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猫がきた

ここしばらくnoteを書いていなかった。
その理由はタイトル通りで。


6月某日、夕方から義妹たちが来るというのでわたしは昼からせっせと豚軟骨を煮ていた。
豚軟骨は安くて美味しくて身体にもいいし最高ですね。

すると玄関のチャイムが鳴った。
インターホンのモニターをみると、三件隣の親子と、お隣さん、そしてお隣さんの犬が小さなモニターにぎゅうぎゅうと映っていた。
まるで宗教の勧誘だ。

何事かと玄関をあけると皆を代表するかのようにお隣さんがにこりと笑い口を開いた。


『うちの物置の下に子猫がいるんだよ。見においで』


もう、私の中で危険フラグが立っていた。
宗教勧誘なら素気無く断るところだが…だが……。

だって、兼ねてより私は猫と暮らしたかったのだ。
犬とはかつて生活を共にしたことがあったが、猫との生活は未体験。
仲の良い人に猫飼いさんが多く、お邪魔させていただく際の猫達との触れ合いは私に絶大なる癒しをもたらしていた。

猫との生活はもう本当に憧れだった。
幸い家族は皆猫好きだが、同居の義父は猫嫌いなので飼うのは無理だとはなから諦めていた。
それに飼うとなればそれなりに出費も覚悟しなくてはならない。
生活がようやく自分ペースに戻りつつあったのに、また自由も制限されるだろう。

見たらだめだ見たらだめだ見たらだめだ
頭の中でシンジが叫ぶ。

え、え、と戸惑う私を、まあまあとセイレーンの如く囁きでいざなう彼女たち。
足が夢遊病者のように勝手に動き、炎天の下、気がつけばお隣さんの物置の前に移動をしていた。
圧力鍋の豚軟骨は、タイマーが作動している。

おもむろにお隣さんのお子さまがスマホを取り出し、猫を呼ぶ音声の動画を流し始めた。すると本当に子猫が1匹、また2匹と出てくるではないか。

そんな簡単でいいんか…!チョロすぎる!

子猫は全部で5匹らしいが、出てきたのは3匹だった。
しかも一匹はすぐにまた物置の下に。
迂闊にも手を伸ばし2匹を抱き上げてしまった。
お隣さんがそっと囁いた。  

『飼えばいいじゃん……』

そして小一時間経ったとき、私の部屋に子猫がいた。二匹。
キジトラの子と、シャムトラの子。
兄弟だけど随分毛色が違うものだ。
生まれてまだ一月経つか経たないかくらいだろうか。まだ瞳はキトンブルー。(子猫特有の深いブルーの目)

とりあえずキャンプ用品を入れているプラスチックケースの中身をだし、そこに近所の猫飼いさんからわけてもらったペットシーツをひき、お水をセットし子猫を入れた。

そして私はホームセンターへ向かい、猫用ミルク、フード(ドライ&ウェット)、ペットシーツ、猫用ベッド、猫用シャンプー、猫砂を購入した。
ついでにケージの値段をメモして帰宅。
ネットで買うかの比較のためだ。
(結局ネットでトイレと三段ケージを買った)

そして家に戻ると義妹達が来るまでの僅かな時間に人間のご飯の準備を整えた。

人間追い詰められたらやれるものだ。

この日、計測したところたった350gしかなかった子猫達はすくすくと成長し、今や1000gを越した。 
あの日のうちに残りの兄弟を飼えるという人を見つけたのだが、親猫が引っ越しをしてしまった後だった。
近所にいるはずなのに探したけれど見つけられず…ここが悔やまれるところ。


兄弟といえど、柄も違えば性格も違う。
キジトラは顔を近づけたとき、絶対に爪を出さず触れてくる。
フワフワー手で触られる至福。
さらにむしろ向こうからも顔を寄せ、ペロっとしてくれる。
(どこを舐めたか分からぬ舌なのでさりげなく口は逸らす)
対してシャムトラの子にチュ!としようとすると高確率でガブリとやられる。 
膝で寝たがったりとキジトラよりも甘えんぼうの癖にこの仕打ち。
一応手加減をして遊んでいるつもりのようだが、貧弱な薄皮しか持たない人間なので、かなり痛い。 
なので私はアウトボクサーのように素早くキスをしては顔を離すのだ。 

と、やんちゃで、まだまだ子猫感満載だが、獣医さんに二匹とも雄の認定を頂いたのでそれなりのサイズに育つでしょう。

でも問題ない。
そもそも私は大きな猫ちゃんが大好きだ。
子猫の可愛さは格別だが、もっちり大きな成猫の可愛さも子猫のそれと引けを取らない。

姉が言っていた。
猫は宇宙からの侵略者なのだと。
その愛くるしさで人々を虜にし、しもべにし、最終的に地球全土を侵略するのだと。
だとして、QOL爆上がりで、こちらには得しかないのだが…?と今日もキスの素振りをしつつ、元気に走り回る子猫達を眺めるのであった。





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