#あの冷たい冬の風のように

■登場人物

〇〇:東京で働くサラリーマン(25)

桜井玲香(22)

若月佑美(22)

中田花奈(22)

秋元真夏(22)

西野七瀬(22)

■あらすじ

ふとしたことをきっかけに主人公と彼女たちは出会う。それまでひどく穏やかだった日常が急変?!

主人公と乃木坂メンバー5名の恋模様を描いたハートフルラブストーリー。

------------------------------

冬の冷たい風はあの頃を思い出させる。

若くて、何も考えず、流されるばかりだったあの頃を。

今とは全く別の世界にいた、あの頃を…

------------------------------

ああ、体調が悪い…クラクラする…

ちょっと休もう…無理だ…

〇〇は突然その場にしゃがんだ。

?1:大丈夫ですか?!

?2:どうしました?!

〇:う…あ…だ、大丈夫です…

?1:顔真っ白…!

?2:貧血かもね…救急車呼びますか…?

〇:いえ、大丈夫です、少し休めば…ありがとうございます…(優しい人たちだな…

ふぅ…少し貧血が落ち着いた。

〇:もう、大丈夫です…ご迷惑おかけしました。

?1:ほんとに…?

?2:もし、もしよければ少し暖かいところで温かいお茶でもどうですか…?私たちも時間あるし、このままだと心配で…

?1:そうだね…そうしましょ?

〇:あ…ありがとうございます…

カラン

近くの喫茶店に入った。

古き良き、インテリアはモダンでアンティークなアイテムが並ぶ小洒落た品のある喫茶店だった。

席に座る3人。

〇:ホットカモミールティーで。

?1:んーじゃあ同じ物で。

?2:あ、私も!

〇:本当にありがとうございます…

〇〇は深々とお辞儀をしたあと、2人の顔をまじまじと見つめた。

〇:あ、あれ…?も、もしかして…

?1:シッ

〇:(若月さんと桜井さんですよね…?)

?2→桜井:はい、そうです…静かにね?

若:どこかに書き込みとかしないでくださいよ?

〇:はい、大丈夫です。

桜:もう大丈夫なんですか…?

〇:はい。もう落ち着きました…温かいカモミールティーで体も温まりました。貧血気味なんですよね、いつも…

若:良かった…

〇:さて…そろそろ飲み終わったし帰りましょうか…僕がご馳走させていただきます。

桜:いいよ〜大丈夫大丈夫!

〇:いえ、申し訳ないので…大丈夫です。

若:…では、ありがとうございます。

カラン

店を出て、家に帰る〇〇。

〇:僕こっちなんで…

若:え?私たちも…

〇:あ、じゃあ途中まで…

〇:あ、じゃあ僕こっちなんで…

桜:わ、私たちも…

〇:え?(笑)

若:もしかして…

〇:あそこのマンション…まさか…

桜:…何号室ですか?

〇:406…

桜:…お隣さんですね…(笑)

〇:ええええええっ?!

若:なんて偶然…ちなみに、玲香の隣が七瀬、その隣が私、その隣が若月、中田花奈、秋元真夏って感じ…

〇:す、すごいですね…

桜:ほんと。こんな偶然あるんだね〜きゃははははっ

玲香はいつものように高らかに笑った。

玲:あ、そうだ!今日この後若の部屋で鍋するんだけど、せっかくだし来ますか?

〇:え…?

若:ちょっと玲香!いきなりは失礼だよ…みんなびっくりするし…

桜:だぁいじょうぶだって〜〜

〇:え、い、いいんですか…?

若:…まぁいっか!来てくださいよ!

〇:は、はぁ…ありがとうございます…じゃあ後ほど伺いますね…

ピンポーン

玲:はぁ〜い!

ガチャッ

玲:いらっしゃいませ〜

〇:お、おじゃまします…

?:お、噂の〇〇さんですね〜

若:そうそう。玲香が呼ぼうってね!

?:玲香積極的やなぁ

?:まさかお隣さんだったなんて、びっくりだねっ!

〇:は、はじめまして、〇〇と申します…

?:中田です!

?:西野です

?:秋元真夏ですっ♪(😉💕)

〇:よろしくお願いします…(ほんとにウィンクするんだ…

〇〇はメンバーの輪の中に入り、鍋を食べつつ話をしていた。

真:…でさぁそれでさぁ…

中:えーー!まじ!めっちゃウケる!バイブスあがるわ〜

七:若写真撮ろ♪

若:とろとろ〜

玲:真夏特性の雪鍋どうです?

〇:美味しいです…あ、あとみなさん敬語はいいですよ…

玲:ほんとにぃー?!ありがとー!!

この軽さとノリの良さがこの子のいいところでもある。

皆それぞれ思い思いのことを話したり、ブログ、モバメ用に写真を撮ったりと、楽しそうな雰囲気だ。

七:あ〜もうあかん。少し寝る〜

若:七瀬大丈夫ー??飲みすぎ?少し横になってな〜。うん、そろそろ片付けはじめよーか。

玲:そーだねー

真:やるやるっ♪

皆で片付け、綺麗になった頃…

七:スーッスーッ…💤

若:珍しく飲んでたからなぁ、七瀬…うーん、仕方ない。〇〇さん、送り届けてもらってもいいですか?

〇:えっ…わ、わかりました…

よいしょっと…

七瀬を担ぎ、隣の七瀬の部屋まで連れて行く〇〇。

七瀬を起こさぬよう、ゆっくりベッドに降ろす〇〇。

布団をかけようとしたその瞬間!

ガシッ

〇:わわっ!

ドサッ

七瀬が〇〇を引っ張った。

そして七瀬は〇〇に抱きついた。

七:う〜〜ん…

〇:(ね、寝惚けてるのか…?)

とは言え、抜け出そうにも抜け出せない〇〇。

ーて、テレビで見る七瀬が目の前に…

ーか、かわいい…😳

ーキスとか…

と、唇を眺めていると…

七:…したいんやろ?

〇:え…?あ、起きて…?

💋

七:ななな、一目惚れしてもうたんよ、〇〇に。ほんとこの先まで進めたいけど…今日はあかんで💕

〇:…ん、うん…😳

その後、〇〇は若月の部屋へ戻り、挨拶を済ませてから寝ようとしたが、部屋に戻ると玲香と真夏が戻って来ていた。どうやら2人とも忘れ物を取りにきたようだ。

〇:あ…みんな戻ってたんだ。

若:なぁちゃん大丈夫そう?

〇:うん、最後ちょっと気持ち悪そうだったけど…もうぐっすり寝てたよ。

玲:…そっか。ありがとね。

真:〇〇って、優しいんだね😘

〇:真夏って、本当にこんな感じなんだね。

真:ちょっとこんな感じってどういうことー?😠

玲・若:ははははは…

玲:では、そろそろ寝ますか!

〇:じゃあ簡単に片付けようか。洗い物くらいはして行くよ。

若:じゃあ私はここらへんを…

若月、〇〇が同時に布巾に手を伸ばした…

〇:あっ😳

若:あっ😳

〇・若:ごめん、先いいよ…

玲:ぷっはははは、すごいねシンクロしてる🤣

〇:ふふっ…どうぞお先に。

若:…ありがと。

真:よし、完璧だぁー!寝るぞー!😊

〇:うん、おやすみ。

3人:おやすみなさーい!

若:(〇〇か…なんとなく、いいなぁ…

翌朝

バタバタ…

ちょっと?!まだ?!ねぇ?!玲香?!

