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エスパニョールが降格した理由を考える。

このnoteを読んでいる方は知っていると思いますが、エスパニョールはプリメーラからの降格が決定しました。何故エスパニョールは最下位になり、降格してしまったのか考察したいと思います。

今回は写真は一切なく文字だけです。読みづらいところもあると思いますが、ご容赦ください。

1.夏の移籍市場

エスパニョールは夏の移籍市場で昨シーズンEL出場権獲得の原動力になった監督ルビ、サッラ賞2位になったストライカーのボルハイグレシアス、(共にベティスヘ)スペイン代表に選出されるほど成長したCBマリオエルモソ(アトレティコへ)などが退団しました。しかし、夏の移籍市場では代わりになる戦力の補強に成功したかに見えました。

移籍市場で退団、入団したメンバーを書いてみます。

退団

ボルハイグレシアス
マリオエルモソ
アーロンマルティン(マインツへレンタルから完全へ切替)
アルバロバスケス(サラゴサへレンタルから契約満了)
オスカルドゥアルテ
エルナンぺレス
ロベルトヒメネス
セルヒオガルシア
ロベルトロサーレス
アルファセメド

入団

マティアスバルガス
フェルナンドカレロ
アンドレスプリエト
アンデルイトゥラスペ
ベルナルドエスピノサ
セバスティアンコルシア
ジョナタンカジェリ
※昇格組は含まず

CF、CB共に補強し、クラブ史上最高額でバルガスを獲得することでチームの質は上昇したと誰もが信じて疑いませんでした。

2.当たらない新戦力

成功したに思われた補強ですが、大成功と言える事例は一つもありませんでした。
大金をはたいて買ったバルガス、カレロはシーズン通してレギュラーになれず、唯一成功に近いエスピノサがレギュラー定着したのはマチン政権以降、コルシアは試合に出るといいプレーをしましたが手術でリーグ出場3試合、カジェリはポストプレーはできるがリーグ戦1ゴール、イトゥラスペは平凡なプレー、プリエトは実質戦力外。

ボルハ、ロサーレスしか取れなかったが当たった昨シーズンとは対照的でした。

3.深刻な得点力不足

開幕時はファクンドフェレイラがCFを務めていました。フェレイラは開幕時EL予選で1試合1ゴール以上のペースで得点を重ねており、リーグ戦でも得点できるであろう、できなくても直近2シーズン連続で9点取っているカジェリ、昨シーズンbチームで15点取ったカンプサーノ、おまけにウーレイがいるので大丈夫だと考えていました。
しかし、いざリーグ戦が始まると誰も点を取れない。フェレイラはボールを収めることすらままならない。目も当てられない状況となりました。

結局、上記の4人はリーグ戦で順番に1点、1点、0点、4点とおまけで考えていたウーレイが一番点取ってるなんて笑えないギャグです。本当にありがとうございました。

4.監督

ガジェゴ

シーズン開幕時は昨シーズンまでbチームで監督を務めたダビドガジェゴが監督でした。下部組織で監督を務め、何人もカンテラーノをトップチームに昇格させた育成のプロフェッショナル、更に昨シーズンはbチームのダービーでバルサ相手にダブルを達成し、期待されていました。
しかし、蓋を開けると守備重視で攻撃は個人の裁量が多くファイナルサードまでボールを運ぶことすら困難で点の取れない試合が続き、8節マジョルカ戦後に辞任(実質的な解任)しました。

マチン

後任はパブロマチンになりました。しかし、ここ数年4バックで戦ってきたチームにマチンの3バックシステムは強烈な拒否反応を引き起こし、ちぐはぐなサッカーを披露。終盤はクロスを入れるだけの退屈な試合で複数失点は解消されず。「戦える選手が必要」と選手批判のレガネス戦後に解任されました。

アベラルド

後任は残留のプロフェッショナルと言われるアベラルドフェルナンデスとなりました。この人で駄目ならもう駄目と言われるほどの状況。就任初戦から首位対最下位のダービー、お通夜のような雰囲気から始まりましたがチームは何とか引き分けでスタート。きっちり整理したシンプルな4-4-2に冬の補強組を融合させ、これまでの2倍のペースで勝ち点を積み上げていきます。
新しさはありませんでしたし、スムーズな攻撃とも行きませんでしたが、着実に戦えるチームになっていました。しかし、残留のライバルも同等以上のペースで勝ち点を重ねていました。
リーグ戦再開後、一時の勢いが無くなり、就任後初の連敗となるベティス戦後に「数人が本気で戦えていなかった」とのコメント後、解任されました。

このクラブは選手批判するとクビになります。キケもそうでした。

ルフェテ

後任はSDのルフェテ。「残留するためになんでもする」とのコメントをしましたが、ほぼ監督未経験の人間にどうにかできるほど甘くない。就任後全敗で降格決定。コーチにタムードとかそんな精神論だけじゃ駄目です。
唯一のいいところは若手に出番を与えていることくらいか。

