見出し画像

指す順6th 自戦記(第2回戦)

私はこの一戦に賭けていた。何が何でも勝ちたかった。相手があの『ゆーすさん』だから…というのも理由の一つではあるが、今期を戦い抜くモチベーションを維持する為にも、開幕連敗はしたくなかった。

前期5thは開幕から連敗スタート(不戦敗含めた5連敗)で心が折れそうになった。全勝するくらいの気持ちで臨んだ今期6thも初戦から黒星で、
2期連続の連敗スタートは、
何としてでも避けたかった。

本局、実は事前に用意した作戦があった。
私の『中飛車』に対して、ゆーすさんは
『超速二枚銀』を採用する前提で考えていた。
逆に言い換えると、それ以外の対策は何もしていない。ある種のギャンブルである。そしてもう一点、このギャンブルに勝つ為に、最も重要な大事な要素があった。それは、『先手番』をゲットすること。完全に運任せである。

時刻は22時、ついに運命の対局が始まった。
私は先手。手番の女神は私に微笑んだ。
だがこれはあくまで最初の前提条件をクリアしただけに過ぎない。本当の勝負はここからだ。
宣言通り、私は初手▲5六歩を指した。

『先手中飛車』に対する『超速二枚銀』と予想通りの戦型となった。そこで私の用意した秘策、
『中飛車二枚銀』を実戦投入した。
『目には目を』『歯には歯を』
『ラーメンには小池さんを』
『二枚銀には二枚銀を』
という作戦だ。

ここで△6五桂は、▲同銀でこちらが
良くなることを事前の研究で知っていた。
△5五銀右、▲同銀、△同銀、▲同飛、△同角、
▲同角と激しいぶつかり合いが続き、少しずつこちらが有利を拡大していった。ここまでは完全に事前研究の範囲内だったが、△4四銀で角の行き場所をどうするか少し悩んだ。

体感的に優勢ではあるものの、囲いに不安があり、渡した飛車を自陣に打たれると、
攻め合いで勝てる気がしていなかった。
とりあえず、攻めに繋がりそうな▲7三角成を
選んだものの、△7九飛を打たれたところで、
攻めるべきか、受けるべきか、方針を定める為に時間を使った。

第一感は▲6六角だった。8九の桂馬は取られるとして、9九の香車を守りつつ、相手玉を牽制する狙いがあったが、何かしっくりこなかった。そこからの直接的な攻め筋が思いつかず、他の手を探し、8一の飛車取りと6三銀成を狙った▲7二銀を見つけた。

△5一飛、▲6三銀成、△8九飛成、▲5ニ成銀、
△同飛と進んだ局面で、▲6四桂と▲6三角を考えた。どちらにしろ飛車が逃げて、4一の金に何らかの方法で嫌がらせしようという狙いだったが、
具体的な継続手はそこまで考えていなかった。

▲6四桂を選び、予想通り△9二飛と逃げた。
ついに玉を寄せることを考え始めたが、
いかんせん、私の終盤力のなさには定評がある。
『飛車の横利きが邪魔』『飛車取って王手したい』という二つの安易な発想から、ターゲットを金から飛車に切り替え、▲8一角を打った。
そこで全く読みになかった手に超ビビった。
△1五歩…『恐怖の端攻め』の始まりだ。
これを取るのは何となくヤバそうな匂いがした。
ほとんど読んでいないが、野生の勘が働いた。

とりあえず、▲9ニ角成で飛車を取った。
△同香…と思いきや、まさかの△1六歩…
端を取り込んできた…だと…!?
これはかなり焦った。例えるなら、銀行のATMで
暗証番号を2回間違えたくらいの焦りだった。

パニックに陥った私は取った飛車で王手した。
▲7二飛に△4二金だったが、▲同飛車成からの
そこそこ長い即詰みがあったようだ。

もちろん私には読み切れないし、
読むつもりもない。
大変な想いをして手に入れた飛車をそう易々と
手放すわけにはいかない。▲2二金とか
『送りの手筋』っぽいやつでいけそうな気もしたが、同時にいけなさそうな気もしたのでやめた。

攻め勝つ自信なかった私は仕方なく、▲1八歩を打ったが、そこで△9二香で馬を取られた。という事は、これ以上の攻めはないのかと安心して、▲5二桂成とした。体感では勝勢。寄せを失敗しない事だけに集中するモードになった…が、しかし、そこでまさかの△1七角!!!なにこれ!?
こんな攻めあるの!!?と再び混乱する私。

まずは▲同玉から考えてみる。負ける。
次に▲同歩、△同歩成、▲同香、△同香成…
▲同桂は負ける。▲同玉しかないが、
もう嫌な予感しかしない。
△1七角に対しての正解は、
▲同桂だったみたいだが、
なんか怖かったから選べなかった。
冷静に読む事が出来れば…と悔やまれる。

△1六歩、ここで▲2八玉は負ける。
▲同玉か▲2六玉かで悩んだが、取る事にした。
さらに△1五歩、▲2五玉なら負ける。
▲1七に引くのが最善手らしいが、読めない。
神頼みの▲同歩を選んだ。さらに△1四歩。
これは▲同歩だとマズそう…時間がないながらも、ちゃんと読んでみる事にした。多分、詰む。助からないと思ったら、だいたい助からない。

もう持ち時間がない。一か八かの▲2六玉。
ギリギリすり抜ける事ができる算段だった。
△3五銀に▲2五玉と浮いた。△2四銀打に
▲3四玉で危ないながらも、少し希望の光が見えてきた気がした。△3三金、▲4五玉、△4四金、
▲5六玉と逃れ逃れたどり着いたこの部屋。
ここで警戒したのは△5九竜だったが、
▲5八歩とかで何とか耐えれるかな?と考えていた。本譜は△5六香から▲6六玉、この辺りでうっすらと勝ちが見えてきた気がした。

△5四桂、▲同銀、△同金で
やっとこちらのターン!!まず考えたのは、
▲3四香、次に▲5三成桂、自玉の脅威を取り払う事を優先してしまい、▲5三成桂を選んでしまったが、よくよく考えてみると、先に▲3四香を打ってからでも遅くない。
ここからは持ち前の終盤力のなさを発揮し、
持ち駒をふんだんに使ったグダグダな寄せにはなってしまったが、何とか勝ち切る事ができた。

これで今期の成績は1勝1敗となり、連敗スタートを阻止する事ができたので、昇級圏内(まだ2回戦だけど)に食い込む可能性を残せた。

今回の勝因は何と言っても、事前の研究に付き合って頂いたB3の八十さんと、直前にやった『駒サプリ』の新作『玉を正しく逃げる』だと思っている。この2人?と、対戦相手のゆーすさんには、
本当に感謝しかない。

自戦記は鮮度が命と思い、終局後しばらく休憩してから書き始めてみたはいいが、もう朝の4時だ。
次戦は早い時間に設定するか、自戦記を後日にするか悩ましい。あと、書くのちょっとめんどくさい。こんな時間に書いたアレなので、読み返してチェックするのもしんどいので、符号とか間違えていても許して頂きたい。

この記事が参加している募集

将棋がスキ

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?