ほら、いくよ!

ガチャッ

なにやら外が騒がしい。ドアを開け見てみると…

若:玲香ー?行くよー?😫

〇:…若月。

若:ああ…おはよう〇〇。玲香が起きなくて…😣

マネージャー:若月!行かないともうやばい!玲香は後で迎えにくるよもっかい!それより他メンバー優先で!

若:もう…!はい!わかりました!…〇〇、玲香起きたら連絡もらっていい?😞

〇:わかった。

玲香が心配になった〇〇は隣の部屋でベランダ自体は繋がっていたため、ベランダ伝いで簡単に玲香の部屋に入れた。

ユサユサ…

〇:…玲香?おはよう…

玲:…ん…ん…?😑

〇:玲香、もうみんな行っちゃったよ?

玲:今何時ぃー?

〇:7時46分かな

玲:えっえっ?!やばい!やばい!😱😱😱😱😱…とりあえずシャワー!!!

玲香は極限まで焦ったのか寝惚けていたのか、〇〇の前で突然全てを脱ぎ、一目散に風呂場へ駆けて行った。

〇:綺麗な体だなぁ…細い…😳

5分後、下着姿の玲香が出てくる。

バァンッ

玲:やばいやばいやばいやばい…

玲香がこちらをみる。

玲:…きゃ。😳

〇:きゃ。じゃないよ…😞

玲:ちょっとまってね…キャミソール着るから…

〇:大丈夫、さっき裸とか見てないから。

玲:み、見られちゃったよね…恥ずかしい…寝惚けてた…😳

〇:とりあえず急いで準備して?俺が車で送るから。

玲:…うんっひゃあ〜〜〜久々にやらかしてるぅぅ…😭

〇:ドライヤー手伝うよ

玲:あ、ありがとう…簡単にメイクしちゃう!

〇:服は?着る物イメージ出来てる?

玲:う〜〜、うん!大丈夫!もう今日はテキトー!

〇:よし、じゃあ出るか!

2人は〇〇の車に乗り込み、集合場所へと向かう。今日はどうやらロケのようで、ロケ地直行となっている。

玲:ああ、マネージャーに連絡しなきゃ…

〇:あと、若月がすごい心配してたから、若月にも連絡しておいてあげて。

玲:きゃあ〜怒られそう…😰

〇:まぁ仕方ないね。急ごう。

結局、現地集合時間の2分後に到着した。

〇:あそこの集団かな?急いで!

玲:うん!ほんとにありがとう〜〜!!!

若:玲香遅い!でも良かった…

玲:ごめん〜🙏💦ギリアウトかな?!

真:いや、まだ何も始まってないよ。だからギリセーフかも。

玲:よかった…

生田:ちょっと玲香また遅刻ー?ていうか、送ってくれた人、誰??

玲:ああ…あの人は私のお兄ちゃん!

生:へぇー!玲香のお兄さんかっこいいね!

白石:うん、イケメン😍

その他:ほんとだ〜✨

特に手も振らずそそくさと帰る〇〇の帰りを見届ける一同。

周りに言われたことで意識してしまった玲香、若月、七瀬。

ここから乃木坂46を巻き込み大きく状況は変わって行く…

ピロン♪

〇〇の携帯が鳴った。玲香からだ。

玲:今日は本当にありがとう!!無事、撮影がちゃんと終わりました…😭〇〇が起こしてくれて送ってくれたからだ…。その御礼がしたいのですが、今日の夜、空いてますか?もし空いてたら、今日19時ごろから、私の部屋に来てください。

〇:御礼なんていいのに…ありがとう。素直に甘えるね。

ピンポーン♪

玲:はぁーい!

〇:お邪魔します。

玲:はいはい、あがってあがって。あ、私の部屋はね、寒くさえしなければなんでも大丈夫だから!うん!

〇:…寒いからね、外。中は暖かいね。

玲:じゃじゃじゃ〜〜ん!🤗オムライスとポテトサラダ作っちゃいましたぁ!

〇:おお、手作りか。ありがとう!美味しそう!

玲:ふだんあんまり手料理しないんだけど…どう?

パクッ

〇:……

玲:…え…?😨

〇〇はにっこり笑って、美味しいよ。と答えた。

〇:料理は見た目じゃないもんね。

玲:ちょっとどういうこと〜?

〇〇:はははっ冗談だよ〜すごく美味しい。ありがとう、玲香😊

ドキッ…

玲香の胸は高鳴った。

ご飯を食べ、お酒を飲み始めた2人。

玲香から提案が出る。

玲:ねぇ、このマンションの46階に実は会員制のバーがあるの。

〇:へぇ、そうなんだ。

玲:パッと見部屋だしね…でね、そこにメンバーとたまに行くんだけど、今から行かない?

〇:いいね、楽しそうだ。行こう😊

2人は上に上がり、一見本当にただの部屋なのだが、チャイムを鳴らすと…

ガチャッ

ーいらっしゃいませ。

店員が出迎えてくれた。

ー桜井様ですね?

ーはい、そうです!

2人は中に入り、カウンターに腰かけた。

玲:素敵でしょ?ここ…

〇:ほんとだね…こんなところがあるなんて、全然知らなかったよ…!

玲:たま〜に仕事終わり、メンバーと来るんだ。ここなら誰にも見つからないし、部屋近いから多少酔っても大丈夫だしね。(笑)

〇:確かに…

ー何を飲まれますか?

マスターが尋ねてきた。

玲:私は…この、アイ・オープナー?ってやつください。

〇:へぇ…いいね、じゃあ僕も。

玲:ん?なんで?

〇:じゃあ、逆になんでそれ選んだの?

玲:うーん、なんとなく目に止まって…なんかこんな気分かなって。なんで?

〇:そのカクテルの意味…知ってる?

玲:えー知らない知らない。なぁに?

〇:…運命の出会い。

玲:へぇ〜〜!!そうなんだ!!じゃあ私と〇〇の出会いは運命の出会いだったのかもね〜〜!😊😊😊

玲香はあっけらかんと答えた。

〇:はははっ

マスター:ふふふっ

カラン♪

ドアが開く音がした。

ーいらっしゃいませ

ー西野様と若月様がいらっしゃいました。

玲:お!若となぁちゃん!😍

若:あ、玲香と〇〇だ〜なに?2人?

玲:そう!今日の御礼を…

若:ほんとそうだよね…改めてありがとうございました…😔

若月と七瀬が頭を下げた。

焦って玲香も下げた。

〇:…ふたりとも、仕事終わり?

七:せやで😊ようくんねん、ここ。なぁ?

若:うん、落ち着くし雰囲気いいし…お酒飲むと眠くなっちゃうけど。(笑)

〇:そーなんだ…まぁとりあえず座って座って。

4人はカウンターに並んで座った。左から、

玲香、〇〇、七瀬、若月

このように座った。

奇しくも同時に〇〇の魅力を感じ始めている3人。それから2時間ほど飲んで気も大きくなった後、興味の矛先は〇〇についてのみだった。

七:…そういえばさ、〇〇って今なにしてるん?仕事

〇:まぁ普通のサラリーマンだよ?Web系ね

七:へぇ…なんか難しそうやな

〇:そんなことないよ。

若:…彼女っているの??

〇:いないよ(笑)

若:へぇ〜なんかモテそうなのに。

〇:いや…それが全然モテないのよ…😔

玲:じゃあ好きなタイプは??

