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人生100年時代を生き抜く子どもの健康資産づくり #1~健康資産を意図的につくる必要性

「子ども達に幸せな未来がありますように」
子どもを持つ方、または子どもに関わる職業の方、もしくは社会を通して子どもを見守っている方等々多くの方がそう願っていることと思います。
どんな子どもにも、明るい未来が待っていて欲しい。
様変わりする世の中で、多方面から未来へのアプローチが行われていますが、今回はパフォーマンスビルダーとして、「怪我や痛みに困ることなく、その人らしい豊かな時間(パフォーマンス)を楽しんでほしい」という願いを持つ立場から、子どもの体の成長過程・発達過程を通して私の考えをお話してみたいと思います。
(ここで述べる「子ども」とは、大きな意味合いで「大人の体になるまでの変化の間の状態」と表現できればと思います。発達の過程の中で、乳幼児期、学童期、思春期とそれぞれのタイミングで適切なアプローチがありますが、これらの詳細は今後の別のnoteでお話させてくださいね)

1、 人間の体がもたらす楽しみと豊かさ

当たり前のことですが、人間は何をするにも「体」を使っています。
職業をまっとうする、日々の家事を含めた生活、介護や育児など誰かのお世話や手助け、勉強や運動・芸術との触れ合い、レジャーや趣味など、その範囲は多岐に渡ります。
その際に、どこかに痛みがある状態でこれらのことをするとしたらどうでしょうか?
腰が痛いままデスクワークをする、肘や指が痛いまま誰かのお世話をする、肩や膝の痛みを抱えながらスポーツをする、等々、せっかく同じ時間を過ごすならば痛みや怪我に困ることなく、より良い時間を過ごせる人が増えるといいなと思います。

2、 健康は資産

現代の日本では食べるものに困ることは少なく、また医療技術の進歩もあり日本人の寿命はどんどん延びてきました。また、ただ長く生きるのではなく、介護や人の助けを借りずに生活でき、健康的な日常を過ごせる「健康寿命」という言葉も良く聞かれる言葉です。
けれど私には、一つの懸念があります。
どんどん便利な世の中になっていく一方で、著しく体を使う機会が減っているのです。

昭和の高度経済成長期辺りの生活をイメージしてみましょう。
便利な家電が充実する以前は、床にぞうきんがけをし、窓掃除も自分で行っていた人がほとんどでした。よく学校やお寺の廊下をぞうきんがけする映像を見たことがありますが、このぞうきんがけの動きが体にとってはとてもいい体幹トレーニングになっているんです。また窓ふきも、肩や腕のいい運動で、いわゆる現代における肩のインナーマッスルのトレーニングと同等の役割を果たしています。また、ベットが普及する前には、布団の上げ下ろしもありました。そこそこ重い布団を自分で持って押し入れにしまうあの動きは自然と肩甲骨周りのいいトレーニングとなり、肩こり予防の運動をしていたわけです。さらにもう1点、極めつけはトイレです。和式トイレでしっかりとしゃがむことにより、股関節の柔軟性と強さを培っていました。
もっと根本的なことを考えれば、子ども達は学校の後は習い事ではなく、暗くなるまで外で遊び、走ったり投げたり登ったり様々な運動を自然と行っていたはずです。
このように生活をする中で自然と体を使い、体の強さや合理性を身に着けていた時代。
そんな時代と今の時代の生活を比べた時に、日常生活を送る中で体を使う頻度はどんどん減っているはずです。

科学の進歩と共に得てきた今の便利な生活はもちろんいいことはたくさんありますが、体の視点から考えると手放しで喜べる環境ではありません。
便利さを得る一方で、体づくりの機会を失っています。
なぜそれが懸念なのか。
どんなに世の中が進歩しても、人間の体は変わらないからです。
体の力が弱くなれば疲れやすくなります。体を支えることができずに、疲労感を感じやすくなったり、日常生活の中で頭痛や肩こり、膝の痛みに悩まされたり、スポーツなど強度の高い運動をする際には怪我やパフォーマンスの伸び悩みも生じます。
この
『変化していく便利な世の中』と『(基本的に)変化しない人間の体の仕組み』
この矛盾が大きな懸念の本質だと考えています。

とは言え、この現代の世の中で、そしてこれからますます便利になっていく世の中で生活していくことには変わりはありません。
(私自身も掃除はクイックルワイパーとルンバ、そしてトイレはもちろん洋式です、笑)
だとするならば、この矛盾を考慮し、「この現代の生活の中で意識して体をつくる」という行動を起こすことが、これから大人の体へと発達していく子ども達に求められています。
「体をつくる」と一口に言っても、栄養のこと、歯並びのことなど多面的からのアプローチがありますが、パフォーマンスビルダーの切り口は骨格や筋肉など体の仕組みを整えることにあります。
詳細は「だるま落とし」のページをご覧ください。

バランス良く配列され、柔軟性があり、自分でバランスを取りながら良い配列にいられるだるま落としをつくることが、私の切り口です。
子ども達が生涯にわたって痛みや怪我に困らず、健康で豊かな時間を過ごせる体をつくる、これこそがパフォーマンスビルダーの考える健康資産です。このような時代だからこそ、意識的に健康資産をつくる必要性があると考えています。