監督人事だけ見てもかなり苦戦したことがわかりますね。

5.冬の移籍市場 本気を出すのが遅すぎた

最下位という状況で迎えた冬の移籍市場ではベテランのピアッティ、グラネロを放出、ジュイスをレンタルでテネリフェに。そしてクラブ史上最高額だった夏を超える金額でラウールデトマス、アドリアンエンバルバ、レアンドロカブレラ、オイエルを獲得。
幸い補強は当たり、RDTは加入後4試合連続ゴールでチーム得点王、エンバルバは2ゴール4アシストでアシスト王、カブレラは加入後出場停止以外全試合出場となっています。
ただしRDTは2000万ユーロの価値は示せませんでした。中断明けノーゴールは褒められたものではありません。
オイエルの獲得は何故取ったのかと言われますが、チーム内のGK陣に圧倒的な実力差があり、競争が生まれないよりは全然いいですし、ディエゴは退団濃厚と前から言われていたので今後を任せられる人材を取ることができたのはある程度評価しています。

よかったじゃないか!と思われると思いますが、この選手たちがシーズン最初からいたら結果は変わっていたかもしれません。
実際に、RDTとエンバルバは夏に補強候補として名前が出ていましたが、エスパニョールは値段が高いと言い交渉は破談していました。
何やってんだよルフェテ…

6.試合開始時間

ランチタイムキックオフの試合が多かった。13試合。「言い訳かよ。プロならどの時間でもしっかりやれ」というのも一理あるが、限度がある。
選手も人間であり、スペインの昼12時の間隔は日本で言うと朝10時くらいである。朝からサッカーするプロリーグがどこにあるんだよ。コンディションも上げられません。

選手もサポーターも「また昼かよ!」って感じでウンザリしたでしょう、多分。ランチタイムだとサポーターの入りも悪くスタジアムの雰囲気も良くない(もともとコルネジャに人いないだろとか言わないでね)。それでも安いチケットを売るなどしてクラブも何とかしようとしているが。
おい!リーガ!金に目がくらんでふざけたことやってんじゃねえぞ!こんな公平性に欠けたリーグがどこにある?

おまけに中国向け時間と言いつつこの時間は中国のスーパーリーグと被るから本当はもう少し遅い方がよかっただって。そりゃねえよ…

日程だけリーグが決めて時間はクラブが決められるjリーグはかなり良心的ですね。

7.内部の問題

あまり大きく報じられることはありませんが、ピッチ外の混乱もどの程度かは分かりませんがピッチ内の混乱につながっているのかと思います。

今シーズンはコーポレートディレクターのロジェールグアシュとオスカルペラルナウの二人でCEOのような形をとっていましたが、CEOはホセマリアデュランに一本化されました。
またbチーム以下の下部組織責任者のジョルディラルディンも退任しました。
つい先日に新しい下部組織責任者が任命されました(ルフェテのバレンシアSD時代にバレンシアにいた人らしい)。
ラルディンが退任して後任が決められるまでの間はルフェテが下部組織の責任者を一時的に務めました。男子チーム以上の混沌に陥っている女子チームの責任者も一時的にルフェテが務めていたため、ルフェテは男女両方の責任者になるという異常事態になりました。

これは全てここ半年以内の出来事です。
この短期間でここまでクラブの構造が変わるシーズンはなかったはずです。

トップチームの選手達に直接的に関わりはなかったとしても、間接的に何か心理的なストレスがかかることもあったのかもしれません。外野からは分かりませんが。

更に今になりデュランとルフェテの不仲が噂されています。どうなるのでしょうか(ルフェテは噂を否定)。

更に更に、シーズン終了直後の7月20日、クラブのナンバー2、副会長のカルロス ガルシア ポンが辞任しました。中国人だらけの株主の中に地元のスペイン人がいることで、サポーターの意見も尊重しているという象徴的な役割を持つ人物でした。
噂ではアベラルドの解任を後から知らされたなどという悲しい話もありますし、チェンとの距離感はあったんだろうなと思います。

チェンが来てから18-19シーズン開幕までにクラブ役員は39人在籍し13人しか残っていないことが分かっていましたが、今シーズンは更に役員の異動があったのでもうほとんどチェン就任時の役員はいません。
デュランは更にクラブの内部が変わることを示唆しています。

クラブは何処へ向かうのでしょうか…

8.20-21はどうなる?

