【MPP授業感想】Doing Business with Business②

Doing Business with Business (day2)

英国財務省にてPPPに携わっていた元役人の方を講師に迎え、PPPを始めとする官民連携のあり方について議論した。行政における効率性改善に向けた救世主として、PPPは高い期待を寄せられてきたわけだが、リスク分配やスキーム設計の困難さなども引っくるめて、全体として本当に効率的であるのかと問われると、やはり疑問が残る。前職時代でのPPPに対する芳しくない反応がそうさせるし、本日の講義における苦虫を噛み潰したような語り口もこうした疑念を強める。

日本では、内閣府を中心として、PPP/PFI推進アクションプランに基づく取り組みを進めているが、案件数はまだまだ少ない。分野ごとに目標件数を設定しているが、そもそもインフラ案件の数は限定的であるし、PPPを活用することが適切かどうかについても案件の性質に応じて異なるはずなので、こうした目標設定はナンセンスではないだろうか。むしろ、PPPを適用できそうな案件でPPPが実現できなかった事例はどれくらいあり、そうした事例における阻害要因は何であったのかなどを精査することが必要だろう。(もちろん、予算・人員確保等の観点から政府計画における目標設定が不可欠であることは重々承知している。)

個人的には、日本でPPPが伸び悩んでいる要因として、官民双方におけるキャパシティビルディングの不足が考えられると思っている。海外インフラ事業の文脈において、日本企業から、国内におけるPPP事業の経験不足が不安要素として挙げられることがあった。PPPのような複雑なスキームを問題なく遂行するためには、高い専門性や経験が必要となることから、こうした専門性・経験を持った人材を官民双方において育成・確保していくことが結果的には近道になるのではないか。この関係で、英国政府における興味深い取り組みの紹介があったので、記しておきたい。英国では、財務省と民間企業のJoint VentureであるPartnership UKを設置し、PPPなどの官民連携にかかる専門的な知見を蓄積しているとのことだった。日本全体としての人材不足が叫ばれる厳しい状況下においては、官民で人材を必要に応じてシェアしていく発想も有効だろう。

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