〇:う〜ん、、難しいけど…

まぁ普通に優しいとかってところはあるけど、

一つ目はいつも元気ではつらつって感じで、

二つ目はまぁでも真面目で思いやり深い方がいいかなと思ってて、

三つ目は、絵が上手かったりそういうセンスがある人には惹かれるね〜とか。かな?(笑)

3人:…😳😳😳

3人の胸は高鳴った。

若:へぇ、そうなんだ〜絵が上手いって言ったらなぁちゃんだね!

七:いや、若もうまいやん(笑)

玲:いやこの間楽屋で描いてたディズニーシリーズ凄かったって!

七:若も個展とか開いてるしさ、そっちのほうがよっぽどすごいって〜

玲:そういえばディズニー行きたいなぁ夢の国。〇〇はそういうの好き?

〇:うんまぁあんまり自分から行こうとは言い出さないけど、行きたいって言ってくれる人がいればいくよ。

玲:じゃあ今度行こうよ〜!

若:いいね〜あ、あとさ、美術館もゆっくり回りたくない?2ndアルバムで撮影した新国立美術館行きたいんだよね。

七:…

若:…なぁちゃん?どしたの?

七:ちょっと今日も飲み過ぎたかも…ちょっともう部屋戻ろうかな…

少しフラつきながら歩く七瀬

〇:ちょ、大丈夫か?七瀬

七:無理かも…

〇:えっまじかもうちょい我慢な😰ちょっと七瀬送ってくる…

玲:じゃあお会計しよっか!マスターいくら?

ーぴったり46,000円でございます。

〇:マスター、これで払っといてください。

〇〇はスッとクレジットカードを出した。

〇:玲香、サイン書いてカード受け取っといてもらってもいい?

玲:えっ…うん…いいの?

〇:うん、大丈夫。なんてったって、運命の出会いに乾杯したからね😚

玲:…😳 〇〇、酔っ払ってる😑

若:…ん?なにそれ?

玲:いや、なんかなんとなくってことじゃない?普段あんなこと言うキャラじゃないじゃん🤔

若:…ふぅん…まぁ、ご馳走様です!ありがと〇〇!

〇:うん!また!…大丈夫か?ななせ…

七:…うん…

2人は七瀬の部屋についた。

ーガチャッ

ーバタバタッ

ーよいしょっと…

ー七瀬、大丈夫か?

ーガシッ

ー(えっまたこのパターン?!)

ー今日は…ええよ?

ー七瀬…

その時のかわいさの恐ろしさと言ったら、戦慄を覚えるほどだった。

ーゴクッ

思わず息を呑む。

ーななじゃ、嫌なん?

ーいやっそんなことっ…

〇〇は理性を忘れた。

そして2人は一線を超えた。

酔いの力もあり、止めることができなかった。

一方、部屋でシャワーを浴びる玲香。

ーなぁちゃん大丈夫かなぁ…

ーあ、〇〇もまだなぁちゃんのところにいるのかな…

ーいや、さすがにそれはないか…?

ーうーん、どうなんだろう、聞くほどでもないし…

一方、若月の部屋。

ー今日もご馳走になっちゃったな…

ー〇〇に連絡しとこう。

ー今度、もし良かったら御礼させてね、と…

ー〇〇と美術館巡りとか出来たらいいなぁ…

こうして3つの部屋、それぞれ思い思いの夜を過ごした。

翌日

〇〇は仕事が終わり帰宅していた。

若月からの連絡は、こんな内容だった。

ーここ最近の御礼、夜ご飯ご馳走するでもいい?

ーありがとう。でもいいよ、気にしなくて。

ーううん、じゃあ19時に私の部屋来て?

ーわかった。

ガチャッ

〇:お邪魔しま〜す

若:お、きたね〜おつかれ!もうすぐできるからそこ座ってて〜!

若月の部屋は綺麗だったが、絵画や雑貨などが飾られており、芸術性を感じさせるような部屋となっていた。

ーそういえば、七瀬の部屋も玲香の部屋もあんまりよく見なかったな…

若:は〜い!できたよ!食べよっ

若月はとても嬉しそうだ。目の前には美味しそうにマッシュポテトの上に乗せられた、楕円形で大きな一つのハンバーグ。ふんだんにかけられたデミグラスソースの下から滲み出る肉汁がまた食欲をそそる。

〇:う、うまそう…いっいただきます!!

大きめの一口を口に頬張った。

〇:うんまっ!!!!まじうまい!!!😊😊😊若月料理得意なんだね…たしかに乃木どこのキャンプ企画でも大活躍だったもんね。

若:よく覚えてるね〜ありがと!ふふふ

その後はあっという間に食べ尽くした2人。

〇:…御馳走様。めちゃくちゃ美味しかった…やっぱ若月は何でも出来てすごいね。

若:全然だよ。むしろ…悩むことがいっぱい…

〇:どした?

若:…ううん。なんかね…

〇:…よし。今日も軽くお酒飲みながら話そっか?上、行かない?

若…うん。明日仕事早いからちょっとだけだけど…

〇:もちろん。

2人は46階へ向かった。

ーカラン

ー〇〇様と若月様がいらっしゃいました。

中:え?若ー!〇〇もー!

若:ああ、2人とも!

真:あー!すごーい!4人でのもうよー!

テーブル席に誘われ、4人席に座る。

〇〇と若月は真面目に話をする予定だったが、真夏がいつも通りイジられ、中田は自虐ネタで笑いを誘い、若月が箸くんを披露するなど、順調に酒も進んでいた。

ーカランッ

ー桜井様がいらっしゃいました。

若:お!玲香ー!

玲香も合流し、乾杯など一通り話をした。

そして、卒業の話になった。

真:…最近、まいやんと話したんだけど…まいやん、今年のどこかで卒業するかもって…

若:…

中:そうなんだ…

真:七瀬とかも、どう考えてるんだろうね…

若:うん…

〇:俺は辞めて欲しくないけどな…乃木坂の西野七瀬って有名だし…

中:そう、そこなんだよね…あのAKBさんでさえ、卒業したらそんなに活躍してる人いないから、まだ乃木坂にいた方がいいと思うんだよね。

若:…

玲:…

〇:…

真:ほんとに…それはよく考えるよね…何か特筆すべき能力を持ってるべきなんじゃないかって…

〇:…アイドルの悩みってわかんないけど…おんなじようなこと、思うよ。サラリーマンでも。

〇〇の話に耳を傾ける4人。

〇:当たり前のことがまず出来ないと価値ゼロだし。

査定は項目に分かれてて、相対的に評価されるし。

あとは強みをどこに持って来るか、みたいな。

基本的には俺なんかいなくても世界は回るんだって思ってる。

何のために生きてんのかなーって。

もちろん毎日楽しいし全力でやってるけど…

この先には何が待ってるんだろうって。

でも、考えても仕方ないから今自分にできることをやってる。

けど、それだけでもダメなのかなって…

自分でも出来ないことを欲張って出来るようにするのが、もっと楽しくなる方法なのかなーなんて思ったりしてる。でも、結局は自分が楽しまないと何も楽しくならないってことなのかなって。

難しいけど…こういうことはサラリーマンも思うことだよ?

若月と玲香は泣きながらに答えた。

若:…ほんとそうだね。頑張ってるのは私だけじゃないし、辛いのも私だけじゃない。

玲:ほんとにね…

中田、真夏も泣き出す。

そこで若月が、涙を拭いて切り出す。

ーよし、じゃあがんばろう!円陣だーー!

