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職業選択の不自由

 憲法22条では、職業選択の自由を認めています。職場で嫌なことがあったら、直ぐにその仕事を辞めて、新しい仕事に就くことで、嫌な思いをせずに済むことになります。このため、雇用者側も、本来であれば、自社で経験を積んだ労働者に辞められないように、職場環境や労働条件の改善に努めます。

 しかしながら、モノプソニー、買い手独占の状況では、本来の需給メカニズムが働かず、労働力の買い手である雇用者側が強力な支配力を持つために、職場環境や労働条件の改善に努めなくても、労働力の確保が容易にできる状況になります。つまり、市場に任せても、市場が適正に機能しない状況となります。

 このような状況では、憲法22条に謳われている職業選択の自由が保障されているとはいいがたいのではないかと思います。職場や仕事が合わなくて、辞めて新しい職場や仕事を探す場合に、現在の労働条件と同じようなものがある程度見つからなければ、職業選択の自由が保障されているとはいいがたいように思います。

 最低賃金の引き上げは、現在の日本の労働市場が、適正に機能するようになるための第一歩と思います。日本が、国際経済の発展から取り残された状況が続き、失われた30年と言われています。この状況を改善するためには、もっと賃金のレベルを上げるようにすることが必須と思います。

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