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No.94 2016年4月20日 聖心女子学院著『聖心の教育 -女子校発の4・4・4制-』出版

 2008年4月に初等科1年生が初めて3クラスになり、4・4・4制に向けての1期生が入学しました。各クラス32名の定員になりました。その学年が4年生の1月に編入試験が行われ4月に約24名が新たに5年生に転入学されました。5年生になった時の2012年4月に5・6年生の教室は初等科から離れ中高校舎の3階に移りました。その時6年生は最後の2クラスでした。初等科の5・6年生の担任・副担任も職員室は中高校舎の3階に移りました。私は6年生の副担任になると共に5・6年生の社会科専科を担当することになりました。私は高校社会科(現在の地歴科・公民科)の免許がありましたので、定年までの8年間は新たな教育のステージに移ったことになります(5年生副担任4回、6年生副担任4回と同数の副担任でした)。2008年の入学試験、2012年の編入試験は倍率が極めて高かったことから世間の4・4・4制への関心の高さを伺うことができました。
 当時、私立小学校のいくつかでは4・4・4制を進めている学校がありました。そのような学校を参考にしながらも、聖心では2003年頃から4・4・4制の構想があり、独自の方針を模索していました。校長、副校長、教頭、教務主任らがメンバーになり「初中高一貫構想委員会」が出来ました。私も初等科教務主任を担当していて構想委員会に参加していました。No.93の『聖心女子学院100年史』の発行で、目次に「第七章 聖心女子学院の再創立 2008- 教育理念の徹底/4-4-4制への挑戦」とあるのは独自の構想の集約でした。
 2012年に完全にスタートした4・4・4制の実状をさらに具体的にご紹介しようという意図で聖心女子学院著の出版をすることになりました。2014年頃から編集委員会が立ち上がり、私が編集委員長に指名されました。小・中・高と学院全体での取り組みですので、いろいろ困難なこともありましたが、2016年4月20日に聖心女子学院著『聖心の教育 -女子校発の4・4・4制-』(東洋館出版)は無事に出版されました。今回はこの話題です。

 本書の構成は以下のようです。目次を見ていきましょう。
第1章   聖心女子学院の教育
 1 人としての全体像に向けて
 2 女子として生きる
 3 創立者 聖マグダレナ・ソフィアと建学の精神
 4 教育の理念
 5 教育の方針
 6 イエスのみこころ
 7 創立の歴史
 8 聖心の教育の伝統
 9 18歳の姿 プロファイル
 10 プロファイルを生かす
 11 振り返り、分かち合う
 12 卒業生に学ぶ
第2章   聖心の4・4・4制
 1 4・4・4制の準備段階
 2 4・4・4制のスタート
 3 4・4・4制の充実を期して
 4 4・4・4制に移行しての成果
 5 4・4・4制の今後の課題
 特別寄稿「4・4・4制の意義と聖心の4・4・4制」 
             名古屋大学名誉教授 安彦 忠彦
第3章   聖心の教育課程
1 聖心女子学院の教育の特色
 2 聖心女子学院のプロファイル
 3 ファーストステージの教育課程
 4 セカンドステージの教育課程
 5 サードステージの教育課程
第4章   聖心の教育実践
 1 宗教教育
 2 教科、総合的な学習の時間における実践
 3 学校行事における実践
 4 奉仕活動における実践
 5 国際性教育における実践
 6 特別活動における実践
 6 特別活動における実践
 7 東日本大震災の被災地と繋がる
第5章   聖心の教育研究
 1 初等科の教育研究
 2 中等科・高等科の教育研究
 3 セカンドステージの教育研究
第6章   聖心の歴史と現在
 1 聖心会とは
 2 学校法人「聖心女子学院」
 3 聖心女子学院の歩み
 4 歴代の校長
 5 学院を支える人たち
 6 施設・設備
 7 聖心女子学院 校歌
 8 世界の姉妹校
 