ーがんばるぞ!おーーーーっ!!

そうして新しくできた絆。

玲香は〇〇の言うことの正しさや的を射ていることには心を動かされる。しかし、解決策が見つからず……感情は追いつかない。

〇〇は玲香の顔行きが曇ったのに気付いていた。

それから、乃木坂組が忙しくなり1週間ほど〇〇は誰とも会わないしすれ違いすらしない状態になっていた。

〇〇は玲香のことが気になっていた。

ある日、〇〇は玲香に連絡をする。

ー玲香、今日夜空いてる?ご飯でもどう?

ーうん、少しだけ遅くなるけど、いいかな?

ー待ってる。

ピンポーン♪

ガチャッ

玲:お邪魔しま〜す♪

〇:うん、いらっしゃい!ささ、そこらへんに掛けて待ってて。

玲:うん。あ〜〜疲れた〜〜😫

〇:はい。どうぞ。

玲:うわぁ〜〜オムライスだぁ〜〜!今度は〇〇が作ってくれたんだね!ありがとう〜〜!いっただっきたーす😊

玲:ん、美味しい〜〜!

〇:まじか!良かった〜〜

玲:ありがとね。最近、いろいろあったけど、なんだか癒された気分。

〇:…どしたの?って、聞いてもいい?

玲:うん…この間ね…ライブ前なのに全然まとまりがなくて…キャプテンとしてどうすればよかったの?って…〇〇はどう思う…?

〇:うん…どうだろう…難しいけど…キャプテンとしてそんなに肩を張らなくていいよって、みんな言うと思うんだよね。

その意見も正しいと思う。けど玲香はキャプテンだから、出した決断は正しいと胸を張った方がいいと思うよ。

1番いけないのは、正しいと思って出した答えを後から後悔しちゃうことじゃないかな…後悔するくらいなら訂正しよう。難しいことだけど。

とか、無責任にごめん…

けど、俺はいつもその時その時の自分が常に正しいと思えることを選んできてるつもりで…

もちろん悩むこともたくさんあるけど…

玲香は泣き出した。

玲:ううん…うっうっ…

〇:玲香…

玲:〇〇…ありがとう。素敵な考え方だね…すごく響いた…

〇:ううん…

その頃…七瀬が玲香の部屋を訪れていた。

ピンポーン♪

七 玲香ー?ご飯食べ行かへん?

シーン

あれ…?なんか向こうから声が聞こえる…?

〇〇の部屋の扉に耳をそばだてる。

中から玲香の声が…

それを聞いて七瀬は嫉妬した。その七瀬は…

ピンポーン

〇:え?誰だろう

ガチャッ

七:〇〇…きてもーた。あがってもいい?

〇:え、七瀬、

七瀬は返答を待たず部屋にあがる。

ここから話は急展開を迎える。

七:あー!玲香ー!玲香と仲良しなんやなぁ?あれ?玲香泣いてへん?どしたん?

〇:あ、なんかこの間元気なさそうだったから、俺が…

七:ふーん。玲香、メンバーには相談せえへんのに〇〇にはするんや…

玲:あ、いや違うのたまたま

七:違くないやん…ま、ええねんけど。何食べてんの?うわ!オムライスめっちゃ好きぃ。〇〇の食べていい?

七瀬は〇〇の食べかけのオムライスを食べかけのスプーンで食べた。

七 〇〇は料理うまいんやなぁ

〇 う、うん…

玲 ね、上手だよね!

玲香は悟ったのか七瀬に話を合わせた。

〇〇は卓に戻り、余ってたサラダに手を付けようとした。すると、先に七瀬がとり…

七:はい、あ〜〜ん

〇:ど、どうした七瀬…

無言で、んっ!と強くフォークを出す七瀬。

パク…

玲香も七瀬の異様な態度に何かを感じ取る。

七:なぁ、私も相談事あんねんけど、聞いてくれるん?

〇:え、あ、うん…

七:人の心ってどうやったら私のものになんねやろ

〇:え?

七:どうやってでも手に入れたい人おったら…玲香ならどうする?

玲:いやいや、乃木坂は恋愛禁止だし…

七:例えばの話やとして。

玲:うーん…考えたことないから難しいなぁ…

七:私ならどんな手でも使いたいなぁ。ほんまに勝ちたいんやったら。負けてもいいんやったらやらん方がええやん?

心なしか七瀬の語気が強い。

玲:そうね…うーん。そうかも。

七:ななな、〇〇のこと欲しいねん。玲香、どうする?

玲:えっええええっ…?

七:玲香もそのつもりなら負けへんよ。仲悪くなりたいわけちゃうねん。誰にも〇〇を取られたくないんよ…

〇:ちょ、ちょっと待ってちょっと待って、なんか話が変な方向に…

七:〇〇は黙っとき!

〇:はい…

玲:うん、わかった。今なぁちゃんに言われてわかったけど、私も〇〇のこと、好き。負けないよ?

七瀬はにっこり笑った。

七:よかった。玲香ならわかってくれると思ってた。じゃあ私今日のところはお邪魔虫やし帰るな。ほなまたね〜

ちゅっ💋

七瀬は〇〇の頬にキスをして部屋を出て行った…

〇:…

玲:…

〇:…

玲:…ふぅーー。。勢いで言っちゃったけど、私〇〇のこと好きよ。

〇:…う、うん…

玲:今すぐ答えを出せなんて言わないから…

〇:うん…でもたぶん、玲香には話さなきゃいけなくて…実はこの間…七瀬を部屋に送った時、酔った勢いもあって、その…

玲:最低…

〇:そうだよね…

玲香は〇〇に近付いた。

玲:でも、それを言ってくれるってことは、私の方に気があるのかな…?

〇:え…?

玲香は〇〇にキスをした。

玲:じゃあ、私とも同じ条件にして…?

その後、2人は熱く激しく交じり合うように求めあった。

翌朝

ガチャッ

〇〇の部屋を出る玲香。

ガチャッ

自分の部屋を出る七瀬。

玲:なぁちゃん、おはよう。

七:玲香、おはよ。

七瀬はすぐに察したが、動揺する気配も一切見せず、じゃあ行ってくるね、とだけ言い、分かれた。

ピロン♪

〇〇の携帯が鳴った。

七瀬からだ。

七:今日、夜空いてる?仕事終わるん早いんやけど、その後ご飯作りに行ってもええ?

そして…

ピロン♪

再び〇〇の携帯が鳴った。

玲香からだ。

玲:昨日今日とありがとう。すごく幸せだった…出来れば今日もまた、〇〇と一緒にいたいな…

〇〇は困惑した。

流されるがままにここまで来てしまったが、どうすればいいかもわからず…

ピロン♪

再び、〇〇の携帯が鳴った。

若月からだ。

若:先日はありがとう!〇〇の言葉のおかげで、吹っ切れたように仕事が楽しくなってきた!そのお礼がしたいんだけど…今日夜空いてない?

ここはどちらも取らず、若月を選択するのが最適だと思った。

玲香と七瀬、それぞれにこう送った。

〇:ごめん、今日は若月とご飯食べることになってるんだ。なんだか、先日のお礼がしたいと… だから、また今度にしてもいいかな?

すると、2人から全く同じような返信が来た。

玲:あ、若も一緒に食べようよー!!

七:若おってもええで?

