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体のトリセツ #7 ~人間の体に備わっただるま落としの機能とパフォーマンスの関係<その1>

こんにちは、パフォーマンスビルダーの三浦千紗子です。
今日は人間の体に備わっただるま落としの機能についてお話したいと思います。
これだけ読んでも、「なんのこっちゃ????」ですよね笑
ちなみに、だるま落としとは昔からある、あのだるま落としです。
あのだるま落としと人間の体にどんな関連があるのか?!
この機能を知っていることで、皆さんの日々の健康や何かしらのパフォーマンスのお役に立てると思いますので、今回はだるま落としの切り口で人間の体を紐解いてみましょう。

1、 人間の体が現在のフォルムになった経緯

まず、だるま落としのお話をする前に、私たち人間の体が現在のフォルムになった経緯について考えてみましょう。
人間は元々四足歩行でしたが、進化の過程の中で二足歩行へと進化しました。

進化の過程

この図を見てもわかるように、元々四足歩行だった時には、前足と後ろ足で体を支えていましたが、二足歩行になる中で前足は「手」へと進化しました。
「手」は体を支える機能の役目を終え、道具を使う役目へと変化したのです。

人間の脊柱

人間の骨格はこのようになっており、青枠で囲った部分、つまり体幹部(背骨の周りの力)が中心となって、重力に逆らい体を支える役割を担うようになりました。
体が地面に対して垂直に立っていること、これが人間の体の特性であり、この部分を支える力を高めることが、人間が本来備えている様々な体の力を引き出すことに繋がります。


2、だるま落としと人間の体の関係

では、体を支える力とはどのような力か。
そこで、「だるま落とし」が出てきます。

人間の体は一つのかたまりとして存在しているのではなく、だるま落としのような構造になっています。

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人体だるま

バランスよく配列され、柔軟性があり、自分でバランスを取りながら良い配列にいられるだるま落とし。
土台を安定させ、上のコマも自然といいバランスで配列されていることが理想ですね。
この図では二次元的に見えますが、実際は前後左右、360度あらゆる方向に動きが生じます。

一方で、下のコマがずれてしまうと、バランスを取るために上のコマもずれてしまう。
それと同じことが人間の体でも起こってしまうのです。

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こんな具合ですね!

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例えば、この図のように骨盤というコマの向きがずれることで、その上に乗っかっている背骨のコマにもズレが生じ、猫背になり、肩こりが発生する~というように、人間の体でも同じようなことが起こってしまいます。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。

人間の体には、良くも悪くも、だるま落としのように各パーツが勝手にバランスを取る仕組みが備わっているのです。


3、 だるま落としの効果と影響

では、このような仕組みが実際に私たちの体にどのような影響を及ぼしているのでしょうか。

<だるま落としの効果>
① 姿勢を維持する
各パーツが適切な配置にあることで、姿勢を維持しやすくなります。
また、だるま落としの動きに柔軟性がなければ、長時間同じ体勢でいると、疲れやすく、どこかに局所的な痛みを生じることもあるでしょう

② 合理的な動作を生み出す
走ったり、跳んだり、体を捻ったり、道具を使ったり、だるま落としの配列が良いことで、このような多様な動きに無理なく、合理的に対応することができます。

③ 自分で体のバランスを回復させる
何かの拍子にバランスが崩れてしまって怪我や痛みを招いてしまっても、自分でバランスを取りながら良い配列に戻れる、リカバリー能力を発揮できます。

人間の体は各パーツがだるま落としのような関係性を持っていることを念頭に、全体のバランスや関係性を考えることが大切です。

ちなみに、このだるま落としの配列が良くない状態を「猫背」や「巻き肩」、はたまた「X脚」や「O脚」、反り腰などと呼ぶことがありますね。
特に「猫背が良くない」というのは昨今様々なメディアで目にすることが増えましたが、体はすべて繋がっているので、どこか一か所のパーツを見て話しても不調は解決しません。

また、バランスが崩れている状態で何かをしようとすると、確実にどこかに歪みが生じます。それが怪我や痛みに繋がり、また崩れただるまを維持するためには必要以上に力が必要になるため、あらゆる疲労にも繋がります。