3、 子どもの体力低下が招く悲劇

「体をつくる大切さ」をお話すると、「うちは子どもをアスリートにしたいわけじゃないから」という返事をもらうことがあります。
確かに体づくりと言うと、スポーツをする印象へと繋がることが多いと思いますが、先ほど私が述べた体づくりの重要性は、スポーツをする以前に、人間がより人間らしく生きていくために必要なものです。
昨今、子どもの体力が低下しているというニュースを耳にする機会があります。
50m走や走り幅跳び、反復横跳びなど、きっと誰しも一度は行ったことのある体力テストの結果や記録が年々低下しているというニュースです。
先ほどの話題に絡めて考えると、実際に走り幅跳びや反復横跳びなどの記録が低下していても、積極的にスポーツを行う子どもでなければ、この体力低下はさほど大きな問題にはならないような印象を持つ方もいると思います。
しかし、実際は走り幅跳びや反復横跳びの記録が問題なのではなく、これらの記録を生み出す体の力、体力の低下が大きな問題なのです。
これは「だるま落とし」を支えたり、動かしたりする体の力が低下しているという事実です。
では実際にこれらが低下することでどのような問題が起きるのでしょうか。

例えば、
・机に向かっていられない
   ⇒集中力の低下、学びの機会の喪失
・音楽やスポーツなど体を使って楽しむ際の伸び悩み
   ⇒自分の好きなことを楽しめる機会の喪失
・日常的に“疲れやすい“子どもの増加
   ⇒子どものうちにしかできない遊びや経験の幅が狭まる

※大人になってからの影響
 ・日常的に何かの痛みに悩まされる(腰痛、肩こり、首の痛み、頭痛)
   ⇒年齢を重ねてくると、さらに膝の痛みや足首の痛みなど
 ・職業に向き合う際、もしくは子育てや介護の際の障害
   ⇒上記の痛みにより、自分の仕事をまっとうしにくくなる
   ⇒集中力の低下によるパフォーマンスの低下や生産性の低下
 
ざっと挙げてみただけでも、このようなことが考えられます。

少し話は逸れますが、以前、心臓外科の医師の特集をしているテレビを見ました。定期的に夜勤があり、いつ緊急事態が起きてもおかしくない状態の中で働く医師にはそもそも基礎体力が必要ですし、心臓外科ともなるととても細かい作業があり、その作業に人の命がかかっています。その際に集中力が求められることはもちろん、長時間の手術の際には「姿勢が大事」だというコメントがありました。
悪い姿勢(要はだるま落としが崩れた状態)だと、無駄な疲労が生じるだけでなく、手先の細かい作業の質も下がります。
この医師の例は少し極端な例にはなりますが、このように、将来アスリートや外科医のような職業に就く人だけではなく、冒頭に述べたように人間が生活する上ですべての活動は体を使って行います。そのためにも、柔軟性があり、かつ軸のしっかりした体、きれいなだるま落としの機能を活かせる体をつくっておくことが重要だと考えています。


4、 具体的な体のつくり方~体は、1日にしてならず

では、どのようなアプローチをすることが良いのでしょうか??

日常生活の中にたくさんのヒントと機会があります。
例えば、だるま落としの機能を考えた時に最も重要なパーツの一つに「足」があります。
足の裏や足首です。
足は、人間の体の中で一番底にあり、だるま落としの一番下のコマです。この足の機能がしっかり生きていると、上のだるまのコマも機能的に働くことができ、体幹部の安定性を獲得することに繋がります。
では、足の機能をどのように引き出してあげると良いのか。
それは日々の生活や遊びの中で足を使う機会を増やすことです。
立つ・歩くことに始まり、道端にある縁石を平均台のように歩いたり、段差を登ったり、ただ平坦な路面だけではなく、芝の上や砂利道、クッションなどふかふかしている物も良いと思います。このように、何か特別なことをするのではなく、日常生活の中で多様なアプローチを取り入れてることが、だるま落としの機能が生きる体、すなわち健康資産づくりの第一歩となるわけです。
ということは、子どもの靴の選び方もとても重要なポイントにもなります。
このトピックもまた後日noteで取り上げたいと思います。
また、「体づくり」「健康資産」というと何か特別なことをする印象を持たれるかもしれません。が、幸いなことに?!、人間の体にはあらかじめ素晴らしい機能が備わっています。
そのため、その機能を引き出してあげるようにちょっとした工夫、ちょっとした環境をつくる視点を持つことが大事です。
つまり、ここでいう健康資産を作るために必要なのは、お金や技術ではなく、意識やちょっとした知識が必要だということです。
そしてこの資産は一気に獲得するものではなく、幼少期から少しづつ少しづつ積み重なって獲得できるものなのです。ローマは1日にしてならず、体も1日にしてならず~ですね!
こちらの具体的なトピックについては、インスタグラムを通じて少しづつ情報配信できればと考えています。

パフォーマンスビルダー三浦千紗子Instagram

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昨今、大人の健康に関する話題は以前と比べて多くの情報を目にするようになっています。
「猫背だと肩こりや頭痛を招くので姿勢を良くしましょう、肩甲骨を動かしましょう」という話は、特に目新しいものではないですよね。
では、その大人の体に至る前、子どもの体のうちから猫背だと……
その子にはどのような未来が待っているのでしょうか。
満足な日常を送るだけの体になっているでしょうか??
健康を考えるのは大人になってからではなく、本来はまさしく体がつくられている子どもの時ほど、将来を見据えた根本的な(多様な)アプローチが必要です。
子どもの体づくりを考える、子どもの体を整えるということは、その子の人生の土台をつくると言っても過言ではありません。
それこそが、周りで見守る大人の、大人にしかできない役割だと考える今日この頃です。

5、 おわりに

「健康資産」とタイトルを付けたことで少し難い印象にもなってしまうかと思いますが、とっても簡単に述べれば、「昔の子どもの生活に近いものを、工夫して現代の生活の中にも取り入れよう」となると思います笑
大人になってからでは遅い、大人の体に成長する過程だからこそできること、子どもとの関わりを楽しむ中で、皆さんに何かしらのヒントをお届けできたら嬉しいです。


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