〇〇は女性の恐ろしさを垣間見たような気がした。

その夜…

〇〇の部屋には、

七瀬、玲香、若月、そして真夏、中田が来ていた。

若月にその後連絡したところ、どうせだったらみんなでたべよう!ということになり、〇〇の部屋開催でお好み焼きパーティーが催されることとなったのだ。

さすがの女子力、真夏がテキパキと手際良く準備を進める。仕事の大部分を並行してこなすことができるため、他メンバーはサポート程度となるのがいつものこと。

しかし、今日は玲香も七瀬も張り切って準備をしているのだ。

そんな様を見て、若月は若干の違和感を感じる。

若:なぁちゃんいつもならダラダラしてるのに珍しいね?

七:関西人やし…お好み焼きめっちゃ好きやからやで?

若:玲香もどしたの?

玲:ん〜。なんとなく真夏の女子力奪おうと思って!

部屋の方で座ってお喋りしてた中田が察する。

中:ほほう…?👀

〇:ん?どした急に

中:お兄さん…最近モテてます?

〇:…いや、そんなこともないよ。

中:…ふぅ〜〜ん

〇:なんだよ?

中:いや、べっつに〜。ねね、玲香、〇〇が退屈そうにしてるから、あっちでお話相手してあげて?

玲:…!うんっ!

玲香は〇〇の隣に座り、至近距離でお喋りをはじめた。

それを見ていた七瀬は…

七:あ〜これ大変やなぁ…若、千切りできる?出来るんやったら代わってほしいねんけど…

若:…ん?あ、うん出来るけど…

中:若月、代わってあげてよ〜 😜

七:ほんま?めっちゃ嬉しい!ななも疲れたからあっちいこ〜っと。

玲:〇〇はお好み焼きに何入れんのが好き〜?

〇:うーん、無難に豚玉も好きだけど、モダン焼きとかも好きだよ。

七瀬はキッチンからリビングに移り、〇〇の右隣に座った。

七:モダン焼きええよなぁ!ななもめっちゃ好きやで?関西にめっちゃ美味しいとこあるから、連れてってあげたいけどな〜

〇:え、すごく行ってみたい!というより関西も一回しかないから

七:ほんま?そしたら今度関西旅行せえへん?

玲:え〜!私も行きたい〜!大阪!大阪!

玲香は、七瀬とそういう関係にあることすら忘れ、シンプルに行きたがった。

〇 (玲香…

七 (玲香…

中 (玲香…

玲 え、だめ?!

〇 いや、全然いいよ。かわいいやつだなぁ玲香は…あはははは

〇〇は笑いながら答えた。

七 …ムッ😠

真夏が具材全てをこっちへ持って来た。

真:は〜い、出来たよ〜焼こう〜〜!

〇:真夏はさすがだなぁ。将来、真夏と結婚する旦那は幸せだろうな〜

真:え〜じゃあ〇〇、私と付き合う?ずっきゅん!

七:真夏、将来のことやし今ちゃうで?何言うてんの?

玲:そうだよ〜真夏はすぐ調子乗るんだから〜

真:あ、はい、ごめんなさい…

〇:2人とも冗談なんだから流してやってよ笑

七:…なにそれななが悪者みたいやん

玲:わたしもー!

〇:いやいや、全て悪者は僕ですごめんなさい🙏

玲 (確かに…

七 (確かに…

中 (確かに…

〇:さささ、みんなで焼いて食べようか?

一同 おー!

席の構図はこのようになっていた。

真夏 若月 中田

プレート

玲香 〇〇 七瀬

ジューーーーッ

若月が綺麗に焼き上げ、〇〇の皿に装った。

若:男の子だからね〜ちょっとでかめにしとこっか。あらよっと!

〇:あらよっとって。(笑)

若:あーごめんごめん、最近男役多過ぎて演技の練習してたら、ついこういうの出ちゃうようになったんだよね…

中:確かに若様はイケメン…

〇:若月のそういうとこほんとすごいよな。マジ尊敬するよ。

七:ほんまやなぁ。若の演技は魅せられるで。

若:いやいや、この間のなぁちゃんのNogibingoの妄想ドラマもすごかったよ〜

真:ほんとにあれはすごかった!かわいかった〜

〇:玲香が真夏をイジメてる感じも凄い良かったけどね笑

玲:でしょ〜?ハマり役だったでしょ〜?

〇:勿論、七瀬のあの役も凄いかわいかったけどね…かずやがイケメン過ぎた(笑)

中・真:わかる〜〜

七:…😳

中:…どしたの?七瀬

七:いや、なんもないで😚

真:でもほんとみんなすごい演技上手だよね〜

〇:うん、みんなめっちゃ頑張ってるんだろうなって思った。

中:まぁ私と真夏はバラエティ路線もっと頑張らないとね(笑)

真:そうだね(笑)

お好み焼きも食べ終わり、他愛のない話をしていたメンバーたち。

若:そろそろ時間も時間だし、じゃんけんで負けた2人が片付けする罰にしよう!

〇:よしきた!まぁ俺はいずれにせよ手伝うけど(笑)

さーいしょーはグー ジャンケン ポイッ

・・・

ザーッ

〇:あ、大きいのは俺洗うよ。こっち頂戴。

?:ありがとう。じゃあ私こっちの方やっとくね。

〇:うん。あ、そのプレートはそこ置いといて、若月。

若:わかった。

玲香や七瀬はどうにか負けたかったが、勝ってしまい、中田や真夏に連れられ早々に他のメンバーと自室に戻っていた。

そして、満腹感とお酒の気持ち良さで、2人とも気付いたら爆睡、だった。

〇:よし!これで最後だな〜。ありがとな、若月。

若:まぁジャンケンだしね。まだ寝るには早いし、少しだけ飲んでいこっかな〜

〇:お、いいね。じゃあ、この間新しく買ってきた芋焼酎でも開けるか。

若:よし、いっちゃおう!

疲れもあったからか、2人は2杯程度でかなり酔いが回ってしまう。そして、〇〇はあの話を若月にしてしまうのだ。

〇:なぁ、若月…

若:なになにどしたの急に改まって

〇:実はさ…

〇〇は事情を全て話した。

若:え!!

〇:どうしたらいいと思う?俺…2人にも申し訳なくなっちゃって…俺がもっとはっきり2人を拒否してたら、こんなことにもなってないのかなぁなんて…

若:…そうだよね…

〇:もし2人が犬猿の仲になったらどうしようとか、乃木坂に亀裂を入れてしまったらどうしようとか、めちゃくちゃ考えちゃうんだよね…責任が重過ぎて…

〇〇は泣き出した。

それを見た若月は、〇〇の手を握った。

若:大丈夫。私たち華の94年組はそんなことじゃ斬り裂けるほど弱い絆じゃない!

〇:若月…

そう言って〇〇は若月を抱き締めた。

〇:ごめん、ちょっと落ち着くからこうさせて…

若:…うん…私で良かったら、いつでも相談乗るからね…?

〇〇は、若月にキスをした。

💋

若:…

若月も嫌じゃなかった。むしろ…

若:今日は、そういうのなしにして、いいよ…?

〇:…うん…

〇〇と若月は抱き合い、お互いの心を支えるかのように優しい愛撫と抱擁を交わした。

〇:(俺は若月とも…何をやってるんだ…)ふぅ…

若:大丈夫。安心して。私はこれ以上を求めようとはもうしないから。でも、最後に一個だけワガママいいかな?…ゆみって、呼んでほしい…

〇:…ゆみ…

もう一度、2人は愛し合った。

翌朝早朝、

〇〇が寝ている間に若月は自室に戻った。

ピロン♪

〇〇の携帯が鳴った。

〇:ん…?

