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No.128 1994年~ 児童会活動 初等科全学年一緒に「聖フィリピン・ドゥシェーンフェスティバル」で遊びと学び

 キリスト教カトリック聖心会の聖人は創立者の聖マグダレナ=ソフィア・バラと聖ローズ=フィリピン・デュシェーンの二人です。聖フィリピン・デュシェーンの名前を戴いた児童会の活動が「聖フィリピン・デュシェーンフェスティバル」で1994年から始まりました。中高に「みこころ祭」という活動がありますが、初等科にも1年生から6年生までが楽しみ学ぶような活動ができればという思いで始まりました。現在は「聖フィリピン・デュシェーン祝日」となりプログラムが短縮されて行われています。
 1994年に初めて実施された時の様子を『カトリック女子教育研究』第4号(カトリック女子教育研究所、1995年)に「初等科における国際理解教育の実践―学校としての取り組みをめざして―」の研究報告の一部として執筆しましたので引用させて頂きます。
 
 1994年度から導入した、6年生の子どもが企画の段階から主体的に行動する児童会活動である「聖フィリピン・デュシェーンフェスティバル」について述べます。フィリピン・デュシェーンの「心の目を世界に向ける」「病人がいればどこにでも看病に行った」という精神を生かし、フェスティバルでは「知らない世界に関心をもとう」「だれとでも仲良く過ごそう」というテーマを設定しました。
 1994年の「知らない世界に関心をもとう」は「アジア・アフリカに関心をもとう」ということになり、当日の朝から国際協力推進協会の紹介により、4人の外国人の方に来ていただくことになりました。アヒ・アボール・ベンジャミンさん(男性・ガーナ)、フローラ・ファビアンさん(女性・タンザニア)、トニー・アグスティンさん(男性・フィリピン)、林 玲さん(女性・中国)いずれも日本の大学に留学なさっており日本語も上手でした。また、国際理解推進協会が制作した、エチオピアのある女の子の家族や学校での生活を追ったビデオ『アフリカ大好き』(1994年制作)を事前に子どもたち全員が見て、子どもたちがほとんど知らないアフリカの生活について考える契機をつくってくれました。
 1994年11月21日に行われたフェスティバルの1日を振り返ってみます。
8:20~ 8:45 聖堂朝礼(フィリピン・デュシェーンにちなんで)
 9:00~12:00 みんなで楽しく過ごそう 6年生が世話する各委員会のコーナーを1年生から5年生の縦割りのグループでまわります。ゲストの4人の方にもグループに入って頂きました。各委員会で過ごす時間は15分。どのコーナーでも楽しんでいました。
 各委員会のテーマは
生活委員会「リサイクルを体験してみませんか?」
放送委員会「ちょっとちがった音楽会」
体育委員会「君もこれでキン肉マン」
保健委員会「的あてとマッサージで美人に!?」
図書委員会「本買って、つくったしおりをはさみましょう」
もゆる会「○×クイズでお面をあてよう」
新聞委員会「有名人のかくれんぼ」
美化委員会「No.1はだれだ!!」
安全委員会「この子はだあれ?」

12:15~13:15 みんなでお弁当、そして遊ぼう
 1年生から6年生のグループでお弁当を食べ、後はグループで自由に遊ぶ。4人のゲストも子どもと一緒に食事をとり、遊んだり握手を求められたりしていました。林 玲さんが中国の遊びを子どもたちに教えて下さり、ベンジャミンさんも楽しそうに遊んでいました。遊びを通しての触れ合いが国際理解にとって無理なくできる一つの方法ではないかと再認識しました。

13:40~14:40 アジア・アフリカに関心をもとう
 6年生の実行委員会の子どもたちが、アジア・アフリカにお互い関心をもちましょうという願いを込めて企画しました。1994年はメディアがルワンダの難民問題を集中的に取り上げていました。そのような問題を考えると共に、スポーツや日常生活を通して自分たちとの生活の共通性を考えることもしました。プログラムの内容は
「アジア大会を振り返ってみよう」
 アジア大会の参加国地図をつくり参加国の紹介をしたりカバティの競技を実演したり、セパタクローの絵を使っての説明がありました。
「ウズベキスタンで私たちの教科書は活躍しているのかな」
 1994年5月にウズベキスタンの日本語を勉強している学生のために、教科書や子ども向きの本をお送りしましたが、大学の学長からのお礼のお手紙を紹介すると共にウズベキスタンとはどんな国か子どもたちが調べたことを発表。
「ネパールのキャンプ・サダコで活躍した久米さんからの報告」
 初等科の卒業生で大学4年生の久米さんがネパールのブータン難民キャンプで生活したことを6年生が伺い、キャンプでの生活の様子が分かるような実物もお借りして下級生に報告しました。
「ルワンダについて考える」
 メディアを通して伝わっているルワンダの現状と歴史について絵を使ったりして発表しました。
「アフリカにも普通の生活があるんだよ」
 『アフリカ大好き』のビデオから日常生活について10の質問をつくり答えてもらうと共に楽器について説明をしました。
「素敵なお客様に、インタビュー」
 ゲストの4人の方にそれぞれの国の言葉で「こんにちは」はどう言うのか、今日の感想、日本がどう見えるかというようなことについてインタビュー。

14:40~14:55 フィナーレ
 今日の子どもたちの感想を聞いたり、学年で一人が当たる抽選をしたりしました。最後に実行委員からの挨拶で終わりました。
 
 この「聖フィリピン・デュシェーンフェスティバル」は子どもの自主性を尊重し、教師の役割はあくまで補助というものでした。「遊び」と「学び」を国際理解という軸でつなぎ合わせた試みでした。

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