支払われてこそなのだ。

何としてでも、ジムは存続してほしい。息子の大切な場所だから、というとても個人的な理由で、私は強く願っていた。


わが家にできることって?

でも、一個人に何ができるだろう?寄付を申し出る分際でもないし…オンラインショップでモノを買うと言っても…ジムに入るお金は微々たるものなのだろう。

そんなときに、ジムのSNSでこんな投稿を見かけた。

個人宅等への壁立工事も行っています。簡易的なものやトレーニングボード等…ご予算や設置スペースに応じて、色々と提案することもできます。ぜひご相談くださいませ!

これだ!例として写真が載っていたような、きっと何十万円もする立派な壁は場所的にも予算的にもわが家にはムリだけれど、息子の自宅練習場になっているこの階段裏を、もっとボルダリング仕様にしてもらえたら…それはお仕事としてお願いできるし、息子も喜ぶに違いない!

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そのときは、国民全員に何かしらの給付金が支給されかも?という段階だったが、もし給付されたら、息子がお世話になっているクライミングジムのためにも使いたい、という考えは、私も夫も、そして息子も同じだった。こんなに「誰かのためにお金を使う」ことを真剣に考える機会は、今までになかったと思う。


本気でお願いする

息子のホームジムにとって、ほんの少しでも足しになれば…という気持ちからの依頼だったが、お願いするとなるとやっぱりわが家にとっていいものを設置してほしくなるのが消費者というものだ。

予算、設置できる場所を伝え、どんなものを設置してもらえるか、何度もメールでやりとりをした。

こんな感じではどうでしょう?とオーナーからイラストレーターで最初の提案。

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う~ん、これは頭をぶつけたら痛そうだし、できればわが家のインテリアの主役、スケルトン階段の雰囲気は残したい。低予算なくせにわがままな客。

かなりの急傾斜になるけど、こんな壁は可能ですか?と私。

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いいですね!それくらいあればホールド(掴む石のようなもの)をいくつかつけられそうですし、予算内に納まりそうです。傾斜角とサイズを教えてください、とオーナー。

こんな感じになります、と私。

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時期が時期だったので、事前のやりとりはすべてメールですまし、施工当日を迎えた。下準備はすべてしてきてくださっていたので、設置時間は最小限。

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1時間ほどで完成!

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ホールドは結構高価なので、ジムにあった中古品を利用してもらい、低予算でも、立派なものにしていただいた。なるべくジムに利益をとってほしい、でもこちらも満足いく練習場にしてほしい…やっぱり非常にわがままな客である。

息子は大変喜んで、お気に入りの空間になった。更に自分スペースを充実させるために、給付金の残りでマットも買いたいと言った。いくつかの選択肢の中から寝心地にもこだわった折り畳みマットを選び、登ったり、本を読んだり、昼寝をしたり…息子は長い時間、ここで過ごしている。

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この空間ができて思ったこと

最初は「支援を…」という気持ちから設置の検討が始まったこの練習場だが、今ではこちらが「ありがとうございます」の気持ちだ。

限られた予算の中で、精一杯工夫をし、労力を使っていただき、最高の空間ができあがった。

万が一、あの私の気持ちがざわざわしていたときに、お仕事としてお願いするのではなく、「寄付」というかたちでいくらか申し出ていたとしたら…私にとっても、こんなに印象に残るお金の使い方にならなかっただろう。

寄付という行為は素晴らしいし、それを自然にできるようになりたいとも思う。でもやはり「対価」と概念はとてもいいものだな、と今更ながらに思う。上下関係ができず、お互いがハッピーになれるのだから。


ジム側が企画してくれた支援Tシャツも、「コーキューTシャツ」と言いながら、家族分4枚買った。支援できるツールがあることが、とても嬉しかった。

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このTシャツを買って思ったことは、困ったときに「助けてください」「こんな支援をしてください」と言ってくれるのは、そのサービスを利用している者からすると、とても嬉しい、ということだ。

娘が通っているダンススクールだって、休業中は資金繰りが大変だったに違いない。でも、どう支援したらよいか分からず、結局そのままになってしまった。

SNSが盛んになった今の社会では、以前よりもビジネスに「気持ち」が加味されることが増えた気がする。経営する人の「気持ち」が届くことで、消費者の「気持ち」も「お金」も動く。今回の給付金は、まさにその機会だったと感じている。


コロナ対策をしながらクライミングジムの営業が再開され、息子は本当に嬉しそうに、以前と同じように週3回ほど、通っている。

これからもお世話になります。

息子のホームジム↓

http://climbing-zero.com/gym/shimoguri/

#給付金をきっかけに

#ボルダリング

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