若月からだ。

若:昨日今日とありがとう。この事は2人だけの秘密にしましょう。あと、玲香とも七瀬とも付き合わないことになったら、もしくは終わったら、私と付き合ってください。私は…ずっと待ってます。あと、このメールに返信はしないでください。何が来ても、この決心が鈍ってしまいそうで…

〇:押し寄せる罪悪感と、若月の優しさに、〇〇の頬には涙が伝った。

その2時間後…

ピンポーン

来客だ。〇〇は涙を拭き玄関へ向かった。

ガチャッ

?:おはよう。

〇:…七瀬。おはよう。どしたの?

七:…今日仕事遅いの。〇〇の家でゆっくりしてってもいい?

〇:…いいよ。

〇〇が部屋へ戻ろうとした瞬間

ギュッ

七瀬が後ろから抱きついた。

七:…ほんまに好きやねんで?

〇:…意外だったなぁ。

七:なにが?

〇:七瀬、恋愛とかめんどくさいってタイプだと思ってた。

七:ほんまはそーやねん。けど、こんなに人を好きになったんは初めて…

〇:…俺は大していい男じゃないぞ。

七:なんで?なんでそう思うん?

〇:どっちつかずで何も決められなくて、自分のことは棚に上げて偉そうな仕事論だけはみんなの前で話して。ダサくない?って思うんだよね…

七:そういうことを言えちゃうとことか、好きやで😊人に弱みを見せられるって、すごいと思うんよね。なな、本当に信頼してる人にしかできひん…

〇:正しいと思うよ。七瀬は強い人の生き方が出来る人だもん。

七:ほんまはな、全然強くないねん。今は、こうやって〇〇に甘えられることで自分保ててんねん。

〇:そうなんだ…

七:重いよな、ほんまごめん。あかん、とは思ってんねんけど…

〇:…ううん、全然…

七:…部屋入ろか。

〇:…うん。

ピロン♪

〇〇の携帯が鳴った。

七:携帯、鳴ってるで?

〇:…大丈夫。

七:ほんま?…へへへ、嬉しい。2人の時間を取ってくれたんやな😊

ギュッ

七瀬はソファの上で〇〇に抱きつき、キスをした。

💋

七:こうして〇〇と繋がってないと、ずっとめちゃくちゃ不安やねん…

そう言い、七瀬は〇〇の首や鎖骨周辺を舐め、下半身に手を伸ばし…

〇〇も、感情は複雑とは言え、止めることも出来ず…

ただただ受け入れた。

行為が済んだ後、七瀬は甘えた表情で一言言った。

七:なな、、〇〇とずっと一緒にいたい。そのためなら、乃木坂辞めてもいい…

思わずこう声を荒げた。

〇:…七瀬、それは違う。俺は俺なんかのために七瀬が犠牲になるなんて嫌だ。乃木坂やめるだなんて言わないでくれ!

七:…ごめん…

七瀬はそのまま何も言わず部屋を出て行った。

〇〇は七瀬が出て行った後、携帯を見た。

中田からだった。

〇 (珍しいな…

中:今晩空いてる?真夏と私の部屋でご飯食べる予定なんだけど、もし良かったら〇〇もどう?

〇:うん、いいよ。

中田の誘いに戸惑いを受けるものの、行くことにした。

一方…

七:(どうしたら、〇〇はななになびいてくれるんやろか…)

七瀬はコンビニに寄ってから部屋に戻ろうとしていた。

その時、家を出るタイミングの若月とすれ違う。

若:お、七瀬じゃん!今日はこれから?

七:うん…準備したらいくで?

若:なんか元気ないね?どした?

七:…なぁ若、今日夜時間ある?一緒にご飯食べへん?

若:…いいよ!20時には終わる予定!

七:せやったら、家着く頃連絡するな!

若:わかった!じゃね〜

若月はわかっていた。

今日夜に〇〇とのことを相談されることを。

それが、若月の選んだ道だった。

〇〇は会社にいた。

七瀬が家に来ていたため、午前休を取っていたが午後は出勤した。

〇:…はぁ…😔

上司:どうした?最近元気ないみたいだけど。体調悪いのか?

〇:ええ、少し風邪気味で…

上:そうか。体調には充分気をつけろよ。

〇:はい、すみません…

上:…今少し時間あるか?屋上行かない?

〇〇と上司は屋上へ向かった。

上:ここなぁ、眺めいいだろ?

〇:ここ立入禁止区域じゃ…

上:まぁそう固いこと言うなって。たまにはいいじゃん。

〇:…

上:悩む時にな。来るんだよ、たまに。仕事のことだけじゃなくて、人生の問題はいきなり色々重なる時がある。そういう時は、何が起きてるのかわからなくなるくらい、怒涛に出来事が重なるんだ。

〇:…!

上:そういう時の対処法はな…

〇:対処法…?

上:目の前の出来事から逃げないことだ。一個一個正面から向き合って潰していくしかない。そうしないと、それを乗り越えた時に自分に残るものが何もない。ま、色々と悩む年頃だろうけど、自分と向き合うことはやめるなよ。これ、やるよ。

ポンッと肩を叩いて、まだ空いてない栄養ドリンクを渡して上司は先に戻った。

〇:…自分と向き合うことをやめるなよ、か…

ゴクッゴクッ

ふぅ…

その晩。

近くの店に七瀬と若月はいた。

若:おつかれー!かんぱーい♪

七:かんぱーい

若:で、どしたの?なぁちゃん。最近元気ないよね?

七:…あんな、最近な…実は好きな人がおんねん。

若:…え?もしかして…

七:…そう。〇〇…

若:え!!!まじか…

七:でな、実は玲香もやねん…

若:三角関係…

七:…どうしたら、〇〇は私のところに来てくれるんやろ…七瀬のことが好きだって言ってくれるファンの人はたくさんおるけど、〇〇は全然うちのとここぉへん…

若:…そうだったんだ…つらいね、なぁちゃん…

七瀬は泣き出す。

若:私も恋愛経験そんなに豊富じゃないから、偉そうには何も言えないけど…でも、なぁちゃんにとって乃木坂と〇〇、どっちが大事なの…?

七:もちろん乃木坂も大事やで…せやけど、この感情の扱い方がよぉわからんくて…

若:今さ、乃木坂って凄く大事なフェーズじゃん?ななみんも卒業しちゃうけど、だからこそ私たち94年組が最前線でもっと引っ張っていかなきゃいけなくて…そんな時に、なぁちゃんの今の状況でやっていけるかが心配。私たちは、女の子である前にアイドルなんだよ?

七:…

若:…とはわかっていつつも、好きになっちゃったらどうしようもないってのもわかるんだよなぁ…

七:…なな、乃木坂辞めるべきかなぁ。

若:…七瀬、それは怒るよ?今七瀬がやめたらどれだけみんなに迷惑かかると思ってんの?

七:…せやけど…

若:今までの私たちの5年間とこれからの乃木坂、〇〇との未来。どっちの方が重たくて大事?

七:…

若:…なぁちゃん。私はこれまでもこれからも、乃木坂でなぁちゃんと一緒にやっていたいよ…

若月が泣き出す。

七:…ほんまやな。ごめん、若。なな、なんか視野狭くなってたわ…

若:ううん、でも、後悔しないように自分でちゃんと考えてね。

七:うん、ありがと。

一方…

真:今日はキムチ鍋で〜す♪

〇:ほんと真夏は女子力高いな…

中:ほんと助かるよね(笑)

いっただっきま〜す!

