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パフォーマンスビルダー三浦の視点 #8 ~2020東京オリンピック(前半戦)

2021年7月23日に開幕した東京オリンピック。
あっという間に前半戦が終了し、後半戦に突入しようとしています。各競技で熱戦が繰り広げられ、それぞれの競技にさまざまな魅力があり、どの競技も同じ人間が行うスポーツなのにこうも個性的なものかと改めて感じています。
今日はオリンピック前半戦を振り返り、パフォーマンスビルダーの視点から気になったトピックをお話してみたいと思います。


1、 ソフトボール/上野選手のピッチングの遍歴・進化

2008年の北京オリンピック以来、13年ぶりに金メダルを獲得したソフトボール。
私が注目したのはやはり上野選手のピッチングです。
北京オリンピック時と比べ、フォームの進化を感じました。
ニュースでは前回の北京オリンピックの際の投球を繰り返し流していましたが、その際のピッチングフォームと、今回のオリンピックのフォームが明らかに変わっていました。
もちろん前回の投球フォームも世界トップクラスだったのは間違いないと思いますが、今回のフォームはより無駄な力を使わず、体の仕組みを上手に使いこなしている印象です。
体幹部の回旋の力を使い、全身がスムーズに連動しています。
以前テレビ番組で、とある専門家(体の治療家:体の使い方や特性の話をしていました)の指導を受けながらピッチング練習をしている様子を特集していました。この13年間、様々な挑戦をし、試行錯誤の上で現在のピッチングフォームを獲得されたのだと思います。「流れるようにスムーズな動作」、これが上野選手が39歳にして、怪我なく世界最高レベルのピッチングを展開している理由ではないかと思います。

2、各種球技/体格差を埋める戦い方と体づくり

今回女子バスケットボールチームの代表選手になっている赤穂ひまわり選手の出身チームのサポートをしていたこともあり、バスケットボール観戦には特に熱が入りました笑
バスケットボールを中心に、バレーボールやハンドボール、ラグビーやサッカーなど様々な球技を観ると思うのは、日本人と海外勢の体格差です。もちろん個人競技でもその体格差は顕著ですが、チーム競技になるとその体格差がより顕著になる気がしています。女子バスケットボールのアメリカ戦では、大人と中学生くらいの体格差があるような印象でした。
その体格差を考慮した上で、どのような戦術で勝利を狙うのか。
逆に日本人の良さをどのような形で活かすのか。
おおむね、高さやパワーで勝てない分、スピードや運動量、正確性やチーム戦術を用いて勝利を狙うことが多いと思うのですが、そのチームの勝ち方(戦術や戦略)を考慮した上で、選手のパフォーマンスや体を構築していく面白みがあります。
例えば、バスケットボールならば、いくら日本人が小さいからと言って、ただ体を大きく(筋量を増やす)だけでは対抗できません。
豊富な運動量でディフェンスを組むのであれば、パフォーマンスビルダーとしてはその運動量に耐えられるだけの体幹や上半身の連動性を高めることで、下半身の負担を減らし、ゲームの終盤でもバテない、そして連戦にも耐えられるディフェンスフットワークの動き(体の使い方から見直す)、そしてそれに見合った体づくりを行います。
日本代表選手になるような選手は、日本国内では現在のプレーでも十分に通用してしまうと思いますが、世界で勝ことを目的とするのであれば、世界標準のプレー(投球、ディフェンス、シュートなどの各種フォーム)づくりと体づくりをすることが必須だと思います。
世界で勝ち上がることは容易ではありませんが、世界で戦う難しさと面白さ、魅力を存分に感じさせてもらった試合ばかりでした。


3、スケートボード/女子選手の活躍と成長期の関係

東京オリンピックから新種目に加わったスケートボード。
男子ストリートで優勝した堀米選手、女子ストリートで優勝した西矢選手に銅メダルを獲得した中山選手と若い選手の活躍が光った競技でした。
この種目を観戦する中で私が一番感じたことは、この女子選手達が成長期、つまり大きな体の変化の時期をうまく乗り越えて、いつまでも進化し続けてほしいなということです。
理由は先日更新したこちらのフィギュアスケートの記事とまったく同様です。

多くの場合女子選手は、成長期のとあるタイミングでジャンプ動作がしにくくなる時が訪れます。体のバランスが崩れるからです。
特にスケートボードの場合は、足でボードを操作することが必須なので、いかに脚力ではなく上半身の力で体を引き上げられるかが勝負です。
脚に力が入っていると、思うようにボード(ギア)を操作できなくなってしまうからです。
幼いうちから心から楽しいと思える競技やパフォーマンスに出会えることはとても幸せなことだと思います。だからこそ、体の成長と上手に付き合い、今以上の進化を遂げられる選手でいてほしいなと思います。

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4、 おわりに

今回はオリンピック前半戦で特に印象に残ったことを3つお話しました。
私自身の視点を客観的に見てみると、無意識のうちに、日本人が世界で戦うにはどうしたらいいのかと考えていることに気が付きます。
体の大きさや強さに恵まれた民族でないからこそ、その日本人らしさ・良さをどのように活かし、体を使ってパフォーマンスを展開するか。
体のトリセツを存分に使いこなし、怪我に悩まず、魅力ある、そして人生の中で貴重なチャレンジを繰り返せるアスリートが増えますよう。

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