セグンダへの降格が決定しましたが、20-21シーズンはどのように戦うのか?そのヒントは降格決定後の3試合に隠されているはずです。

と思った僕がバカだったのかもしれません。

エンブレムの誇りを見せる試合なんて最後の1試合しかなかった。
降格決定後も「20-21シーズンが始まる」なんて言ったそばからルフェテは契約切れ濃厚の選手使いますし、負けてもインタビューにキャプテンは来ない。

個人的には契約の切れるベテランは全員出て行ってもらって構わないです。納得するプレーは見られなかった。

今年うまくいかなかったベテランが来年うまくいく確率は少ないですし、再来年うまくいく確率はもっと少ないです。1年で昇格しても21-22シーズンにディエゴは40歳、ハビは36歳、ここで契約更新は正気ではないと思う。

最終節のセルタ戦は未来あるカンテラーノを多く使えましたし、降格決定後初めてチームとして戦えたかと思います。

追記:7月21日、ハビ、ディエゴと1年間契約延長したことが発表されました。OMG

新監督予想

噂ではOBのエルチェ監督パチェタが一番有力です。
パチェタ自身はエスパニョールと交渉しているとの噂に激怒し、「私はエルチェでの仕事を精一杯だ」と語っています。

と思いきや、現時点ではマジョルカ監督のビセンテモレノが一番手?
あの選手層のマジョルカで33節まで残留争いさせたのは見事というほかありません。
タラゴナを指揮した経験もあるのでカタルーニャを知っています。

パチェタはセグンダbに落ちたエルチェを昇格させて予算規模18番目のクラブでプリメーラ昇格争いをしています。
ビセンテモレノは言うまでもない皆さんご存知の手腕がある。
どっちが実現しても面白いと思います。

その他には、エインセ、ルイスガルシア、マルセリーノ、ボルダラス、ルベンバラハの名前が挙がってます。

9.カンテラ重視とは言いますが…

以前からエスパニョールはカンテラ重視のクラブであり、トップチームにおける下部組織出身者の数を20-21シーズンには100%にすることを目標にしていました。
プリメーラでは難しいなと考えていましたがまさかセグンダを戦うとは思っておらず上述の目標が達成に近づいていると感じています。

ただ、不安な面があり、確かに下部組織出身者を使うことはサポーター的には嬉しいことであるが手段と目的が逆になっていないかということ。
本来下部組織とはチームを強くするために存在しているのであり、いくら下部組織出身者を使おうと負けたら意味がないのではということです。

今シーズンのエスパニョールは本来時間をかけて見ていくべき若手をぶっつけ本番で失敗しているパターンが多いと思います。

確かに出場機会を若手に与えるのは賛成ですが、「お前ここどうにかしろ」といきなりそれまでプレーしていたbチームから遥かにレベルの高い環境に放り出すのは不親切だと思います。

この話はビクトルゴメスが顕著なのではと思います。
ビクトルゴメスは突破力のあるサイドバックですが、守備に不安があります。守備に不安があるので本来ならばCB(今シーズンは主にエスピノサ)の選手がサポートするべきです。
サポートがあればゴメスも攻撃参加する回数は増えるはずです。
しかしサポートがないため、攻撃参加してボールをとられるとそこを起点にカウンターを食らってしまいます。攻撃参加とカウンターの危険を天秤にかけた結果、ゴメスは攻撃参加を辞めてしまいました。

同様の例はカンプサーノ(裏抜けが得意だが空中戦ばかりさせられた)、バルガス(ヨーロッパ1年目の選手にプレッシャーをかけすぎ)にもあったと思います。

本来は昨シーズンのペドロサのように ペドロサのスピードを生かしたい→エルモソが背後をカバーする→攻撃参加できる が理想です。

チームの不調をカンテラーノの勢いで隠そうとしましたがそんなに甘い話じゃないんですよと教訓になったのではないかと。

10.SDルフェテは有能か、無能か

初めに断言しますが、監督ルフェテは三流です。では本来の役職、SDとしてはどうなのか?
僕個人の感想は無能とは言い切れないし、有能とも言い切れないです。
今年の冬の動きは凄まじかったし、昨シーズンのボルハ大当たりを見ると当てている補強も複数あるので有能?

でもハズレ補強はアルファセメド、ファクンドフェレイラ、イトゥラスペ、プリエトなども思い浮かぶ。

ポジとネガだとネガの方がよく覚えちゃう人間な自分は無能感の方が先行してしまいます。
ただ一つ不満なのは、強気な交渉と言いつつカンテラーノを売却するときが、他の選手と比べて安くないかということ。そこまで大きな不満では無いですが。

大きな動きが予想される今年の夏こそ無能か有能かの評価が決まるのかと思います。

11.結局、誰が悪かったのか

これは、一人に絞ることはできません。何人も悪かった。
選手、監督、会長をはじめとするクラブ役員もそうですし、久しぶりのELで気が大きくなって何とかなるだろうと甘い見通しをたてていたサポーターも一切関係ないという話なのかと思います。

このシーズンは今後の大きな、大きすぎる教訓として残ると思います。
この教訓からもっともっと強いエスパニョールが生まれると信じて20-21シーズンもエスパニョールを応援していこうと思います。
21-22シーズン、プリメーラでお会いしましょう。

セグンダってどうやって見るんだっけな(小声)

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