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体のトリセツ  #5~怪我が起きる仕組み<その2>とだるま落としの関係

こんにちは、パフォーマンスビルダーの三浦千紗子です。
今日は前回の取説の続きで怪我の話<パート2>をもう少し深堀してみたいと思います。
<その1>で、「体は各パーツには役割があり、その性質に合わせて適材適所で役割分担をし、フォームづくりをすることが大切」ということを書きました。

今回は、さらにもう一つの側面から怪我が起きる仕組みを紐解いてみましょう。


1、 人間の体が持つ「連動性」

以前「体のトリセツ #1 ~体を繋がりで考える」で書いたように、人間の
体は繋がっています笑


簡単に復習しましょう。
まずイスに座った状態、もしくはあぐらをかいた状態で、自分の骨盤をぐっと丸めてみます。そうすると自然と背中も丸まり、頭が前に出るような状態になります。

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画像引用:クライマーズバイブル(上巻19ページ)

こんな感じのだらんとした姿勢になります。
今、皆さんは背中を丸めようとしたわけではないと思うのですが、骨盤の状態を変えると、その上についている背骨も連動して勝手に丸まってしまうのです。

さらに、もう一つだけ続きを。
この状態で、手を上にあげてみましょう。
なんだか腕があがりにくくないですか??
逆に骨盤を真っすぐに起こして手を上にあげてみると、すごくあがりやすい感じがしませんか??

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画像引用:クライマーズバイブル(上巻25ページ)

このように骨盤を丸めただけなのに、それに伴って背中(背骨)も勝手に丸まり、肩は巻き肩になり、頭は前に出る。
さらにこの状態で腕をあげようとしても、「あ、あがらない…」という。
自分で肩や腕の動きを悪くしようと思ったわけではないのに、骨盤を丸めると結果的に肩や腕の動きが悪くなっている。
体は各パーツが独立して存在しているのではなく、繋がっている、勝手に連動する仕組みを持っているのです。

ということは。
体のトリセツに則って、下半身で大きな力を出して、上半身は大きな力を出そうとしなくても、つまり取説通りに体を使おうとしても、そもそもこのように骨盤が丸まったような状態で肩や腕を酷使していたら怪我をしそうな感じはしませんか???

そうなんです、ここにもうひとつのポイントがあるんですね。

「自分の体の状態が、より良い状態にあるか」という観点です。


2、 だるま落とし

では、「より良い状態」とは何をさすのか。
ここでは人間の体の仕組みをだるま落としに例えて考えてみましょう。

画像3

これですね、だるま落とし。これと人間の体の仕組みにどんな関係があるのか。
きれいに並んでいるだるま落としはこんな感じですが、

画像4

こんな風になりますよね!
そう、人間の体にもこういう仕組みがあるんです。

画像5

こんないいイラストがありました笑
「1」 で復習したように骨盤が丸まってしまうと、背中が丸まり~という現象が起きます。
実は人間の体にもだるま落としのように「勝手にバランスを取る仕組み」があります。

人体だるま

ものすごーく大雑把ですが、こんな形でパーツがあり、下がずれれば当然上もずれる、良くも悪くも勝手にバランスを取るわけです。
この図では二次元的に見えますが、実際は前後左右、360度あらゆる方向に傾きが生じます。
このだるま落としの配列が重要で、このバランスが良ければ良いほど、怪我をしにくい状態にあります。
だるま落としのイメージを頭に入れて考えた時に、このだるまの配列に元々癖があったり、きれいな配列でない場合に怪我が起きやすくなります。
それが親からもらったDNAや民族的な特徴もあるとは思いますが、この配列がどうあるのか、それは一重に幼少期の過ごし方が大きいと考えています。
赤ちゃんとして生まれ、乳児期にハイハイを経て(ハイハイしない子もいますが)、立つことを身に着けてから、体ができる幼児期~小学校低学年くらいにかけてどのような運動、生活を繰り返してきたのか。それがこの配列に大きな影響を与えているのです。
特に、このだるま落としの一番起点になる「足部:足の裏~足首」をどれだけ使って生活してきたか、それが人間のだるま落としに大きな影響を与えています。
ここは書きたいトピックが山のように、富士山、いや、エベレストばりにあるので、またゆっくりおしゃべりさせてください!

話を戻しますが、「怪我」という観点から考えた時に、このだるまの配列がキレイであればあるほど怪我をしにいくい状態にある~と考えられます。
パフォーマンスビルダーとして体づくりをする際には、まだ体が成長過程にあるうちはチャンス、いかにこのだるまの配列を整えるかという観点で体づくりを考えます。ある程度体ができあがってきた高校生以上の場合も完全に良い状態にならないまでも、明らかに怪我の要因になるような場合はその崩れを修正しつつ、だるまを整えるイメージを持ちながら、体づくりを行います。

加えてもう一つ。
私が、単なる筋力トレーニング(ただ筋肉をつけること)を好まない理由がこのだるまにあります。例えば、くずれかけただるまに負荷をかけたら倒れますよね~。
骨盤が丸まり、猫背で肩の動きが悪いのに周りを筋肉で補強してしまったら、そりゃ怪我をするに決まってます。筋肉は力を出して自身のパフォーマンスを高めてくれるものでもあり、一転自分を壊すものでもあるんです。
効果も出やすいけれど取り扱い注意、よーく落ちる洗剤と一緒です。
だからここぞという場面で、その効果を見極めながら使うものですね。


3、 パフォーマンス構築の大きな味方

ここまでは怪我について述べてきましたが、このだるまの仕組みは皆さんのパフォーマンスを構築する上で大きな味方でもあるんですよ。

身近なところで言えば、この図のように生活する上でネガティブな出来事が起こりますよね。

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肩こり、胸やお尻が垂れる、下っ腹ぽっこり…。

また、疲れやすさにも関係しています。
バランスが崩れただるまをキープするのにエネルギーが必要な感じがしませんか??
本来だるまがきれいに配列されていればさほどストレスはかかりませんが、だるまが崩れるとそのバランスを取るために、体のどこかのパーツが本来の役割とは違う役割を果たすようにしてバランスを取ってしまう。つまり、余計な力を使って体を支えたり、動くようになります。それが疲労の元です。
スポーツなどわかりやすく力を使う場合は、この些細なズレの積み重ねで疲労が生じやすくなり、怪我の要因になります。また、特に派手に運動しなくても仕事をしたり生活する中でも疲労が蓄積されるのです。
また、これは様々なことに共通して言えることですが、体が疲れてくると集中力が欠如しますよね。だから体力は集中力と関連している、これはあながち間違いではないと私は思っています。勉強するにも座って姿勢を維持する体力あってこそ。
と、このようにスポーツ等の特殊なパフォーマンスから離れてみても、このだるまの話が人間が生きていく様々な場面で、影響をもたらしていることがわかると思います。


4、 おわりに

今回は盛りだくさんな内容でしたが、おそらくこのトリセツシリーズでも重要なページになると思います。付箋をつけておきたいページです笑
ちなみに、スポーツや芸事でこの効果が大きく関連しているのが新体操やフィギュアスケート、クラシックバレエ、ゴルフ、もしくはバイオリン等々でしょうか!
これらのお話はまた改めて。


画像引用:見出し「PIXABAY
                文章中「イラスト AC]
     


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