真:ねぇかなりん、面白い話が聞けるって、なんなの?

中:ふふふ…それは〇〇に聞こうよ、ねぇ、〇〇?

〇:え?

中:この間のお好み焼きでわかっちゃったんだ〜

〇:何を?

中田から鋭く指摘を受ける。

中:私の予想だと、今なぁちゃんと玲香からグイグイ攻められてるモテ男が〇〇って話なんだけど、違うカナ?

真:え?!本当に?!私何も気が付かなかった…

中:ズバリ正解でしょ?

〇:…いや、そんなことはないよ。

中:〇〇、あんたばかなの?

〇:え?

中:これから何があってもウチらでカバー出来るように話聞いとこうってことなの。何かあったらどうすんの?

〇:…すみません…

真:そーなんだ…玲香…なぁちゃん…

〇:実は、そーなんだ…

〇〇は、若月とのことは一切伏せて、玲香と七瀬と起きている状況を話した。

中:今〇〇がしてること、少なからず必ず乃木坂に影響あることをしてるってことは、自覚してる?

〇:うん…

真:…かなりん、どうしたの?なんか焦ってる?

中:…実はこの間、玲香から乃木坂辞めて女優業に専念しようかと思ってるって相談が来たの。確かにね、最近舞台の主演もやって、その評価が高くて二つも舞台が決まったこともドラマが決まったこともあるから、そろそろかなってのはわかるんだけど…

〇:…そう、だったんだ…

中:玲香、最近何かが吹っ切れたみたいに仕事に集中してて、当然結果も良いんだけど…なんかおかしいなって思うこともあって、問いただしてみたの。

真:…そうだったんだ…

〇:…実は、七瀬からもそんな話を相談された。乃木坂辞めたら付き合ってくれるかって。

中:ねぇ、〇〇。〇〇はどっちが好きなの?

〇:どっちって…

中:…もういい加減に中途半端はやめなよ。やめてよ。取り返しつかないところにまでいくよ?このままだと。

〇:…わかってる…わかってるよそんなん。だから簡単には決められないんだ。どうしたらいいか…悩むんだ。

中:そんなのただの言い訳じゃん。決断することから逃げてるだけだよ。あんたなに?乃木坂潰したいわけ

〇:…なっ

真:かなりん、そんな言い方…

中:〇〇、あなたがしてることはそれだけ大きいことなのよ?どっちかを選ぶつもりもないなら、どっちも選ばずさっさとここから引っ越していなくなって。

真:かなりん…

〇:…いや、真夏。中田が正しいよ。

真:…

〇:…わかった。一晩だけ時間をくれ。今日はもう、帰るわ。

……中田、ありがと。

バタン

「自分と向き合うことをやめるなよ」

「いい加減に中途半端はやめなよ」

ふぅ…

夜風が冷たい真冬。

〇〇は考え事をしながら近くを散歩していた。

コンビニで立ち読みしたり、公園で座って星を眺めたり。

行く宛もなく街を歩いて風景を見たり。

かれこれ2,3時間歩いていた。

自分はこれから、どうすべきなんだろう…

すると…

目の前に一台のタクシーが止まった。

ーーキッ

ガチャッ

?:〇〇?何してるの?こんなところで。

〇:玲香…

玲:おつかれさま!そんな格好じゃ寒いでしょ〜?

〇:玲香、今日も仕事遅かったね。

玲:うん、最近色々と決まってね〜ありがたいことに。

〇:みんなから聞いたよ。たくさんおめでとう。

玲:うん。ありがと。だから、頑張らなきゃなぁって。

〇(玲香はちゃんと前に進んでるなぁ…

玲:でもこれも、全部〇〇のおかげなんだよ?

〇:え?

玲:〇〇がいるから、私は今頑張れるの。〇〇と過ごす時間があるだけで、私はいくらでも輝ける気がするの!

〇:玲香…

玲:だから、ありがとう。

〇:…違うっ俺は…そんなたいした人間じゃない…何も決められず、みんなに迷惑かけてばかりの俺なんか…

〇〇は泣き出した。

玲:…〇〇。

玲香は〇〇を抱き締めた。

玲:〇〇はね、すごい力を持ってるの。

〇:…もってないよ、そんなの…

玲:持ってるの。私の心をこんなに満たしてくれたんだから。〇〇といるだけで、たぶん私はもっともっと輝ける。それに、なぁちゃんの心まで満たしちゃったんでしょ?どれだけ魅力的なの〜って感じだけど。

〇:…俺にはみんながわからない…なんでそこまで…

玲:〇〇ほど、人のことを考えて言葉を紡いでくれる人いないと思うし、私となぁちゃんが同時に好きになる人もいないと思うの。〇〇は、もうちょっと自分の気持ちに素直になるべきかな〜って思うよ。

〇:…自分の気持ち…

玲:若も仕事頑張るって言ってたし、負けてらんないっしょ!!っなったし。…じゃあ、今日は先に帰るね。

〇:うん…

バタンッ

玲香はタクシーに乗って帰って行った。

自分の素直な気持ち…

そんなのあるのか?

いつも周りに流されて自己主張しない

うまいこと飄々と生きて行くことに慣れた

クソみたいな人間だ

自分には何も決められない

人に迷惑ばかりかける

なんでみんなこんなやつのことを…

自分がわからない…

その暗い面持ちのまま、部屋に戻ると部屋の前で七瀬が待っていた。

七:…おかえり。

〇:…ただいま。

七:…

〇:…

〇・七:あのっ

七:あ、先ええよ

〇:いや、七瀬先で

七:…せやな。あんな、決めたことがあんねん。

〇:うん。

七:新しいドラマと映画のオーディション受けることにしたんよ。もし…もし受かったら、なな乃木坂辞める。乃木坂のためを思ったら…私がアイドル出身でも芸能界で通用するってことを証明せなあかんって、後輩たちに示さなきゃあかんって思ったんよ。

…でも、辞めたから付き合ってとはもう言わん。〇〇が、本当に魅力的だと思ってくれるまで待ってる。このままじゃあかんって…気付いたんよ。まぁちょっと若からもアドバイス貰ったんやけど。

〇:…若月?

七:…うん。実はちょっと相談したんやけどな、乃木坂と〇〇どっちが大事なん?って怒られて…考えた。もう、マネージャーには話したで、今日。

〇:…そうなんだ…決めたんだ。……かっこいいよ。(若月…?)

七:もし受かったらの話やけどな?

〇:ううん、ちゃんと前に進もうとしてる。かっこいい。

七:…それもこれも、全部〇〇のおかげなんやで?〇〇が…いろいろ気付かせてくれた。

〇:…いや、俺なんか…

七:ななが言うのもおかしいんやけどな、〇〇、もっと自分に自信持った方がええで?

〇:自信なんかないよ…

七:まぁそういう驕ってないところが魅力的だったりもするんやけどな。

〇:…ありがとう。

七:オーディションに受かるまで、もう2人きりで会うのもやめる。辛いけど…でも絶対に受かるから、待ってて?

〇:…うん。

七:ほな…な?