 ここでは、「聖心の歴史と現在」から一部のことをご紹介致します。
聖心女子学院の歩み
1906年 教皇ピオ10世から聖心会に女子高等専門学校設立を要請される
1908年 白金三光町(東京市芝区にかつて存在した町名白金三光町、現港区白金)に修道院を開く
      財団法人私立聖心女子学院を設立し、日本最初の生徒入学
1909年 ヤン・レツル氏設計の修道院・校舎・正門が完成
      (正門は、現在も聖心女子学院の象徴として現存している)
1910年 聖心女子学院高等女学校、小学校、幼稚園、語学校(外国人部)開校  
1923年 関東大震災により聖堂、校舎、理科室の大部分が崩壊
1943年 財団法人聖心女子学院と改称
1944年 聖心女子学院初等科、那須に疎開
1945年 東京大空襲により校舎の半分を焼失 
現初等科校舎のみ残る
高等女学校、長野県岡谷に疎開
1947年 聖心女子学院中等科開校
1948年 聖心女子学院高等科開校
1951年 学校法人聖心女子学院に変更
1966年 高等科定時制開始
1971年 幼稚園廃止
1974年 聖心女子学院週5日制開始
1977年 高等科定時制廃止
1989年 カトリック女子教育研究所設立
1991年 聖心丹沢学舎開設
2002年 既設のインターネット回線を光ケーブルに変更
2003年 全館冷房化
2008年 聖心女子学院創立100周年祝典行事
      初等科1年生に32人学級3クラス編成の96名が入学
2012年 高等科新校舎完成
2013年 4・4・4制 初等科各学年3クラス編成に
(追記)
2023年 初等科5年生から順次各クラス30名の4クラス編成に 編入の人数は変更なし 
 
学校法人「聖心女子学院」
 学校法人聖心女子学院は、明治41年(1908)聖心会によりその教育理念に基づいて設立された財団法人私立聖心女子学院を創始として、昭和26年(1951)制度改正により学校法人聖心女子学院と組織変更、今日に至っています。
 現在、7つの学院に児童・生徒・学生約6100人、教職員約500人を擁し、他にカトリック女子教育研究所、生涯学習センター、聖心丹沢学舎(現在廃止)、不二農園を付設しています。
 また、2009年より7つの姉妹校が互いに協力・連携を図りながら、学校法人として力を結集できるための活動もスタートしています。
 
◆学校法人組織全体図
 学校法人 聖心女子学院
   聖心女子大学‐文学部(現 現代教養学部) 大学院 文学研究科(現 人文社会科学研究科) 
   聖心女子専門学校‐保育科[専門課程]英語科[専門課程](現在廃止)
   札幌聖心女子学院‐中学校―高等学校(2025年廃止予定) 
聖心女子学院‐初等科―中等科―高等科
   不二聖心女子学院‐中学校―高等学校
   小林聖心女子学院‐小学校―中学校―高等学校
   聖心インターナショナルスクール‐幼稚科―初等科―中等科―高等科
   
   カトリック女子教育研究所
  生涯学習センター
聖心丹沢学舎(現在廃止)
不二農園

世界の姉妹校所在地
所在校数30/学校数147(2015年3月現在)

裏表紙より

 残念ながら本書は現在絶版になっています。Amazonで購入すると、2023年11月1日現在、中古品‐良いで残り1点 7664円になっていました。
 
ですから、学院のホームページを参考にして下さい。
 
学院のホームページ
https://www.tky-sacred-heart.ed.jp/
 
学院のホームページで特に4・4・4制のポイントになるところをご紹介致します。
「在校生・卒業生へ」のコーナーにあります。
ステージの特色[各ステージで培いたい力]
ファーストステージで培いたい力(PDFファイル)
https://www.tky-sacred-heart.ed.jp/pdf/aim_1st_2204.pdf
セカンドステージで培いたい力(PDFファイル)
https://www.tky-sacred-heart.ed.jp/pdf/aim_2nd_2204.pdf
サードステージで培いたい力(PDFファイル
https://www.tky-sacred-heart.ed.jp/pdf/aim_3rd_2309b.pdf

 この各ステージで培いたい力は、前記でご紹介しました2003年頃スタートした「初中高一貫構想委員会」で最初に手掛けたものでした。このような具体的な取り組みが12年間で一貫することが4・4・4制に不可欠であるという認識が当時のメンバーにはあったのです。特に「聖心の特色」がどれだけ出せるかが大きな課題でした。
 私もファーストステージの「生活科」「社会科」「総合的な学習」、セカンドステージ5・6年生の「社会科」「総合的な学習」を担当しました。
 各ステージの「聖心の特色」を実行できているかが私立学校としての聖心4・4・4制のポイントになるのです。「絵に描いた餅」ではダメなのです。
 
 もっと広く聖心女子学院を見ていくには、
学校法人聖心女子学院のホームページも参考になります。
http://www.honbu-sacred-heart.jp/

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