見出し画像

心理的アセスメント インテーク面接、ケースフォーミュレーション 生物心理社会モデル 備忘録4

『公認心理師 実践ガイダンス1 心理的アセスメント』野島一彦・岡村達也 監修、橋本忠行・酒井佳永 編著 https://www.amazon.co.jp/dp/4909862021/

自分にとって、大切だったところのまとめ。勉強の備忘録4

●インテーク面接 P34

インテーク面接では、カウンセリングのような非構造化面接ではなく、半構造化面接に近い。項目としては、「主訴」「来談経路」「家族関係」「インテーク時の印象(表情や服装)、「経過」「生育歴」など。

クライエントは問題について話にやってくる。主題を変えてはいけない。クライエントの話にくっついていること。

インテーク面接の段階で心理検査を使うとしたら、簡便な症状評価尺度(抑うつのBDI-Ⅱ、状態不安/特性不安のSTAIなど)いスクリーニング尺度(心的外傷のIES-Rなど)がよい。短時間でClの認識を把握できるという利点に加え、それらの尺度の「理由もなく悲しくなることがある」「そのことは、実際に起きなかったとか、現実のことではなかったような気がする」といった項目に回答しながら、公認心理師はこのような心理検査を使って、自分の苦悩に丁寧に目をむけてくれている」おいう体験をClにもたらすからである。

P36

「資料1」例示。

「主訴」はClの現在の苦痛と問題、そして希望についての見出しである。①問題が生じ始めた時期、②生活への影響、③in vio キーワード、④今後どうなりたいのか、とって点を意識しながら、クライエントを端的に表現することを心がける。「家族」については構成員の年齢と現在の状況を簡潔に記し、必要であればClの原家族も合わせて記載する。

「経過」「生育歴」どのような問題から始まったのか、きっかけ、Clはどのような原因を考え、どのような対処を試みたのか、そのことに周囲の人たちはどう反応したのか、身体疾患など医学的所見は認められるか、何らかの福祉的支援を受けてきのかなど生物心理社会モデルを念頭にインテーク面接を進めていく。

インテーク面接は半構造化面接なので、Clは話したいことを話したい順番で話す。・・・それは丁度小説の読者が主人公の運命をプロットを通して理解するのと似ている。

●インテーク報告書 架空例

クライエント、来談経路、内容(主訴、家族、印象、経過、生育歴)

見立てと方針(①複雑性悲嘆 遺族のトラウマ+喪の作業、②愛着対象を喪失することへの予期不安、③次女のサポート)

症状評価尺度について、#2ではBDI-Ⅱ=19(範囲14-19:軽度の抑うつ)、IES-R=45(Cut-off 25:侵入22/回避9/過覚醒14),STAI状態不安=段階4,特性不安=段階5となり、臨床像と一致。#3より治療的アセスメント(Finn,2007/2014)に導入し、「本当は無理してそうしているのに、笑えている自分に罪悪感と怒りを感じるときがある。」「また、誰かを失うのではないかと怖い。どのようにトラウマと怖さに対処すればよいのだろうか?」等の問をまとめた。感情の起伏が激しく、時に無力感を感じている。安全感を重視し、怖れや罪悪感を含んだ複雑な感情への対処を考え、思い出を大切にしながらも、生活への再適応がはかれるよう支援したい。

担当/料金

●ケースフォーミュレーション

ケースフォーミュレーションは医学的診断とは異なり、あくまでもClが体験している苦痛に関する要因の定式化である。

ケースフォーミュレーションじゃ「個人の心理・対人関係・行動上の問題を引き起こし、悪化させ、そして維持させている要因についての仮説」と定義され、事例の定式化とも呼ばれる。Clについての仮説を生成し、繰り返し検証していくプロセスである。

●ウォーデン(Worden,J.W.,2008) 「突然死の悲嘆の特徴」

「喪失の非現実感」「自責感・罪悪感の激化」「無力感・焦燥感・やり残し課題の出現」等→「悲嘆セラピーの手続き」(P163)を参照。

参考文献:橋本忠行『ナラティヴと心理アセスメントー協働的/治療的につなぐポイント』(2018)創元社

●生物心理社会モデル 1977年 精神科医エンゲル

システム理論に基づき、疾患や健康問題を、遺伝子、細胞、神経系などの生物システム、感情や認知などの心理システム、家族やコミュニティなどの社会システムが円環的に影響し合うもの。

「心理的要因が身体疾患にどのように影響するのか」「患者と医療スタッフとの関係が治療にどのように影響するか」「患者と病気をどのように体験しているか」といった問題提起にもつながり、今日の心身医学の発展や、コンサルテーション・リエゾン精神医学の発展にも結びついた。

例)

生物システム:苛々、不眠、手の震え→頻脈とまぶたの痙攣に気づいた医師が血液検査をおこない、Aさんは甲状腺機能亢進症であったことが判明した。

社会システム:現在のい実母に関する客観的なアセスメントは十分といえなかった

●生物心理社会モデル 例 P49

❒社会:ソーシャルサポート・組織・制度・経済・文化

→夫の無理解と非協力、社会の偏見、人間関係からのひきこもり

❒問題行動・障害・疾病

→血糖コントロールの不良

❒心理:認知・感情・イメージ・信念・ストレス

→真面目な性格、努力家、承認欲求の強さ、対人関係ストレス、不適切なコーピング(間食と飲酒)

❒生物:脳・神経・遺伝・細胞

→I型糖尿病、コルチゾールの分泌

●支援計画

Bさんの真面目さ、努力家でやるときは徹底的にやるという性格は、よい資質である。食事療法や運動療法を頑張っているBさんを認め、ねぎらった。そのうえで運動しすぎてしまうことが低血糖に繋がっている可能性、水泳教室にまつわる対人関係がストレスとなっている可能性についてBさんと検討し、Bさんの良い資質である「努力をして向上したり、認められたりできる場所」を水泳教室以外でも探していくこととなった。もともと文学が好きであることを思い出したBさんは俳句教室に通うようになった。

カーボンカウントの導入、夫がBさんの作った食事に文句をつけない、Bさんお前でオヤツを食べたり、酒を飲んだりしない、夫側の親戚にBさんの病気についての正しい知識を伝え、親戚の集まりにBさんが参加しやすいようにするなど、、、、、。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?