〇:うん…また。

こうして玲香も七瀬も仕事が忙しくなり、自然と乃木坂メンバーと会うことも少なくなって行った。

そんな中、若月から電話がかかってきた。

若:もしもし…

〇:もしもし。

若:ごめんね…私、ズルしようとしてた。

〇:ズル?

若:玲香にも、七瀬にも、乃木坂を大事にしろって吹っかけたの、私なんだ…

〇:…2人とも、相談したって言ってたね…

若:2人が仕事に集中すれば、自然と〇〇は私のところに来てくれるかなって思ったの。けど、そんなんじゃだめだね…

〇:…

若:あの2人と正々堂々勝負したいから、どうあれ仲良し華の94年組でいたいから…私も頑張る。だから…待っててね。

〇:…わかった。……ゆみ、ありがとう…

ピッ

中:…それで良かったの?

若:…うん。卑怯じゃん、私。それに、頑張らなきゃいけないのは事実。

真:私とかなりんはどうなってもみんなの仲間だから…

若:真夏、ありがと。…よぉーし、いっちょやってやっかーー!!

それから、〇〇と乃木坂メンバーは自然と会わなくなっていた。

生活リズムがもともと合わないこともあり、すれ違うこともなく、たまに朝や夜に足音を耳にするくらいの程度となっていた。

それから2年経ったある日…

〇〇はニュースを見て驚愕する。

「乃木坂46から卒業者続出!キャプテン桜井、エース西野、若月が同時卒業!卒業後は全員女優か。

3名ともに主役の舞台/映画とドラマが決まっており、これアイドルグループとしては異例の事態か」

そうか…3人とも頑張ったんだな…

まぁ、俺も明日にはそこそこ3人を驚かせられるかな…

その翌日。

七瀬、玲香、若月、中田、真夏…

それぞれ別の場所で次のニュースを見かけていた。

「奇跡のクリスタルボイス!一般人からオーディションに合格し、〇〇がついに本日CDデビュー!デビューシングルからミリオンヒットの予測か。本日これから記者会見」

5人:え??!

インターネットTVで会見を見る5人。

記者:今回、秋元康氏・つんく氏・TMR西川氏らが手がけた楽曲でデビューされるとのことですが?

〇:はい。半年前に、たまたま前職のお仕事でご一緒させて頂いたことがきっかけだったんです。御三方に声が良いとお褒めいただいて…御三方のご指示の通りにボイトレをうけたら…是非プロデュースしたいと仰っていただきまして。

記:華麗なる転身ですね。デビュー曲、「あの冷たい冬の風のように」はどんな歌でしょうか?

〇:ありがとうございます。そうですね、デビュー曲「あの冷たい冬の風のように」は、3人の女性と恋愛関係が進んで行くのですが、ある時を境に誰とも全く会わなくなるんです。しかし、その会わない時間が長くあったおかげで、今1番会いたい人にこの想いを歌いたい、伝えたい、そんな意味が込められた歌です。

記:素敵な楽曲ですね。お時間ということですので、是非お披露目のほど、よろしくお願い致します。

〇:はい、ありがとうございます。

その楽曲は、とても透き通った声で、このように歌われていた。

会えなくなってから自分と向き合う日々

あの時君が言ってくれた心を満たす意味

それを知りたくてもがき続けながら

冷たい向かい風に吹かれながら

彷徨い歩いたあの冬から ずっと

君に会いたいんだずっと会いたいんだ

でもワケはわからなかったんだ

君に会いたいんだずっと会いたいんだ

今やっとわかるような気がするんだ

曲調はケツメイシの「バラード」のような歌となっており、これまで秋元康らが手がけた楽曲とは離れた作風となっていた。

この歌を聞いて5人は、涙を流していた。

違う、5人だけじゃない。これを聞いていた人間の多くは涙が自然と溢れていた。

その中で1人だけ、特別な意味を感じていた。

その夜、誰が何を言うわけでもなく、自然と

みんなの家の上の階にあるバーに集まった。

〇:みんな、久しぶりだね。

玲:ほんとに。

〇:もうここにいる全員は知ってると思うけど…本日から同業としてお世話になります(笑)

七:めっちゃびっくりしたんやけど…

若:ほんとに…家で練習とかしてたの?

〇:まぁたまにかな…

玲:ぜんっぜん聞こえなかった…

中:玲香は寝てるかお風呂はいってるかくらいしか家にいないでしょ?(笑)

玲:うぅ…

〇:玲香、七瀬、若月、卒業&諸々おめでとう!俺からのお祝いだ。

3人に花束を渡した。

3人:ありがとう…

中:〇〇、今日の歌、めちゃめちゃ感動した…

〇:あれは、俺からのメッセージソングだね(笑)

真:メッセージソング…?

〇:その話をしに来たんだ。…みんな、聞いてほしい。あれから2年間、すごい考えた。毎日悩んだし悔やんだし。みんなにも勿論会いたかったけど…1人の人との忘れられないシーンがあるんだ。

玲香が泣き出す。

〇:玲香…玲香があの時言ってくれた言葉が、今日まで俺を動かしてくれたんだ。七瀬、若月…ごめん。2人のことは本当に好きだけど、玲香は特別なんだ。

七:…うん。歌の意味がわからん時点でそうやと思ってたよ?

若:うん。なんとなく…玲香かなって思ってた。玲香、〇〇、幸せになりなよ。

真夏が号泣する。

真:ううううううう

中:なんで真夏がそんなに泣いてんのよ…(笑)

玲:…〇〇…みんな…ありがとう…

七:なな、〇〇と出会えて良かったって本当に思ってるの。

若:私も。それだけで私の人生に彩りを加えてくれた。〇〇と出会ったからここまでやってこれたの。

〇:2人とも…こちらこそなんだよ。玲香と2人と出会えたからこそ、今自分があるって断言できる。

玲:私も…あの時〇〇がいて、なぁちゃんと若がいたから今こうなってるって思う…みんなには感謝してもしきれないよ…

〇:よし。あのお酒で乾杯しよう。

七:あのお酒って?

玲:アイ・オープナー、6つください。

マスター:…素敵ですね。

〇:このお酒の意味は…

〇・玲:運命の出会い😊

全員笑みを浮かべ、2人を祝福した。

こうして、乃木坂華の94年組と〇〇の物語は終焉を迎えた。

2年後、〇〇は2ndアルバムを出すタイミング、玲香は長い期間の出演だった舞台が終わった頃、結婚を公表した。

真夏は乃木坂を卒業後パティシエを目指し修業に専念、中田は一般企業に転職し、橋本同様ソニー系列の会社に就職していた。

今だに華の94年組5名と〇〇は仲良くやっている。

七瀬、若月ともに俳優の共演者と結婚。

今ではその3組でたまに食事もする。

あの時、たまたま玲香と若月が、貧血で倒れそうな青年を助けなければ、こうなる未来は描かれなかっただろう…

エピローグ

?:ぱぱー、おんぶおんぶー

〇:おし、みなみ、高い高いしてあげよう。たかいたかーい!

み:キャハハハッ

玲:ぱぱ、調子乗り過ぎてミスらないでよ〜?あ、太郎と次郎!

〇:ははは。みなみ、ママはわんわんのお世話で忙しいみたいだから、パパと遊ぼうな〜

み:うんっ!

冬の冷たい風はあの頃を思い出させる。

若くて、何も考えず、流されるばかりだったあの頃を。

今とは全く別の世界にいた、あの頃を…

今では冷たい風も気持ち良いと思えるくらい、暖かな幸せに包まれた生活を過ごしている…

fin

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?