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貴方が尊敬した先輩は今どこかで何者でも無くなっていて誰の事も導いていない

本記事はそれなりに技師の離職・採用が頻繁な病院に勤務する診療放射線技師を読み手に想定して書いております。ちょっと若い技師さんの話を聞く機会があって筆を執ってみました。本記事では学術的に有用な知見は得られません。

以前クラークさん(医事課の職員ではない)とtwitterで話をしたこともあるんですが、私には診療放射線技師としての「師匠」みたいな人も居ませんし、尊敬できる先輩は?と聞かれても「うーん。。。」という感じです。
私の性格が天上天下唯我独尊なものもありますが、仕事の8割は自分の自助で習得したと思っていますし、残りの2割も職場の歴史と慣例で習ったに過ぎないと思っています。

さて、今3~5年目くらいの技師さん、思ってません?

「あの尊敬してた先輩、辞めちゃったんだけど。研究とか自己研鑽とかは特にしてなかったけど、若い人の話よく聞いてくれて。優しくて、後輩みんなには好かれてたな。」

みたいな人、居ませんでしたか。

それなりにハイパーな施設に勤務していると、9時5時の業務をこなすことに重きを置くQOL重視のスンタスでは肩身を狭い思いをし
「研究しろ」「学会発表しろ」「勉強会出ろ」「認定技師取れ」「自己研鑽しろ」と言われまくると思います。
ご存じの通り、研究発表をしたり認定等自己研鑽を積んでもダイレクトに給与に反映することはほぼ皆無でしょう。それ故に「無駄な努力」をしたくないと、それらをやんわり拒否する若い方も多いと感じます。

ところでその「辞めちゃったけど、いい人で尊敬できた先輩」って、どんな人でしたか?きっと、数年後のあなたです

後輩に尊敬されるほどいい人、が未来の姿であればそれは喜ばしい事と言えそうな気もします。が、(偏見がおおいに含まれていると思いますが)今のその先輩の姿はきっとタイトルの通りです。

「尊敬すべき先輩」ってどんな人でしょうか。それは後輩を導き、成長するための標となる人物かと思います。人を育てることには終わりはありません。新人の頃には脱新人として育て、5年目を超えたら中堅として育て、常に目標となるべき存在です。また貴方にとってのみでなく、他の新人や後輩にとっても「尊敬すべき先輩」であるべきです。

そしてそれだけではありません。「尊敬すべき先輩」は上司からも認められなければ、その責務を果たせません。「研究しろ」「学会発表しろ」「勉強会出ろ」「認定技師取れ」「自己研鑽しろ」と言いまくる上司から、果たしてその先輩は認められていたのでしょうか。

言葉は乱暴になってしまいますが、(諸事情あるとは思いますが)残念ながらその先輩は、人を育てること、人を導くことよりも自身のQOLをとったのです。それでも新しい勤務地で、新たに人を導くような活躍をしていれば良いでしょうが、今のあなたの耳元にその活躍は聞こえるでしょうか。今でもその先輩は「あなたが尊敬した先輩」であるでしょうか。

もちろん、誰もが自分自身の利益のために生きて仕事をしていますので、自身のQOLを犠牲にしてまで他人に尽くす、人を育てる義務もありません。むしろ、誰もが「尊敬できる先輩」になる必要もありません。今後一生、貴方のことを尊敬する人なんで出てこなくても、それが普通かも知れません。あわよくば自分の子供くらいには尊敬されたいものですが。

ただもし、自分が「いい先輩でありたい」「後輩に尊敬されるような先輩になりたい」と思うのであれば、今一度「尊敬されるべき姿」とは何か、そして今現在「本当に尊敬に値する人間を、師として仰いでいるか」を考えてみるといいかも知れません。

本当の人望というものは、「いい時に持て囃してくれる人」ではなく「困っているときに力を貸してくれる人」です。自分が上の立場になったときに、「若い人の話よく聞いてくれて。優しくて、後輩みんなには好かれて」るだけで、後輩を守ることが出来るか。

機会があって聞いた若手技師の話と、自分の身の回りのことを重ねて、抽象的なことを書いてしまいました。

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