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ぺルラの日記#5 【シリア】の貴公子?

前回の日記は


『Where are you from?』

『日本よ。あなたは?』

『I am from Syria.』

『Syria? Good...(どこだっけ?)』 


シリアの内戦が起きたのが2011年、今でこそアラブの春・シリアの内戦について毎日のようにニュースのヘッドラインを飾っていたのでシリアという国を聞いたことある人はたくさんいると思う。

当時2009年、場所は世界中の大金持ちが集まるナイツブリッジ。今でこそ石油の値段が下がってしまってサウジアラビアの王族も苦労しているようだけれど、当時リーマンショック前の石油高でかなり潤っていた中東の石油産出国。

リーマンショック後、世界が大不況の中アラビア語のナンバープレートの東京では見たことも無いような近未来系の高級外車だけがナイツブリッジを行脚していた。

多分プライベートジェットか高級クルーザーで車と一緒に休暇でロンドンに遊びに来ているんだろう。


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ご存知買えないものは無いという高級老舗デパートのハロッズ、今はペットは動物愛護の観点から売っていないようだけれど、以前は虎まで売っていたという(そして実際買ってハロッズの近所で飼っていた人もいるらしい)。

そこから歩いて5-6分のところにあるBeauchamp Placeという小さな通りに、NOZOMIという当時流行だった和食のフュージョンレストランでバーを併設したタイプのレストランがあった。



店内は薄暗く、音楽もかなりの音量なので食事をする気にはなれない。美味しいのか美味しくないのかもよく分からないけれど、かなり高額の茄子田楽と焼き鳥を提供する。。

ただ、お金持ちはこのスタイルがお好きのようで、The お金持ちに出会うために来ているロシア人の高級フッカーや男女共に育ちの良さが出ているヤングエクゼクティブ系などこぞって飲みに来る社交場で煌びやかな場所だった。

私は友達に連れられ精一杯のお洒落をして遊びに来ていた。




『You are smoking Kent?』

当時はまだまだ喫煙者も多く、ただ室内は一切禁煙だったのでいつもバーやレストランの前には喫煙者がいた。


そして喫煙者は喫煙者同士仲間意識が産まれるのは世界共通。


『え?そうそう、日本から買ってきたのKentの1㎎のタバコ。あなたもKent好き?』

『Yes! I like Kent, I bought some in Dubai the other day and brought them  back to London, I will give you some! 』


既にイギリスではタバコ1箱が800円から1000円近く、とても普通に買っていられなかったので、免税店で許容されている2カートンに加えてスーツケースに大量に入れてロンドンに来ていた。


『ははは、ケントっておじさんっぽいタバコよね、この銘柄を吸っている人をロンドンで初めて見たわ!初めましてぺルラです。』


こうしてナンパというかケントという渋いタバコを吸っていた事がご縁で知り合ったシリア出身の彼、シリア君。


彫りの深い長身で胸板も厚く筋肉質、テストステロンむんむんの男性。年齢は多分30代前半、着ているものからもお金持ちビームがガンガン出ていた。

ハンサムというよりは目力がありかなりの色気、全身から自信がみなぎっていた。

嫌いじゃない。。。

シリア『Hey Perla! Are you back in London? How are you? What are you doing? Its only Monday and I am already tired, so I am going to stay in and watch movie at home tonight, would you like to join me? I have got a good bottle of red wine:) 』

元気?ロンドンに戻って来ているの?どうしている?月曜って憂鬱だよね、家で映画でも観ようと思うんだけど来ない?すごくいい赤ワインもあるよ:)


これは明らかにBooty Call


普段なら多分行かないヤツ。


でもトルコの事でイライラしていた私はシリアのメッセージに即答した。


『うん、いいアイディアだね。後から行くわ!』


すぐにシャワーを浴びに家に戻り、お化粧をしてタクシーを呼んだ



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