木星衛星探査機エウロパクリッパー
これは、まだ打ち上げられていない探査機のお話。 木星や土星の衛星には生命が存在するかもしれないといわれているものがいくつかあります。とはいっ ても、地球のように大気を持ち、海のある世界ではありません。 生命が存在するにはあまりに過酷な、氷の世界ではあります。
でも、世界を見た眼だけで判断するのは 早計でもあります。
氷で覆われた表面の下に、水の海を持つと考えられている衛星があるのです。
その一つが、木星の衛星エウロパ。生命が存在する、最有力とみなされている二つの衛星のうちの一つ です。もう一つは土星の衛星エンケラドスですが、地球から訪れるには近い方が調べやすいということ もあり、木星の衛星探査計画が少しずつ進み始めています。
ではどうして、氷の下に海があると生命の存在が期待されるのでしょうか。 液体の水でできた海は、その大地自体が熱を持っていないと凍り付いてしまいます。つまり、水の海が ある時点で、少し暖かくなっているということです。エウロパもエンケラドスもすぐそばに巨大な惑星 (木星や土星)があるので、大きく揺さぶられ、それで温かくなっているようです。海の底では火山活 動も起きていると考えられています。
そっくりな環境の場所が地球上にあります。南極の氷の下では、海底火山があり、温められた噴出孔の 近くには様々な生物が存在しています。
分析の結果、エウロパやエンケラドスにもそういった場所に近い成分が見つかっており、同じ環境であ れば生命か、あるいは生命のもとのようなものが存在していてもおかしくないのです。
そんなエウロパの氷の割れ目に送り込む探査機がエウロパクリッパー。まだ計画段階ですが、いよいよ 地球外の生命が見つかるかもしれない、そんな期待を持ってしまう計画です。
もしかしたら、火星に生命の痕跡が、先に見つかるかもしれませんが、エウロパでは今も何か住んでい るかもしれない、と想像しながら空を見上げるのはわくわくします。
ミツマチヨシコ
2002年から活動中の切り絵作家。水彩、漫画、動画なども作る。
作風はノスタルジック。ファンタジーとバンプオブチキンをこよなく愛している。
内なる宇宙をこの世界に持ち出し、未知なる外宇宙に思いをはせる日々。
2022年 2月号より
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