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「100年壁が壊されなかったからといって 今日壊されない保証なんかどこにもないのに…」

10年ほど世界的に大きな不況を迎えることがなかった僕たちは、世界を均してみると自分の生活に満足している人が多かっただろう。

そんな中で。

あいつは異国の地で突然現れた。
そしてなんと増殖する性質を持っていた。

この国で最初に大きなニュースになったのはある港だったと思う。

一隻の豪華客船が身動き取れなくなった。

その客船に乗っていた人々もいつ終わるかわからない、世界からの隔離を余儀なくされた。大きな不安を抱えていたと思う。

その客船のニュースの後、僕らの周りでも多くの人間が影響を受けた。

「なんか暴れてる奴がいるなあ」

最初はその程度だった。

しかし、あいつらが世界中へ侵略を始めると瞬く間に世界は混乱した。

多くの重傷者、そして死をもたらし、世界中の医療機関は大変なことになっている。

我々にとってあいつらが厄介な理由は、確実に倒す特効薬が無いこと。

つまり我々は出来るだけあいつらと鉢合わせをしない生活を余儀なくされる。加えて敵の居場所がわからないから家にいるしかない。


生活が一変した。


友達と会えないし、居酒屋でワイワイ騒ぐこともできない。デパートだってあいつがいるのが怖くて行けやしない。破産した企業もある。そこの従業員の方々にとっては生活どころか人生が一変したのだ。

なんて事してくれるんだあいつは。

ちなみに、ここまでひどいこと言い続けたけど、あいつらはちょっとだけ良い面ももたらした。

仕事に行かなくてもよくなり、お洒落をしなくても良くなり、学校に行かなくても良くなった。

これで嫌いな人にも合わなくていいし、余計な気を使わなくてもいい。年齢だけで上の立場にいたあの人は役割がなくなってさぞかし焦っていることだろう。古い慣習は淘汰されていった。

あいつはやり方が手荒なだけでいい奴だったのかもしれない。

いや、そんなはずがない。自分の仕事がなくなった人がいるんだから。


でもね、


世界が混乱する中であいつが突如現れることを5年前から予測していた人がいる。そしてその人は大勢の前でその予測を語っている。

そのスピーチを聞いていた人々は半信半疑のような顔してたなあ。

さらにいうと仕事を失った人がいる一方で収入が増えた企業、個人が一定数いる。

僕らが自宅にいることが多くなったおかげで利用する機会が激増したものがいくつかあるよね。それって前からあったんだけど古い慣習のせいでいまいち伸びなかったり、それを使用する時間がなかったりしたんだと思う。

その人たちにとっては万々歳だよね。古いしきたりのせいで地団駄踏んでたのがようやく自分たちに日が当たる時が訪れたんだもん。

あいつらは世界中への侵略によって進歩が遅かった世界を強制的に進めたんだ。

さて、散々あいつらの話をしたところで話をまとめにかかろう。

あいつらが世界にもたらしたものは何か。


惰性の破壊


「もうあんな不況は来ないだろう。」「なんだかんだサービス業はなくならないだろう。」「本物を提供していれば生き残れるんだ。」

そんな全く時代を考えていない、思考停止した、主観的に生きている人がダメージを喰らった。

100年間壁が壊されなかったから今後永遠に巨人と出会わないのか?

違う。いつ大型巨人が壁の上から顔を出すかわからない。いつ鎧の巨人が壁を突き破ってくるかわからない。

エレンは必死に人々の惰性による危機感を訴えていたぞ。誰か一人でもエレンの叫びを聴こうとしたか?

エレンは人々の惰性を嫌っていたぞ。調査兵団は歩みを進めようとしていたぞ。

調査兵団やエレンを見て見ぬ振りしていた民衆はどうなった?漏れなく慌てふためいて消えていっただろう。

今回のあいつはこの話に酷似していると思っている。

残酷だよね、「自由」を求めて生きているはずなのにある程度の「自由」に満足していたらあいつが一瞬で自由を攫っていくんだもん

もう今回の失敗はもう取り戻せない。

でも絶対次が来る。

今回のあいつは僕らの叡智を集めていずれ倒すことが出来るけど新しい敵が絶対現れる。


惰性を許容するな。

そしてあらゆる変化を予測しろ。

今いる現状なんて一瞬で変わる。


まずは世界中に広がったあいつらを倒すために、クソみたいな足の引っ張り合いなんかしないで一人一人ができることをしよう。

まずは総力戦であいつらに挑もう。

そのあとは全員であらゆる可能性を想定しよう。

絶対何年か後には惰性が生まれるから。10年もしないうちにまたしないうちにまた新たな敵が現れるから。

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