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人生100年時代を生き抜く子どもの健康資産づくり #2 ~パフォーマンスビルダーが考える健康資産の土台<その1>

こんにちは、パフォーマンスビルダーの三浦千紗子です。
前回の投稿では健康資産を意図的につくる必要性をお話しました。

記事を読んでくれた方から「それでどんな力をつけたらいいの?」と、質問を頂きましたので、今回はその質問をもとにお話ししたいと思います。
テーマは「体を支える力」、そして「だるま落とし」です。

1、 パフォーマンスビルダーが考える健康資産とは

前回の記事でも述べましたが、パフォーマンスビルダーは、「怪我や痛みに悩まされずに、その人らしいパフォーマンスを発揮するために」というミッションのもと活動しています。
「パフォーマンス」と書くと仰々しいですが、その人がその人らしく生きるために必要なこと、仕事に邁進すること、家族の世話をすること、趣味を楽しむことなどなど、何でもいいのです。
その時に、例えば「腰が痛くて何かができない」ではなく、基本的に痛みに悩まず、
「体の調子がよく、物事を楽しんだり、集中できる体の状態にあること」「その人が本来持っている体の力を発揮できること」
が理想です。
長い人生の中で、こうした体の状態が基本であること。
生きていれば何かとトラブルは起きるものです。何かの拍子に怪我をしてしまったり、調子を崩してしまう、はたまた事故にあってしまうことがあっても、なるべく短い時間で回復しこの状態に戻れること。
体の土台がしっかりしていれば、この理想的な状態で生活することができます。
パフォーマンスビルダーが考える健康資産は、この「体の土台」であり、その土台があることによって、理想的な体の状態を保てることだと考えています。

2、 体の土台:人間の体を支える力

では、人間の体にとっての「体の土台」とはどのようなものか。
その答えは、人間の体の進化の過程を考えることにヒントがあります。

人間は進化の過程の中で、四足歩行から二足歩行へと進化しました。

進化の過程

この図を見てもわかるように、元々四足歩行だった時には、前足と後ろ足で体を支えていましたが、二足歩行になる中で前足は「手」へと進化しました。
「手」は体を支える機能の役目を終え、道具を使う役目へと変化したのです。前足の変わりに体を支える役割を担ったもの、それが「体幹部=背骨の周りの力」です。

犬の骨格

ちなみに、犬の骨格はこのようになっています。

人間の脊柱

人間の骨格はこのようになっており、青枠で囲った部分、つまり体幹部(背骨の周りの力)が中心となって、重力に逆らい体を支える役割を担うようになりました。
体幹部が地面に対して垂直に立っていること、これが人間の体の特性であり、この体を支える力を高めることが、人間が本来備えている様々な体の力を引き出すキーワードになります。


3、人間の体とだるま落としの関係

では、体を支える力とはどのような力か。
そこで、前回もお話した「だるま落とし」の話に繋がります。

人間の体は一つのかたまりとして存在しているのではなく、だるま落としのような構造になっています。

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人体だるま

バランスよく配列され、柔軟性があり、自分でバランスを取りながら良い配列にいられるだるま落とし。
これが私の考える「体を支える力」つまり「良い姿勢」、そして意図的につくりたい体の土台です。

<だるま落としの効果>
① 姿勢を維持する
各パーツが適切な配置にあることで、姿勢を維持しやすくなります。
また、だるま落としの動きに柔軟性がなければ、長時間同じ体勢でいると、疲れやすく、どこかに局所的な痛みを生じることもあるでしょう

② 合理的な動作を生み出す
走ったり、跳んだり、体を捻ったり、道具を使ったり、だるま落としの配列が良いことで、このような多様な動きに無理なく、合理的に対応することができます。

③ 自分で体のバランスを回復させる
何かの拍子にバランスが崩れてしまって怪我や痛みを招いてしまっても、自分でバランスを取りながら良い配列に戻れる、リカバリー能力を発揮できます。

体幹部(背骨の周りの力)がより良い状態にあることが重要ですが、人間の体は各パーツがだるま落としのような関係性を持っているため、体幹部だけに注目するのではなく、全体のバランスや関係性を考えることが大切です。

ちなみに、このだるま落としの配列が良くない状態を「猫背」や「巻き肩」、はたまた「X脚」や「O脚」、反り腰などと呼ぶことがありますね。
特に「猫背が良くない」というのは昨今様々なメディアで目にすることが増えましたが、体はすべて繋がっているので、どこか一か所のパーツを見て話しても不調は解決しません。


3、 だるま落とし構築のポイント

では、このように理想的なだるま落としを手に入れるにはどうしたら良いのか。
そこに「子ども」というワードが出てきます。
人間は生まれた時から立っているわけではありません。

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母体の胎内では、このように体を丸めて過ごし、そして生まれてからもすぐに立つことはなく、仰向けで寝ているだけの状態から、寝返りをうち、自分で座り、ハイハイを経て、つかまり立ちをし、個人差はあれどだいたい一歳前後に歩き始めると言われています。

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そして、1歳前後から5~6歳の間に、立つ、座る、乗る、転がる、渡る、起きる、ぶら下がる、浮く、回る、走る、登る、歩く、はねる、よける、跳ぶ、くぐる、滑る、這うなど様々な運動を身に着けながら体を構築していきます。

だるま落としの機能は、本来人間が備えている機能です。体の成長・発達の過程の中で、その機能を十分に引き出してあげられるように、適切な発達段階(タイミング)に、適切なアプローチを(内容)することが大切です。
そうすることで、理想的なだるま落としを構築していくことができます。

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<文部科学省/幼児期運動指針ガイドブック3:9ページより引用>
例えば、こちらは文部科学省が提示している幼児期に経験する基本的な動きの例です(下記のPDFデータを抽出しています)。
このように各発達段階で獲得したい動きや遊びが提示されています。
このように、各発達段階における適切なアプローチに関しては、様々なトピックがありますので、これから少しづつご紹介していきたいと思います。

【文部科学省/幼児期運動指針ガイドブック】


5、 おわりに(つづき)

そして、パフォーマンスビルダーの視点から考えた時に、だるま落としを形成する上でポイントとなる重要なパーツがあります。
「足の裏や足首」「股関節」「体幹部と腕」そしてこれらの「連動性」です。
このパーツの役割や構築時のポイントを次の記事<その2>でお話ししたいと思います。


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