4、重要なパーツ:足
では、このだるま落としの機能を引き出すためには、どんなことが大切になるのか。
その答えが「足」です。
足の裏や足首の辺りです。

なぜならば、ここがだるま落としの一番下の起点になるコマだからです。
だるま落としの一番下のコマが傾いていたり、不安定だったりすると、自然とその上のコマもバランスが崩れてしまいますよね。

シンプルに述べると、「足の裏をバランスよく使えること」これに尽きます。
簡単なチェックをしてみましょう。
両足で立った時、片足で立った時に、足の裏の三角形はバランスよく機能していますか??

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画像引用:クライマーズバイブル(上巻28ページ)

親指側、小指側に傾いたりせず、また踵重心、つま先重心など、どこかに偏っていませんか??
この三角形がバランスよく働き、加えて足の指が5本きちんと地面についていてばベストです。

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(こんな感じですね→これは新生児の足型なので、まだまだ土踏まずも発達していませんが、三角形の3点と指がバランスよく均等に地面につくことが大事です)

特にこの片足で~という部分がミソ。
人間の体は歩くことが基本の設定ですので、両足で動くことは実はそう多くはありません。
歩く、つまり片足で体を支えられるかどうか、という視点が重要です。
両足ではバランスよく立てるけれど、片足ではバランスよく立てない、そこにだるま落としの機能を引き出すヒントがあります。

この足の話はとっっっっっても大事な話なので、もう少しだけ詳しく。
人間の足(いわゆる足首より下)には、片足で28個もの骨があります。
左右併せて56個。
体全身の骨が約200個あるため、1/4ほどが足に存在しているのです。

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この細かい骨が何のためにあるか、私は体のバランスを保つためだと考えています。
人間の体は二足歩行するためにできているとお話しましたが、普段私たちが歩く場所は必ずしも平坦な場所ばかりではありません。登りや下り、砂利道、斜面、カーペットやマットの上など、様々なサーフェスの上を歩くことがあります。
また仮に平坦な道であったとしても、歩くスピードや、歩く際の体の重心をコントロールするために微細な重心移動をつかさどる役割も担っています。
だるま落としの一番下のコマになるべく、足の裏全体のバランスを取りながら、細かい動きや変化に対応すべき機能を持ち合わせているのです。
その機能を多分に活用することで、一番起点になるコマの役割を果たし、
またそのコマの安定性を活かし、次の、上のコマへその安定感を伝達する役割を担っています。

先ほど「片足でバランスよく立つ」というテストをしましたが、片足でバランスよく立つことができれば、その上のコマにあたる膝や股関節も安定します。
逆にバランスよく立てないと、どこかの筋肉や関節が本来の役割以上に、必要以上に働くことになる。それが多分に疲労や怪我の原因に繋がります。筋肉の柔軟性も失われてしまいますね。


5、足のコマが引き出す力

また、だるま落としの配列の状態が良い、つまり体がバランスよく成り立っている状態では、体を支えるための筋肉が自動的に働くようにセットされています。
この機能を引き出してあげることが、だるま落としの配列を整える一番の目的であり、人間が一番最初に手をつけるべき、足由来の体幹(体を支える)トレーニングだとも考えています。
足由来の体幹トレーニングを取り入れることで、体に軸ができる。
その軸こそが人間のパフォーマンスを支える根底にある力です。
(ここ、大事です!テストに出ます!後日また詳細を…)


6、おわりに

今回はだるま落としのページの基本の部分をご紹介させてもらいました。
今回は足の話が多くなりましたが、足に次ぐ重要なトピック「股関節」「腕と肩甲骨の力」そして「体の連動性」とまだまだご紹介したい話が盛りだくさんなので、少しづつ整理して順番にお届けしたいと思います。
そして、「足が重要」ということは、足と股関節の連動性を高めるトレーニングも必要で~、さらにその足ができる子どもの頃の靴の選び方や運動がとっても重要で~、と多方向に話がリンクしていきます。

だるま落としの機能、そしてその土台である足に始まる体の力が皆さんのパフォーマンス向上のお役に立てますよう!













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