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飲んでいる時の話について

飲んでいる席で聞く話の中には、時に「???」となるものがある。別に相手にとって、私が理解している/していないはさしたる問題ではないだろう。ただその話がしたいだけという欲求の方が大きい。だから私の理解度を逐一確かめることはしないし、私自身も酔っ払っているしで、わざわざ突っ込んだりはしない。そういう時の質問は、話の腰を折る行為、と認識されがちだ。

この前もそんなことがあった。その人は、私の知らない時代の自分の昔話を、少々文学的な表現で饒舌に語っていた(私も失礼な人間ではあるが、最早その触りさえ覚えていない)。

ただ私は、その時自分がまるで幼児に戻ったような錯覚に陥った。まだ言葉を喋れない小さな子ども。

母親が私に話しかける。

父親の帰宅の挨拶。

夕食を挟んだ二人の会話。

ベビーカー越しに聞こえる雑踏。

テレビ。電車のアナウンス。FMラジオ。

あの日あの時、言葉を発するその瞬間まで、言葉の雨を浴びる小さな私を思い出した。

目の前のこの人の表現方法や、言い回しをどれだけか浴びれば、いつかは昔の私のように、目の前の存在がママだと認識するように、点と点が繋がる日がくるのかしら、なんて。そんな風に考えながら、適当に相槌を打って、ウーロンハイを飲み干した。

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2013年頃の文章


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